インプットだけをもらうのは失礼
加藤:HOLG.jpの『地方公務員アワード』での推薦文にも、“歯に衣着せぬ物言い”とありましたが、いつ頃から情報発信をはじめたのでしょうか。
石塚氏:これでも十分に衣着せてるつもりなんですけど(笑)。
確かに言いたいことを言っているほうだとは思いますが、もちろん与えられた役割の範囲内ですよ。
今つながっている人の多くは、先ほどお話した2009年の開港博Y150のイベントでのつなりから広がっていった人達なんです。2009年ってちょうどスマホが出た頃で、TwitterなどSNSでのつながりが大きくなってきたときに、私自身は子育て中で家に“引きこもり”なわけですよ(笑)
他の人みたいにイベントやセミナーに参加できないので、SNSを通じてインプットをもらうことが多々あったんです。でも、私は情報を何も出さないのに、インプットだけいただくのって失礼じゃないですか。だから、シェアするとか、自分でもアウトプットできることがあればどんどん出しています。
きちんと本業を真っ当したうえで、発信していく
加藤:発信をする時に気をつけていることはありますか?
石塚氏:きちんと仕事はした上で発信する。やることやってないのに言うのも論外だと思いますし、ましてや、ただの文句を垂れ流されても、どう受け止めていいのかわからないですよね。まぁそれでも「よく愚痴ってる」と思われてるようですけど(笑)。
私はリアルに出られることが少ない分、自分がどんな人間なのかというのをわかってもらうようにはしています。なにをするにしても「信頼」って大事ですけど、人となりも分からない人を信頼できませんよね。だから、どんな仕事をしていて、何を思っていて、なにを目指しているのかを伝えることで、周りからの信頼感も得られればいいなと。
人間いつ死ぬか分からない
加藤:お仕事されている中で、ご自身が変化されるきっかけはありましたか?
石塚氏:教育委員会のプロジェクトが終わった後に、自分の力不足と「時勢」というものの存在を感じたんです。どんなことでもタイミングが合わないとダメだし、準備が整っていない人のところにチャンスは来ないと痛感した。その後、情報システム課に6年在籍しましたが、その間はたくさん研修を受け、とにかく勉強しました。
でも、その後に東日本大震災があって、人間いつ死ぬか分からないなと。それからはインプットだけじゃなくてアウトプットもしようと思うようになったんです。感覚が切り替わったのは多分あの震災の瞬間だったと思いますね。
人には立場やプライドがある
加藤:そもそも、なぜ力不足を感じたのでしょうか?
石塚氏:教育委員会にいた時に参加した教育長直轄プロジェクトで、情報教育環境の改善に関する自分の提案に対して、教育長からは良い反応をいただいていたにも関わらず当時の上司にあからさまな嫌味を言われたことがありました。それまでは「正しいことを言えば正しく伝わる」と青臭く信じていたところがあったんです。でも、その時に「人間には立場やプライドがあってそんな簡単じゃない」、「受け入れられる人間ばかりではない」というのを痛感したんですね。
それから、どういう土壌を造っておけば良いのか、どういうアプローチの仕方をしたら良いのか、と常に考えるようになったんです。
目の前のことをちゃんとやれ
加藤:若手の方が活躍するためにアドバイスはありますか?
石塚氏:「目の前のことをちゃんとやれ」ということですね。それに尽きます。
目の前のこと以外で高い理想を持っていたり、単に今の職場が嫌だという若手の子が多いですよね。ちょっとスピリチュアルな感じですけど、私は仕事に「呼ばれる」って感覚があって、どこに行っても常に学ぶことがありました。やりたいことやなりたい自分があろうとなかろうと、いまいる場所をバカにしている以上は、そこから先はないという話は若手にしますね。
小さなことでも 成功体験を積み重ねることが大事
石塚氏:きっと、若い子は元々の教育レベルが高いのかなと思います(笑)。私なんて高卒してすぐの入庁なので、ほんとになにも知らない職員だったと思います。
ただ、何も知らない分、「目の前のことをまず面白がる」みたいなマインドがありました。いまはみんな、自分がなりたい将来を逆算して勉強するように言われるせいか、理想の自分に最短で行けないと、駄目だと思っちゃうのかもしれません。そういう子も私の若いころと比較したらすごいって思ったりしますけどね。
小さなことでいいから成功体験を積み重ねることって、とても大事ですよね。今週は10分かかっていた仕事が、来週は5分でできただけでも大事な成功体験になるし、これをきちんと積み重ねていくことで、最終的に自分がやりたい方に向かっていける。小さなことをバカにすると、成長も周りからの信頼も、チャンスも減っていく気がします。
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※本インタビューは全5話です。facebookとTwitterで更新情報を受け取れます。
第1話 市民のステージに合った子育て情報を届ける
第2話 行政が率先してデータを出すべき
第3話 インターネット? 何それ、おいしいの?
第4話 「正しいことを言えば正しく伝わる」わけではない
第5話 面白いと思っていない土地のためには何もできない