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【袋井市 石塚浩司 #2】給食における地場産物の仕入れ額は8年で7倍超

食育のため、給食の地産地消率を上げる

加藤(インタビューアー):石塚さんの功績の一つに、給食における地産地消率の向上があります。具体的には、地場産の仕入れ額が平成24年の350万円から令和元年には2,689万円まで上がっていますね。同期間で、給食で使用する主要10品目の重量ベースでは、地場産物が13.8%から43.3%に向上しました。これについて詳しく教えてください。

石塚氏:食育基本法ができてから学習指導要領の改訂があり、その流れで学校給食に地場産物を使う重要性が増したんですね。身近にあるものを教育に繋げようという意図なのですが、これがなかなか大変でして。
 前回申し上げた調理能力の限界の話とか、これまでお付き合いがある仕入れ業者との兼ね合いとか、様々な壁が立ちふさがるわけです。

加藤:すぐに解決できるような話ではなさそうです。

石塚氏:袋井市の場合、新しい給食センターができたことで調理能力が上げられましたので、あとは地場産物を仕入れられれば良いのですが、それが試行錯誤の連続でした。
 そもそも食育を抜きにしても、近くで獲れた野菜の方が新鮮で美味しいじゃないですか。ですから私の所属する「おいしい給食課」としては、非常に重要なテーマでした。

地場産物と給食との相性

加藤:地産地消率を上げるためには、地場産物の品目と給食の献立の相性が良くないと厳しそうですが、袋井市はその辺りどうだったのでしょうか。

石塚氏:実は袋井市の場合、農業が基幹産業なんですね。ただし、農業と言ってもお米と、静岡県特有のお茶と、あとは高級なクラウンメロンが主でして。中でも、農業生産額の半分以上がこのクラウンメロンなんです。

加藤:給食の献立には採用しにくそうですね。

石塚氏:おっしゃる通り、給食にはちょっと不向きですよね。お米はともかく、クラウンメロンが出て来る給食は想像しにくいです。では何が給食に向いているかと言えば、普段の生活でよく出会うような玉ねぎやじゃがいも等の品目になります。
 袋井市でその野菜が生産されていなかったわけではありませんが、集めて出荷するほどの生産量がなかったんですね。もっと言えば、そもそも農政部としてどれ程の量があるか把握していなかったんです。じゃあまずはそこから手を付けなければと、動き始めました。

地道に地元農家さんと繋がっていく

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加藤:つまり、地元農家さんの数の把握から始めたのですね。

石塚氏:最初はとりあえず農業の関連部署や組織に話をしに行きましたが、そこでは把握していないとのことでした。その後、誰に聞いてもわからないというので、これはもう自分で直接まわらないと無理だと悟りました。
 まず地域で玉ねぎを育てている畑を見つけたら家の人を訪ねます。「この玉ねぎどうするんですか」って聞いたら「家で食べるよ」って言うので、「来年いっぱい作って給食に入れてみませんか?この畑で作ってくれれば買わせていただきます」と話をしました。

加藤:それを一軒一軒やっていくのですか。とてつもなく地道ですね。

石塚氏:はい。最初の頃はそんな飛び込み営業をたくさんしていましたね(笑)。そういう交渉を継続していくうちに、「そこの家でも作っているよ」と繋いでいただいて、徐々に増やしていきました。

加藤:それを続けることで、仕入れコストに変動はあるのでしょうか。

石塚氏:配送料等も加味すると、結果的に安くなります。全国的な課題として特別に作ってもらうと費用が高くなると言われがちですが、袋井市の場合は違います。農家さんは学校給食で多めに儲けたいわけではないんですよね。
 そもそも、学校給食の予算規模はそこまで大きくないんです。野菜類の予算は最大で7,000万円ぐらいの規模ですから。

加藤:なるほど、その規模だとそこで大儲けはできないですね。きっと、自分が作っている農作物が学校の給食に出ること自体が嬉しいのかもしれませんね。

石塚氏:おっしゃる通りです。それこそ自分のお子さんやお孫さんが食べるわけですから、自然とやりがいが生まれますよね。いまはコロナでできませんが、農家さんに学校で一緒に食べてもらったり、農業体験をしてもらったりすることもあります。まさに食育に繋がる取り組みだと思います。

(取材=加藤年紀 編集=小野寺将人)

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※本インタビューは全5話です。facebookとTwitterで更新情報を受け取れます。

 

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