インタビュー

【三芳町 佐久間智之 #2】もはや、公務員は安泰ではない

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広報の役割は、住民の行動を変えること

加藤:広報に異動し、やがて、全国広報コンクールで賞をもらうようになりました。

佐久間氏:2011年10月号で初めて特集を組みました。以来、ずっと続いていますが、2012年12月号で、車人形という、町の伝統芸能の特集を組んだときの組写真で賞を取りました。当時はあまり知られていない地域の伝統芸能で、自分も知らなかったんです。

 でも、写真を撮りに行ったら、その迫力がすごいんです。魂が人形に乗り移っているかのような鬼気迫る演技。三芳町にはこんなにすごい人たちがいることを、広報を通じて住民に伝えたい。それによって、公演に来てもらい、その息吹を感じてほしいという思いが生まれました。

 12月1日に広報誌が発刊されて、公演は12月16日。それにもかかわらず、なんと公演が満席になったんです。そのとき、広報の役割は、住民の行動変容につなげるものだとぼんやり感じることができました。自分が満足できるのが良い広報誌というわけじゃなく、住民を動かすことができたものが良い広報誌だと。その結果、賞をいただくことができたのかと思っています。

加藤:特集を組みだしてから、広報誌がどんどん読まれるようになったんですか?

佐久間氏:そうですね。あとは、裏表紙に子どもを6人載せて、「みんなのアイドル」というコーナーを作っています。裏表紙というのがポイントで、まず手に取ったら表と裏を見るじゃないですか。だから裏面に誰もが心温まる赤ちゃんや子どもを掲載することで目と興味を引きつけるという狙いがあります。

 一方、「孫が載ってる」からと、広報誌が欲しいと祖父母が窓口に来られることも。ゴミ箱行きだった広報誌を、欲しいと言ってくださる人がいる。全国からも取り寄せられるようになり、とても感慨深いです。

 私の作る広報みよしに登場する住民はほとんど正面を向いています。なぜなら、読者と目が合うようにして会話ができるような狙いがあるんです。住民に対して一方通行じゃなくて、お互いに会話ができるような広報誌を目指しました。

 また、地元のお店の商品がもらえる広報クイズでお店を紹介しつつ、あえて商品を発送せずに引換券を送ることで、お店に足を運んでもらう仕掛けを作りました。お手紙を紹介するコーナーを作ったり、編集後記も始めましたね。双方が楽しめる、読む価値意味のある広報を目指していき、その積み重ねがあって愛される広報みよしになったのかなって思います。

広報みよし27年度11月号の表紙画像(内閣総理大臣賞

広報みよし27年度11月号の表紙画像(内閣総理大臣賞)

24時間アンテナを張る

加藤:佐久間さんは独学で編集を勉強したと、よくメディアの記事で発言されています。独学のレベルを超えていると思うのですが、独学というのは本を買って勉強するんですか?

佐久間氏:本はあまり買いません。写真に関してはとにかく現場に行って、シャッターを切ります。あとはウェブを活用しています。たとえば、蛍の写真。グーグルで「蛍」と検索すると、写真が出てくるじゃないですか。これと同じように撮るためにはどうしたいいかと分析するんです。その繰り返しですね。

 デザインやレイアウトは、良いなと思うものを写メなどでストックしています。そのとき「なんで自分が興味を持ったのか」を分析するんです。パラパラとページをめくって、思わず手を止めたとき、目に留まった理由が写真なのか、レイアウトなのか、キャッチコピーがいいのかなど分析して、ストックしておきます。

加藤:それを業務中にやっているんですか?

佐久間氏:業務中もプライベートもです。駅の看板や電車の広告をみて「今のトレンドはこの色で、こんなデザインなんだ」と分析するんです。あとはうちの嫁さんが買っているInRedとか、ananとか、女性向け雑誌も参考にしていますイクメン雑誌の「FQ」はA4サイズで広報と同じでとても参考にしています。つまり、24時間アンテナを張っているんです。

やるかやらないか

加藤:広報誌を作るために研修を受けたりしなかったんですか?

佐久間氏:全然ないんですよ、自分はめっちゃ講師をするのに(笑)。研修に出るだけでレベルが上がるわけじゃない。結局は、研修を受けてアクションを起こすかどうか。やるかやらないかじゃないですか。

 僕は、インプットばかりで研修に出ることが目的になるのが嫌なんです。参考書を買って学力が上がったと思ってしまう感覚でしょうか。でも、自分にとってメリットや会いたい人がいれば、九州でも新潟でも自腹で行きます。中途半端に参加するくらいだったら、その時間を自分でググって知識を高めたほうがよっぽど効率的です。

加藤:実践とのバランスは大事ですよね。座学をやるだけで上達はしないと思います。

佐久間氏:ないです。だから、公務員が集まるイベントに出ている人も、アウトプットしなきゃだめだと思うんですよ。たまには、盛り上がるのもいいんですけど、それで終わりじゃなくて、人とのつながりを活かし、それを各自治体や国、職場にどうフィードバックするかが必要だと思うんです。

もはや、公務員は安泰ではない

佐久間氏:公務員って今後安泰じゃないと思うんですよ。この前経団連会長やトヨタの社長さんが「終身雇用やっぱり無理」みたいなことを言っていましたよね。

 成果を出さなければリストラされる。公務員もそういう時代が来ると思います。年功序列は近いうちに崩壊するかもしれません。橋下徹さんだって、在任当時やりましたし、どこの自治体でも起こり得るはずなんですよ。まず、その危機感を持たないきゃいけない。民間出向でなおさら思うようになりました。

加藤:いわゆる分限処分みたいなものですよね。何年ぐらい先になったら、厳しい時代が来そうだと思いますか?

佐久間氏:もう10年経ったらやばいんじゃないですかね。僕が18年前に三芳町に入庁したとき、インターネットが接続できるパソコンなんてありませんでした。それが、今、インターネットがないと仕事ができない状態になっています。職員だって減っていて、機械が代わりにやっていることもありますよね。コンビニで証明書を発行できる時代にもなりましたし。

 去年、株式会社モリサワに約1年間出向しましたが、出張が多いので、日本全国の世の中のうねりを肌で感じることができました。出張で沖縄へ行ったときに、一回もお財布を出さなかったです。全部スマホで済んじゃう。

 三芳町にいるだけでは井の中の蛙で終わっていたかもしれません。全国に飛び出したとき、世の中がどんどん進んでいるなかで、旧態依然の考え方やITを活用しなければ公務員は取り残される、と。トレンドをしっかりキャッチアップできる人材、機械じゃなくあなたでなければいけない。

 そういう人にならないと、これからの公務員として必要とされなくなり、それこそリストラされるかもしれない時代がすぐそこまで来ているんじゃないかなって思います。
(編集:市岡ひかり)

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※本インタビューは全6話です。facebookとTwitterで更新情報を受け取れます。

 

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