インタビュー

【浜松市長 鈴木康友氏 #2】『浜松市行財政改革推進審議会』はどう機能したか

鈴木康友3

切り替えのできる自治体職員は素晴らしい

加藤:最初に役所の中に入られる際に不安は無かったのでしょうか?

鈴木市長:正直、最初は私も不安でした。基本的に役所は保守的じゃないですか。「新しいことにどんどん取り組んでいくことができるのか」という、一抹の不安はあったんです。
 でも、やってみたらやっぱり職員の人は素晴らしいですよ。上が変わるとちゃんと頭を切り替えてくれる。まあそれはしぶしぶだったかもしれないけれども(笑)、特に大きな問題はなかったですね。

行財政改革が進む仕組みを作る

加藤:就任されてから、具体的にどう動かれましたか。

鈴木市長:私は選挙のときにマニフェストを掲げていましたので、まず、四年間の工程表を各部署に作ってもらって、毎年それを一年ごとの戦略計画という市の施策に落とし込むことを約束しました。それを粛々と進めることで、職員の人への意識付けのところから計画、実行まで着実に実現できたと思います。ありがたいことにマニフェスト大賞も受賞しました。

 もう一つは、『浜松市行財政改革推進審議会』というものを作りました。第一期、第二期はスズキの鈴木修会長、当時ヤマハ(ヤマハ株式会社)の社長だった伊藤修二さんという国際的なトップ企業の二人が会長、副会長を務めてくれました。

『行財政改革推進審議会』の役割

鈴木市長:この『行財政改革推進審議会』に2005年の8月から翌年の3月までに、会議だけでも140時間以上稼働してもらいました。そして、『浜松市行財政改革に関する答申書』という成果物をもとに提言をしてくれて、実は、そのときにほとんどの行革メニューは出そろったんですね。市債の削減、補助金改革、外郭団体の改革、それから資産経営と、それをやるための公会計改革ですね。それをきっちり我々が市の行政経営計画の中で実行していく流れにしていきました。かなりスムーズに進んだと思います。

 答申書で提言を受けた後も、審議会では進捗状況がチェックされて、「どうなってるの?」「遅れているじゃないか」と厳しく指摘してもらいました。

事務局の存在によって提言が具現化された

加藤:『行財政改革推進審議会』の取り組みが成果につながっているポイントはどこにあるのでしょうか?

鈴木市長:これが実際に機能したポイントは、『行財政改革推進審議会“事務局”』というものを作ったことです。これは、市の職員と民間から派遣された優秀な若手の人たちが集まってできた組織です。

 浜松市に提言するためには行政の中身を知ってもらう、勉強をしてもらわなければいけないということで、非公式の勉強会を何回も何回も徹底してやるわけですよ。ウィークデイは仕事があるので皆さん土日返上です。表面的な話ではなくて、かなり突っ込んだ議論をして、それが、『行財政改革推進審議会』を通じて提言としてあがってくる。実現可能で非常に的を射ている指摘があがってきたら、抵抗したい人がいてもできないですよね(笑)。

加藤:行革に関する審議会に事務局がついているケースは多くあるものですか?

鈴木市長:あまり聞いたことがないですね。しかも、市の職員が参加して、民間からの派遣された優秀な若手の人たちと一緒にやるというのは珍しいと思います。

財政健全化に効果的だった施策

加藤:財政健全化を進めるうえで、有効だった施策を教えていただけますか。

鈴木市長:施策としては、まず『定員適正化』ですね。これは別にクビを切るわけじゃなくて、毎年の採用を抑えるということが中心です。これも定員適正化計画という計画を作りまして、それに基づいて職員定数の削減をしてきました。私が市長になったときに6500人くらいだったものが、今は5400人程度になっています。

 それから外郭団体の整理統合。市長に就任してから外郭団体の数は22から14となりました。各団体の経営健全化に向け、市として必要な関与を行い、外郭団体に対する市の損失補償や債務保証を解消しました。あと数年で市からの借入金もゼロになります。

 それと、補助金やインフラの削減も行いました。補助金は、平成20年度予算で86.3億円あったソフト事業を翌年には約0.5億円削減し、その後も毎年ゼロベースでの見直しを継続しています。インフラの削減にあたっては資産の状況が把握できていなければいけません。それまでは償却なんていう概念はなかったですが、私が市長になってから、公会計改革もやって固定資産台帳も作って民間並みの経営ができるようにしました。それぞれのインフラや箱物の、現在の価値を一つひとつ全部洗い出してカルテを作ったんですね。
 稼働率などをもとに、これはいらないだとか、この施設とこの施設をひとつにしても運営できるとか検証し、400を超える施設を整理しました。

 

※本インタビューは全5話です。facebookとTwitterで更新情報を受け取れます。

 

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