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【南房総市 松田浩史 #4】使途を考えていないのに、際限なく集める必要はない

南房総市の寄附額は8億円が限度

加藤:先ほど、ふるさと納税のお金ではない価値とおっしゃいましたが、過度なお金集めがおこなわれているケースもあります。それについてはどう感じていますか?

松田氏:多数の返礼品をさばける事業者さんが沢山いる場合はそれでも良いと思いますが、個人でポツンやってるところに、多くの注文が入ると経営体型が崩れてしまいますよね。南房総市の寄附額は8億円ぐらいが限度だと考えています。それ以上いくと、ふるさと納税頼りになって、地域が悪い方に変わってしまう気がするんです。

加藤:急激な変化はひずみを生みますよね。ふるさと納税のルールや環境は、これからも変わっていく可能性が高いと思うので、依存するとリスクがありますよね。

松田氏:そうですよね。ふるさと納税の収益が全体の何割ぐらいかも聞いているんです。今は1割くらいの事業者が多いんですが、マックスでも2割ぐらいじゃないかと思います。

使途を考えていないのに、際限なく集める必要はない

加藤:返礼品の還元率については、どのくらいが適切だと思いますか?

松田氏:うちは総務省が3割とした時に、返礼品で4割だったものを3割に変えました。3割の根拠が気になったんですが、だんだん浸透してきて、言われてみれば妥当かなという気にはなりました。

加藤:例えば、2割となっていたら、随分違ったと思いますか?

松田氏:思いますね。寄附額も件数もそこまで伸びなかった気もします。4割から3割にしてもらう時に、それでも満足してもらえるような内容や見せ方に、事業者さんがアイデアを絞ってくれました。もし2割だったら、そこまで向き合ってくれなかった気もしています。

加藤:国全体で見ると、ふるさと納税によって、自由に使える税金の総額が目減りするリスクはあります。急激な変化を生まないように、還元率を段階的に減らしていくことも検討されるべきだと思うんですが、松田さんはどう思いますか?

松田氏:率はこのままでもいいと思うんですけど、額を集め過ぎないようにしたほうが良いと思うんです。際限なく額を伸ばそうとするんじゃなくて、例えば、南房総市は子どもの医療費助成や自然環境保護で5億円必要なんですと決めて、それで打ち止めにしちゃう。使途を考えていないのに、集めるだけ集める必要はないようにも思います。

加藤:ふるさと納税で集まった寄附の使途が、適切かどうか検証されていることはあまりないですよね。お金は必要性の高いものから投下される傾向があるので、急に使えるお金が増えると、同じ金額で生み出せる効果は落ちる傾向があるはずです。使わずに基金に回るというのも経済循環を生みません。各自治体で効果的に使われたのかどうかが可視化されると、返礼品目的とならずに寄附をする人がもっと増えて、税金が有効に使われる気はします。

ふるさと納税は事業者みんなの連帯責任となる

加藤:ふるさと納税を事業者に説明する際に、意識していることはありますか?

松田氏:事業者向けの説明会を年に1回実施していますが、そこで「事業者の皆さんと寄附者の方でお互いにお世話し合う関係、感謝を伝え合ってその後に続く関係になってもらえるように考えて下さい。品を送って市に請求すれば、お金が振り込まれるという認識でいるのであれば改めてほしい」とお伝えしていました。その日の夜の懇親会では、「そんなことは前からわかってる」と言われましたが(笑)。

加藤:一方で、寄附者に向き合わない事業者はどうしても存在しますよね?

松田氏:悲しいかな、そういう事業者さんもいますので、出品をお断りすることもあります。「店頭に来た方には絶対そんな対応しませんよね?」ということを、ふるさと納税だとやってしまう。でも、それをやると、南房総市の事業者みんなの連帯責任になっちゃうじゃないですか。

加藤:事業者へ指摘をする際の伝え方が難しいですね。どのように説明していますか?

松田氏:突然その店舗に行って、「クレームの手紙やFAXが来てるんですけど、どういうことですか?」と聞きますね。事業者説明会でも、「こういう苦情が来ました。そういう信頼を損なうことはやらないでください」と、率直に話すようにしています。

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※本インタビューは全5話です。facebookとTwitterで更新情報を受け取れます。

 

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