コラム

【もっと自治体職員を楽しむために#3】本が人をつなぐ

五斗 玲子
【五斗 玲子(ごと れいこ) 経歴】
東京都生まれ。大学では上代・中古の日本文学を専攻し、趣味は読書、寺社仏閣めぐり、カフェめぐりなど。好きな作家は辻村深月と小川洋子。2016年生駒市役所入庁、図書館(本館)でビブリオバトルの運営や、障がい者・高齢者サービスなどの大人向けのサービスを担当。

 私は大学を卒業後、就職をきっかけに関西で暮らしている。生まれてから大学卒業までを東京で過ごしたため、「どうして奈良に?」「何でわざわざ生駒に就職したの?」とよく聞かれる。小学生の頃からの図書館司書への憧れは、大学で学ぶうちに「地域密着形で人と本との出会いを提供できるような図書館で働きたい」とより具体性を帯びるようになった。生駒を選んだのは、生駒市図書館が私にとっての理想の図書館だったからである。

 入庁後、大人向けのサービスを提供する班に配属された私が、メインで任された仕事は、ビブリオバトルの運営だった。ビブリオバトルとは、おすすめの本を5分間で紹介し、皆で一番読みたくなった本を決める知的書評合戦である。生駒市図書館は、月1回の定例ビブリオバトルの他に、全国大学ビブリオバトルの予選会や地区決戦、年に1度全国の本好きのお祭り「ビブリオバトル全国大会inいこま」も開催している。

 定例のビブリオバトルは、「生駒ビブリオ倶楽部」という市民団体との共催で、他のビブリオバトルも全て倶楽部員の方と相談しながら企画運営している。担当業務になったものの、仕事という形でビブリオバトルを知った私は、既に出来上がったコミュニティでビブリオバトルを楽しむ倶楽部員の方に気後れしてしまい、なかなか新しい提案や意見が言えず、どうやって関係を築けば良いのか分からなかった。

 ビブリオバトル全国大会は、トークイベントのゲストの招聘や発表団体の勧誘など、1年がかりで準備をする大きなイベントである。1年目に全国大会に携わった時は、右も左も分からず、ただ言われたことをこなすだけで必死だった。だが、1冊の本を紹介するために全国から多くの人が集まることや、人前で話すのが苦手な人が、聞く人を魅了しながら好きな本をイキイキと紹介する姿を目の当たりにしたり、本の紹介を通して新しい人との交流が生まれたりと嬉しい発見がたくさんあった。

 がむしゃらに頑張った1年間の経験が、2年目の大会運営に大きく活きた。トークイベントのゲストの招聘に難航する中、無理を承知で高校時代から愛読している辻村深月さんに一番好きな作品の感想を添えた手紙を送ったところ、幸運にもゲストとしてお招きできた。企画内容にも辻村さんの作品の魅力を来場者に知ってもらえるように改善を加えた。
 1年目の全国大会では、事前と当日に集めた質問に答えてもらうだけでトークイベントが終わってしまったので、辻村さんのファンである中高生と共に、辻村さんの作品によるミニビブリオバトルのコーナーや、本の装丁のお話を聞くコーナーを盛り込むなどの工夫をした。当日は壇上で司会進行も努めた。好きな作家とその作品について話せたことは一生の思い出である。辻村さんはもちろん、イベントに参加してくれた中高生や来場者の皆さんに満足してもらえたことが自信につながった。地域の中高生を巻き込んでイベントを企画できたことは、地域に密着している図書館だからこそできたことだと思う。

辻村深月さんを迎えた『ビブリオバトル全国大会 in いこま』

 全国大会をはじめ、毎月のビブリオバトルに参加し、時には自分も発表しながら経験を積み重ねて3年目を迎えた。今では、生駒ビブリオ倶楽部員の方とも随分打ち解けることができてきた。難しく考えずに素直に思うことを言い合える関係になることが、大切だと実感している。今後も1人でも多くの方に楽しんでもらえるよう、自らも楽しめるようなイベントを倶楽部員の方と一緒に企画していこうと思う。読書は1人でも楽しむことができる。しかし、この2年間で強く感じた「本が持つ人と人をつなぐ力」を、これからももっとまちづくりに活かしていきたい。

ビブリオバトルのあとに市民の方々と

ビブリオバトルのあとに参加者の方々と

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