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太田千尋4

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【仙台市 太田千尋氏:4話】敢えて不親切な人間を演じる

クレーマーへの対応はもっと重要視されるべき

加藤:他の自治体職員にアドバイスできるものはありますか?

太田氏:震災のとき、皆が不安な気持ちになるからクレーマーが結構出るんですよ。そういう人たちへの対応はもっと重要視されるべきなんです。

 実際に、私も区の災害対策本部にいた時に対応していましたが、「すいません。今は忙しいから出来ません」っていう役所って多くないですか? でも、それだと一週間経ったら再度来ますよね。「あのときは忙しいからできなかったんでしょ? 今は落ち着いたからできるでしょ?」って必ずなりますよね。

 だから、最初から多少時間がかかってもいいから、できない本当の理由を話して理解してもらわないといけないです。そういう基本的なことをちゃんと守っていれば、自分達がクレーマーを作ることはなくなります。そうすれば、「行政はちゃんと仕事してくれているんだね」と分かってくれますから賛同者が増えますよ。バタバタして忙しいときこそ、注意してほしいです。

運命的な仕事

加藤:現在のお仕事について教えていただけますか?

太田氏:定年退職後に再任用で仙台市の宮城野区役所、まちづくり推進課のふるさと支援担当というところにいます。今年の4月から新しくできたポジションなんですよ。まちづくりに関することを仙台市では一回やろうとしていたんですけど、震災があったために中断している状態だったんですね。

 それで、今年度の事業としてスタートしたのですが、私が担当している地域というのが、東日本大震災の際に津波で被災した宮城野区の地域なんですよ。以前はそこで捜索活動だったり、被災者支援をしていました。不思議というか、運命的な出会いを感じています。

行政に頼らない自立した地域作りを目指す

加藤:その、まちづくり推進課で防災の観点も含めてお仕事をされているのでしょうか。

太田氏:基本的には別の仕事をしています。もともと、防災のほうが役に立てると私も思ってはいましたが、公務員は辞令一枚下りればそれが全てだと考えています。防災は「ライフワーク」として理解を広めるということを心に決めています、どういう状況であってもやろうと決めているので、家内から「家にいる時間が無いじゃない!」と言われながらもプライベートでやり続けています(笑)。

加藤:(笑)。「ふるさと支援担当」のお仕事の目標はどこにあるのでしょうか。

太田氏:それは、『行政に頼らない自立した地域』です。地域の自治会には自分たちができる限界があるじゃないですか。お金のこともそうですし。だけど、地域の活性化と言ったときに、行政から言われたものを受け入れるよりも、自分たちで「これをやりたいんだよ」って言ってもらったほうがよっぽど効果的なんですよ。ですから、どうやったら地域の皆さんが話し合いしながら地域を活性化していけるのかと、一緒に考えています。

敢えて不親切な人間を演じる

太田氏:私は不親切な人間だって言われたりします。要は、行政ってなんでもかんでもしてあげるじゃないですか。それが仕事なんですけど。それをしていると住民は止まってしまう。
 どうしたら住民が自立できるかなって考えたときに、手伝い過ぎたらいけないんだろうなって思いました。手伝いが過ぎると満足度数は確かに高いんだけど、自分で行動しようとは思わない。だから、自分で行動してもらうには少しの不自由さを感じてもらうしかないかなって。

 例えば、防災訓練で炊き出しがあるじゃないですか、200人分ぐらいの大きな釜を使うやつです。機材を運んでいって、「組み立て方がわからない」って住民に言われたら、普通の消防職員は組み立てちゃいますよね。でも、これは去年も消防が組み立てていたんです。とぼけたふりして「この炊飯機材は、私も組み立て方が分からないんです」と言うようにしたりする。

地震があったときに消防職員はいない

太田氏:「炊飯機材の組み立て方が分からない。」と答えると、自分達が何とかして組み立てようとします。そうすると、不親切だと言われるんだけど、次の年には私が何も言わなくても自分たちで出来るようになっています。

加藤:面白いですね。

太田氏:実際に地震があったときに、私たちはその場にいないわけじゃないですか、最前線の活動現場に行ってます。そうするとやっぱり、何とかして覚えてもらうしかない。でも、手を貸さずに我慢しているのも大変なんですよ(笑)。実は、隠れて見守ったりしています(笑)。

町内会に加入しない人が多い

加藤:今、地域の方たちと接する中で、町内会の課題はなんでしょうか。

太田氏:町内会に加入しない人が多い。その人たちをどうやって町内会に加入し町内会の活動に参加していただけるようになるかっていうのが課題ですね。マンションなんかは加入しなくても管理費をもらっているので、ある程度運営できると聞いています。

 ところが、地域の町内会だと、「入る、 入らない」は自由ですから、そうすると、ごみの収集なんかにも問題が出て来ます。妹がアメリカに10年くらい住んでいましたが、アメリカには町内会がなくて、一軒一軒ごみの収集に回っていると言っていました。日本特有の町内会という住民自治会は今後とも大切にしていかないといけないと思っています。

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※本インタビューは全5話です。facebookとTwitterで更新情報を受け取れます。

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