コラム

週刊 寺本英仁「巻き込む力」と「ビレッジプライド」の育て方 第19号(HOLG版)

ビレッジプライド

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本記事では、有料メルマガ「週刊寺本英仁@島根県邑南町/「巻き込む力」と「ビレッジプライド」の育て方」の一部(A級グルメ連合についてのストーリー)をご覧いただけます。なお、掲載するメルマガは約3か月前に配信した内容です。最新かつ、全文の閲覧を希望する場合はコチラからお申込みください。

【第19号の目次(2019年10月16日配信)】
1.近況ーー問題も解決して「香夢里プレミアムポーク」が完成!
2.里山レストラン「香夢里」は立ち止まらない(14)
3.<A級グルメ連合>の仲間たち 西ノ島町編(6)
4.著書の案内、質問募集!など

メルマガの一部をHOLG.jpに公開いただいています。

3.<A級グルメ連合>の仲間たち 西ノ島町編(6)=志を同じくする5市町の取り組みを連載形式で紹介します!

 西ノ島の取材で最後に向かったのが、中上光さんだ。
 読者のみなさん、中上光さんの名前を、ぜひ覚えておいて欲しい。彼は、今や、隠岐諸島の食材の代名詞となっている岩牡蠣の養殖に、日本で最初に成功した人物だ。

 中上さんは、岩牡蠣の養殖にチャレンジする前に、イタヤ貝やヒオウギ貝の養殖にチャレンジしてきた。養殖することで、収入の安定化が図れるし、ひいてはそれが西ノ島の産業の振興に繋がる。一貫して、その信念をもって生きてきた人だと感じた。

 その唯一無二の岩牡蠣の養殖の技術を、漁師仲間に惜しげもなく教えた。だから僕は、彼のことを「ミスター岩牡蠣」だと思っている。

 最近は冷凍技術も進み、保存しても旬の状態と変わらなくなり、岩牡蠣は私たちの口にいつでも入るようになった。

 今、都会ではオイスターバーが流行しているが、海外産の牡蠣が多い。知名度や値段の面で、国産の岩牡蠣はまだまだ流通が進んでいない。

 邑南町のキャビアも同じだが、希少価値のものほど、価格の安い方を選択する料理人や消費者も多い。「もともとそれ自体が貴重品だから、国産でなくてもいい」と思うようだ。

 僕はなんとか、この中上さんの岩牡蠣を世の中に出したいと、つね日ごろから考えているのだが、なかなかよいアイデアがない。

 そんな夜、思いがけない出会いが会った。

 それが僕の宿泊している宿、国賀荘のオーナー升谷圭吾さんだ。
 彼は東京でカメラマンをしていたが、国賀荘を経営している両親が亡くなったため、実家の家業を最近継いだのである。
 チェックインのとき、彼は唐突にこんな話をしてきた。

「町は<A級グルメ>で町おこしを考えているみたいですけど、ホテルや旅館側からすると課題があります。漁業権を持っているところは、西ノ島の魚が手に入りますが、そうでないところは、手に入りにくくて、安定して地元のものを使えないですよ。役場の方も、そのあたりは課題と考えてくれて、いろいろ考えてくれいるみたいなのですが…」

 漁業や畜産は入札権を持っていないと、セリに参加できない。
 ホテルや民宿も昔は、自分で漁をして、料理として振舞うことがウリだったが、最近は高齢化もあって海に出なくなり、魚を手に入れるのは漁協を通さなくてはいけない。でも入札権がないとそれもなかなか、難しいのである。

 それを解決するために、西ノ島町役場の産業振興課も今、一生懸命動いている。
 町の将来を見据えて役場、漁協、観光業の人たちがもっと話し合わないといけないことだと思っている。ただ、それには時間がかかる。日々商売をしている、ホテルや旅館は待ちきれない。

 夜、升谷さんとこんな会話になった。
「今できないことをできるように努力するよりも、今、あるものを見つめ直してみましょうよ。西ノ島は養殖岩牡蠣の発祥地で、ご本人もこの町に住んでいるんですよ、中上さんご存知ですか?」
「中上さんはうちに岩牡蠣を納品してくれています。たしかに彼の岩牡蠣は、ものすごく評判がいいです」
「岩牡蠣中心のメニュー構成に料理を変えてみるのはどうですか?」
 そう言った僕に、彼は顔を雲らせた。

「たしかに、寺本さんが言われるように挑戦したい気持ちはあるのですが、旅行会社に営業に行くと『舟盛りはありますか?』とよく聞かれるんですよ」
 そのときの会話を思い出してか、升谷さんの声も沈みがちだ。

 彼が少しでも新しいことにチャレンジしてみたいという気持ちがあるなら、前に進んだほうがいい。本心から僕はそう思った。

 僕には、少しだけ勝算があった。「ここでしか味わえない食や体験を邑南町で!」と呼びかける<A級グルメ>を15年間続けている堪のようなものだ。

 僕は升谷さんに、こんな提案をした。

 最初に生の岩牡蠣のビックサイズを2個。次に海藻しゃぶしゃぶ。そして岩牡蠣のグラタン、魚のあら汁、サザエご飯、そして、地元のお母さんが作るデザートである。
 さっきまでネガティブだった、升谷さんの目が急に輝いてきた。

「これを国賀荘だけの取り組みにするのではなく、島にあるロザージュ、鶴丸の2つの大型宿泊施設に声をかけて、ゆくゆくは西ノ島の全宿泊施設のメイン料理にしていきましょう」
「では8月、僕がロザージュと鶴丸、2軒の経営者にも声をかけますので寺本さんも来てくれませんか」

 もちろん僕はそのオファーを快諾、その夜は食事することも忘れて語りあった。そして、この若者が岩牡蠣を使って西ノ島町を変えてくれるのではないかと感じた。
 西ノ島の8月の海に潜ることに加えて、もうひとつの楽しみができた。

 僕自身、役場に入ってから何度か、趣味の水中写真の撮影で西ノ島町に行っていたから、とにかく風景のいい場所という印象があった。

 隠岐といえば、青い海を背景にした断崖絶壁の草原で、馬や牛がのどかに放牧されているイメージを持つ方も多いと思うが、あの絶壁の草原は国賀海岸で西ノ島町にある。

 僕の推測によると、多くの観光客にとって隠岐諸島のイメージは、西ノ島町の国賀海岸で作られているのである。

 国賀海岸は約13キロにわたって200〜250メートルの大規模な海蝕崖(波によって削られてできた崖)が発達する断崖絶壁で、とくに「摩天崖」(まてんがい)と呼ばれる海蝕崖は国内最大級の高さ257メートル、観光客は圧倒される。

 邑南町も豊かな自然に恵まれ、断魚渓など多くの自然景勝地はあるけれども、国賀海岸のスケールには太刀打ちできない。この景観を見るだけでも西ノ島町に行く価値は十分にある。

 僕は海に潜るので、水中の紹介もしておこう。夏場は透明度が30メートルを越えることもあり、とくに洞窟のダイビングは海中に太陽の光が差し見込んで、非常に神秘的に見え、猛烈に感動する。

 ヒラマサやイサキなど回遊魚も高い確率で撮影できるため、日本のダイビングスポットとしても有数であると僕は信じている。
(西ノ島町編・了)

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