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【塩尻市 山田崇氏:第3話】昔は公務員のことをナメていた

みんなの前で立たされて 30分以上怒られ続けた

加藤:ここからは山田さん個人のお考えについてお聞きしたいと思います。振り返った時に、山田さんにとってのターニングポイントはありましたか?
山田氏:2009年に市民交流センター「えんぱーく」の開設準備室のメンバーだった経験で、自分自身が変わったと思っています。
えんぱーく
 「えんぱーく」というのは、複合公共施設なのですが、「図書館」「子育て支援・青少年交流」「シニア活動支援」「ビジネス支援」「市民活動支援」の5つの重点分野を役割として設定しています。
 当時、市民活動団体のリーダーの方たちが40人くらい集まった会議で、「市民と一緒になって動いて下さい」という、あるイベントの呼びかけを私がしたんです。そこで、大失敗をしたんですね。
 夕方からの1時間の会議のうち30分は、みんなの前で立たされながら、怒られ続けたんですよ。本当に上司が心配して、「お前、今日はもうちょっと、帰ってもいい」って言うぐらい、めちゃくちゃ怒られたんですね。

税金で給料をもらって働いていたのは自分だけだった

山田氏:その時に「何でこんなに怒られたのか」と思って出した仮説の一つが、「自分が市民活動団体を立ち上げた経験どころか、市民活動すらしたことなかったから」だったんです。
 しかも、その会議の場にいる人たちの中で唯一、税金で給料をもらいながらやっていたのは、私だけだったんです。わたしが2012年から3年間出向でお世話になった塩尻商工会議所では、トップの会頭は報酬0円なんです。むしろ、商工会議所には約90人の議員がいて、5万円から15万円の年会費を払っている。会頭に関しては70万、3人の副会頭も35万払っているんですよ。
 そんなこと、知らなかったんですよ。そんな状態で、わたしは給料をもらい、相手がボランティアで「協働をしましょう」って言っても、これはダメだろうと。

地域は行政の事業だけじゃダメ

山田氏:「塩嶺カントリークラブ」というゴルフ場と、「塩嶺高原開発」で別荘の開発をしている地元の企業の社長、山田正治会頭は、会議所の市役所の行事などでは、自分の事業を傍らにおいて、わざわざ自分の車でやってくる。そして、会頭として年間70万払って「塩尻のまちはこうあるべきだ」っていう活動をしていた。それが商工会議所でした。
 市役所は、当然まちづくりのセクターの大きなひとつなんですけども、商工会議所の方が、みんな会費を出して、かつ自分の事業も成功させつつ、皆さん2枚目の名刺で動いてくれている。そこで、「地域って行政の事業だけじゃダメなんだ」って思いました。

自分で市民活動をしたことで わかることがある

山田氏:だから、自分も仕事の時間外で、まだ存在しないサービスをやってみたりすることで、困っている人の力になれないかと思ったんですよね。そのひとつが、『Shiojiring』という「アートで繋がろう」、「アートをしよう」というプロジェクトです。
 もう一つが、空き家を活用した『nanoda(※)』というプロジェクトでした。

※『nanoda』・・・塩尻市役所職員の有志が、自腹で月1000円ずつ出し合って空き家を借りたのが始まり。シャッター商店街になってきている地元、大門商店街に賑わいを取り戻すためにさまざまなイベントを仕掛けている

 いざ、自分で市民活動をすると、時間外で自分のお金使っているからこそ感じる課題があって、それを仕事の中でどう施策として活かしていくかという視点に変わりました。当事者として、ひとりの市民としての「個」を、人口6万7千人の市全体の仕組みにするためにという視点です。

nanoda

nanodaによって人がつながる場が創出されている

結論を出せないやつは電話に出るな

山田氏:商工会議所に関わった3年間の人事交流は本当に、勉強になりました。そして、その3年の中で一番腹が立ったのは市役所の職員ですよ(笑)。
加藤:それは、なぜですか?
山田氏:電話した時に、のらりくらりと答える。「結論を出せないやつは電話に出るな」って、いつも思っていました(笑)。でもね、自分も外に出るまでわからなかったんですよ。市民にとってはそれが本業じゃないのに、「それに付き合っている時間なんかない」と。

事象はあるべくして起きている

加藤:地方公務員の方が外に出て仕事をしていくと、足を引っ張られるみたいな話も聞きます。そういったことはありますか?
山田氏:刺されるなら背中からだと思っています(笑)。ただ、もしそういうことがあったとしても、私はその事象はあるべくして起きているんだと捉えるようにしています。
 一人ひとりのビジョンは私のビジョンと違って当たり前だし、それは批判であったり何にせよ、まずは色眼鏡をかけて判断せずに、しっかりと受け止めることが必要だなと。特に転換期だったり、パラダイムシフトが起こる時は、そういうことがあって当たり前だと。

昔は公務員のことをバカにしていた

加藤:それは、今だから思えるみたいなところもあります? それとも昔からそういう考え方ができたのでしょうか?
山田氏:昔はね、公務員のことをバカにしていたというか、超ナメていたんですよね。バイトや大学時代の研究室より楽だと思っていました。だって、成果出さなくていいんですもん。私の大学の研究は応用化学という科学領域だったんで、研究成果出ないと卒業できなかったから。

国 県 市の上意下達から 各自治体の裁量が大きく

加藤:なぜ、考えが変わったんですか?
山田氏:明治大学政治経済学部の牛山久仁彦先生に会った時に、「2000年の4月に、地方分権一括法として、地方自治法第一条第二項が新たに追加になったんだよ」って。つまり、「国、県、市の上意下達が横並びになって、各自治体にできることが増えた」と言われた。「目の前にいる住民の声を聞いて、自治体が自分たちの施策を作れる」っていうのを聞いた。

自治体の境界を意識しているのは 自治体の職員だけ

山田氏:あと、私自身、牛山久仁彦先生から「山ちゃんは、もう既に、一歩踏み出しているよ」と言われたことも大きかったです。
 私は松本広域連合という人口44万圏域の、松本市役所の事務局に4年間出向していたんですよ。その時に初めて、『塩尻市』という看板背負って仕事をする感覚があったんです。
 それも、塩尻市の職員であるけども、44万圏域っていう広域消防であったり、広域で観光を考えたり、広域で介護予防をどうするかっていうことを考える。その時に、「自治体の境界を意識しているのって自治体の職員だけだな」と思ったんですよ。
 その経験から、牛山久仁彦先生に「山ちゃん、明治大学で松本広域連合の話をして」って言われたんですよ。これから、公務員や地方で働きたいっていう子たちや、公務員試験を受けている子たちのために話をして欲しいと。

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