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【三芳町 佐久間智之 #5】異動して半年がカイゼンのチャンス

広報日本一より嬉しかったこと

加藤:佐久間さんは何か新しいものに挑戦されることが多いと思います。以前に在籍した税務課と健康増進課では、どのようなお仕事をされましたか?

佐久間氏:税務課では、固定資産税という家屋調査をするような部署にいましたが、「これは改善できるのでは」と思うところがたくさんありました。
 固定資産税は1月1日時点の所有者に課税するので、新築で登記の届け出があっても1月1日になるまでストックし、いっさい家屋の調査を行っていませんでした。年が明けたら一気に対応するため、年明けからずっと残業が続くんです。
 でも、登記って随時来るものなので、2年目に「登記が上がったら、都度、家に調査に行けばいいのでは」と提案をしました。その後は、登記が上がったらすぐに訪問調査のお願いの電話をして、随時調査をするようになり、残業が劇的に減りました。

 介護のときは、ソフトを作りました。独自で作ったら「1個何千万もします」と業界の人から言われるくらいのプログラムソフトを、VBA(ビジュアルベーシック)で5つぐらい作ったんです。
 一年目は、ほんっとに残業が多かったんです。友人の結婚式に参加できないくらい。異動してきてびっくりしたのが、引き継ぎが全くなく、マニュアルもない。もうパニックです。「こんな思いを誰にもさせたくない」と思ってエクセルのVBAを使ってマクロを組んで、ソフト作っちゃえばいいやと思ったんです。助成事業や月報を提出する必要があるんですけど、それを、一カ所でできるソフトなどを自分で作ったんです。

 細かいところだと、文書収受簿も作りましたね。あとは福祉用具貸与、住宅改修の起案から承認決定、給付決定から口座管理を一括してできるものや、介護保険料の還付処理の管理ソフトなどなど。還付処理って年金天引きの時期の関係で複雑なんです。家族が年金機構に死亡処理をしていないといつまでも還付できずに残っていたりとか。業務ソフトを開発している委託会社ではわからない、痒い所に手が届く現場レベルのソフトを作って改善できたのは、広報で日本一になったことよりも、公務員としてうれしいことです。

改善をして、男性職員初の育児休暇取得

佐久間氏:主治医意見書送付のプログラムは業者のものよりも使えると評判がよくって。「佐久間さんのおかげで早く帰れるようになりました」と言われたり、目に見えて業務改善が出来て本当に良かったなって思います。
 プログラムの中に金曜日になると「今日は金曜日!明日お休み!」って表示されるようなものを組み込んだりして。10月21日の僕の誕生日にも「今日は誕生日!」と表示されるように仕込んでいます(笑)。遊び心も必要かなと。

 エクセルで作ることは結構簡単なんですよ。ただ、関数だと一行ずれると計算式が崩れておかしくなっちゃう。でもプログラミングでやってしまえば、言語が変わらないかぎり崩れないんです。だから、10年経ってもまだ使っていて、うちの介護保険担当は残業を全然していません。僕自身も残業がなくなって定時で帰れるようになり、このときに男性職員で初めて育児休暇を取りました。それは、このソフトがあったからですね。

 他にはコンビニ収納とかをやりました。コンビニ収納は手数料が高いから、手数料取られて食いっぱぐれが生じるからやんないほうがいいと、当時は言われました。もっと言うと、高齢者はコンビニへ行かないとまで言われました。「それって、ほんとかな?」と疑問がわきましたが、住民の利便性が重要だ、と。
 そして、その結果、収納率が上がるなら、手数料以上の効果があるのではないかと思って、収税課などとしっかり調整もして開始しました。軽自動車税のはがきを除き、三芳町で納付書を使ってコンビニ収納を行ったのは、介護保険料が初めてでした。

異動して半年がカイゼンのチャンス

佐久間氏:新しい部署に行くと「これをこう改善したら、めっちゃ得になるのに」というポイントがたくさんあって、その原因を究明し、改善につなげるんです。こんなに楽しいことはないんですよ。介護の時は無駄なことリストを100個ぐらいリストアップしたんです。ただ、すぐに改善するとよくない。なぜかというと、経験がないから無駄だと思っていることでも、実は必要なこともあるんです。なので、一年経ってもやっぱり無駄だと思ったことは、二年目に変えていく。

 だから、最初の半年ぐらいはチャンスですよね。染まっていくと、見えなくなっていっちゃうんですよ。なじむ前にそこに気づいてリストアップして、翌年に改善するっていうことが、重要だと思いますね。

新しい広報担当者は1年分の広報誌を見てほしい

加藤:今年の4月から広報担当に異動した人も、同様に改善のチャンスを迎えているということですよね。新たに広報を担当している人へ何かアドバイスするとしたら、どういう声をかけますか?

佐久間氏:新しい担当者は、自分の町の広報を見ていないと思うんです。自治体職員でも、たぶん見てないですからね。まず、1年分の広報誌を見て、町のことを知ってもらいたいです。

 僕は異動した直後に、いろんな気づきがあって、おもしろい町だなって感じました。10年ぐらい勤めていても、芋が特産であることすら知らなかった。実は、町のことをまったく知らなかったんですよ。職員でも知らないことは住民も知らないだろうと、広報誌に盛り込めば、住民が町の魅力を知ることができます。そこが最初だと思うんです。

公務員とプロの編集者にボーダーはない

加藤:佐久間さんは「公務員のプロ意識」という話をよくされていますね。どういうことか教えてもらえますか?

佐久間氏:税金をいただいている以上、プロという意識は当然必要だと思います。自分がどれだけの価値があるか、みんな気づいてないと思うんですよ。たとえば、時給換算で2千円だと仮にしますと。僕はそれを“秒給”で考えるんです。そうすると、1秒0.5円です。分給で考えると33.333……円。そうなると、5分間ぼけーっと座っているだけで、150円ちょっともらえる計算になります。住民が納付した税金の一部で僕がぼけっと仕事をしていたら、すごく失礼じゃないですか。1分1秒を無駄にしない意識は必要かなと思います。

 公務員が広報誌を作るのも、プロの編集者が雑誌を作るのと同じように、お金をもらっているわけです。そこにボーダーはないんですよね。だから、僕は雑誌よりもいいものを作んなきゃいけないという意識を持っています。

仕事を楽しむ秘訣は「難しい仕事を、ゲーム感覚で行う」

加藤:佐久間さんは楽しそうに働いている印象があります。仕事を楽しむ秘訣はありますか?

佐久間氏:これが、あるんです(笑)。一つは嫌な仕事と楽な仕事と選択肢があったら、僕は嫌な仕事を選ぶようにしているんです。嫌な仕事は難しい仕事です。そうすると、乗り越えたときにめっちゃ楽しいんですよ。楽なほうをやって結果出しても、おもしろくないんです。困難な仕事をクリアできたほうが達成感があるので、それを積み重ねると楽しいと思えるようになるんです。

 もう一つは、ゲーム感覚で仕事をすること。たとえば、「介護保険料上がったぞ、こらー!」と、昼間からお酒を飲んで酔っ払った住民のおじいちゃんから、トップギアで電話が来ることもあるんです。そうなると、このじいちゃんをどう説得して、最後に「ありがとう」といわせるかという「ゲーム」に置き換えます。僕はいつも「たのしごと」っていうんですけど、住民の理解を深めるために、どういう伝え方をするかっていうことを自分のなかで構築し、それが具現化できたときには、やりがいを感じて楽しいですね。
(編集:市岡ひかり)

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※本インタビューは全6話です。facebookとTwitterで更新情報を受け取れます。

 

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