インタビュー

【横浜市役所 石塚清香氏 #3】インターネット? 何それ、おいしいの?

石塚清香3

インターネット? 何それ、おいしいの?

加藤:今は入庁して、何年目になりますか。

石塚氏:1991年に入庁したので、26年目。もうそんなになりますね(笑)。ITに関わったのが1995年からなので、これも20年以上ですね。

 本当にインターネットの黎明(れいめい)期は、「インターネット? 何それ、おいしいの? (笑)」という時代でした。そう考えると、いまはスマホというコンピュータをみんなが手の平に持っているような驚くべき時代になりました。こういう時代が本当にくるんだなあと思います。PCのメモリが4GBとか聞くと「何それ? 頭おかしい…」みたいな感じです(笑)。

研修でITの面白さを感じた

加藤:入庁した時はどんな仕事をしていましたか?

石塚氏:ごく普通に事務職をやっていました。地域振興を担当する部署に配属されて、都筑区が区になる前の分区担当をしていました。「こういう区ができます」とプロモーションする担当ですね。

 もともと高校時代にすこしプログラミングをかじっていたので知識はありましたが、さらに深めるつもりはなかったです。でも、ある研修でITの面白さを感じて、IT系の部署に行きたいと思っていたら、教育委員会に異動してITに関わることになりました。

500校の学校にパソコンを設置

加藤:教育委員会ではどのような仕事をされましたか?

石塚氏:最初は情報処理教育センターという教員にパソコン研修をやる部署でしたが、その後に機構改革があって学校のパソコンやインターネットなどのインフラ整備も担当しました。横浜市は市立学校が500校もある、ちょっと常識外れな都市なんです(笑)。

 その500校全てに5年リースでパソコンを設置するので、単純にならすと1年で100校に整備するわけで発注金額もハンパない額です。その仕様書を書かなきゃいけないわけですよ。先生や児童生徒が授業で使うものでもありますし、下手な仕様を書いたら大変なことになると思って、すごく勉強したのがはじまりです。

 教育委員会では教育用コンピュータとインターネット、校内ネットワーク環境整備などを担当してハードとインフラの両方の知識がつきました。地域イントラネットを使った学校間コミュニケーションツールやWEBも少しやりましたね。その後情報システム課で国保システムの運用担当をしてプロジェクトマネジメントなども学び、最終的には「やっぱり区に帰りたーい!」と騒いでいたら金沢区に流れ着きました(笑)。

もっと行政はITを活用すべき

加藤:長年、行政とインターネットを見てこられて、どのように思われていますか?

石塚氏:以前に比べればマシではありますが、行政はまだまだICTを活用しきれていないとは思いますね。最近はインターネット分離もされましたし、職場に来ないとメールが見られないとか、テレビ会議が使えないのはつらいなあと。

加藤:それはセキュリティのためですか。

石塚氏:そうですね。今は内と外のデータも無害化処理がされたり、承認システムを通してやり取りしたりしています。

 もちろん大事な住民の情報をお預かりする立場ですし、ICTに携わる者として事情は理解しつつも、人材不足とかワークスタイル変革とかスピード感とか色んなことを考えると、逆のリスクを呼び込む可能性があるのではという恐れも抱いたりします。
IoTやAIがこれだけ発達し、生活の中にICTが入り込んできている時代にも関わらず、行政だけが遅れてしまうようなことがあるのではと。

 私自身、子育て期間が長く、飲み会とか勉強会とかリアルの場にはなかなか行けない時に、SNSを通じていろんな人とのつながりを保てるのは仕事の上でもとてもありがたかったんです。でも、職場のPCからはフィルタリングされてしまうという状況は厳しいと思うところはあります。

 2009年に横浜開港150周年を記念する「開港博Y150」で、庁内ボランティアスタッフとしてイベントに関わりました。そのイベントは公募により集まった300人くらいの市民を「創発メンバー」として2年近い歳月をかけて個々のプログラムを創り上げ、それを約80日間のイベントの中でリレーのように実施していくというものですが、創発メンバー用に当時はまだ一般的ではなかったイベントスタッフ専用のSNSがあったんです。私は創発メンバーのSNS活用サポートをさせてもらったのですが、自分が介在していろいろな人とやり取りしていく中で、バーチャルでのやり取りがリアルにも影響する様子を見て「SNSってすごいな」って思ったことが何度もありました。

 セキュリティばかりが先行して、そうしたメリットが失われてしまうのはもったいないので、行政としても、もっと積極的にICTを使っていって、市民に開かれた環境やマインドだったり、行政サービスの向上に結び付けていけたらいいなと思いますね。

家庭を一番大切にする

加藤:仕事、ご家庭、本業外とさまざまな活動をされています。日々の時間の使い方はどうされていますか?

石塚氏:私は大原則として、やっぱり家庭が一番なんです。よく「いつ寝てるの?」とか「家に帰ってないんじゃない?」とか言われるんですけど、全然そんなことなくて、週4日は定時で家に帰ってご飯作って家事をして、残った時間で仕事以外のことをやるようにしています。でも無理するのが一番良くないので、できない時は「無理!」って遠慮なく言います。

限られた時間で何ができるかを考える

石塚氏:リソースのバランスは、その時々で変わります。今は娘が受験を控えているので、家が中心の生活です。子供たちが大きくなったので最近は少し出られる時間も増えましたが、それでも週に2回以上遅くなる日はできるだけ作らないようにしますね。1日が48時間にはならないので、寝る、食べる、子どもたちと話すという必要な時間を除いて、残りの時間で何ができるかを考えるようにしています。もちろんSNSを中心としたバーチャルでのやり取りも時間節約に役に立っています。

逆算力は出産・育児の経験から

加藤:働き方が変わったタイミングはいつでしたか?

石塚氏:25歳の時に出産しましたが、それは大きかったですよね。子供は待ったなしに熱を出すし、保育園も絶対に6時半には閉まってしまう。そういう環境だと自分の仕事は常に時間的制約の中でやらざるを得ないわけで、“逆算力”は圧倒的に出産・育児の経験でつきました。

 当時は、そんなに忙しい職場ではなかったので、時々プロジェクトが立ち上がると参加させてもらったり、主人と調整をして時間外にいくつか勉強会に出たりという形でした。

加藤:その当時は、時短勤務などは浸透していない時代でしたよね。

石塚氏:あるにはありましたが、朝30分、帰り30分程度のレベルで、それを使って早めに帰って、子どもの世話をして精一杯という生活です。でも、子どもは5歳とかを過ぎれば圧倒的に楽になるので、「今は子育てが私の使命」として受け入れて過ごしていました。

 

※本インタビューは全5話です。facebookとTwitterで更新情報を受け取れます。

 

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