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コントロールできるのは今だけ|金融庁長官 遠藤俊英・よんなな会 脇雅昭

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嫌な思いは引きずらない

脇氏:私は今総務省に入って11年目なんです。会場にもいらっしゃるかもしれませんが、実は、総務省に入ってから数年ぐらいは毎年のように辞めたいと思ってたんですよね。長官になられるような方にもそういう思いや経験をされたことはありますか?

遠藤長官:もちろんありますよ。もちろんありますけれども、私はどちらかというと根がいいかげんなものですから(笑)、あんまり引きずらないんですよね。それと、12年前に軽井沢に引っ越してから、物理的に霞が関から離れているのは大きいんですよ。

 僕が仕事を済ませたと思っていた時に、上司はまだやりかけだという認識だったので、電話がかかってきたんです。そういう時は、「私はもう軽井沢に着いて帰れませんから、よろしくお願いします」となるんですね(笑)。

 駅から自分の家までは自転車を使って帰りますが、夜中なので星空が見えるわけです。空気が冷たくて星空に囲まれると、ものすごく気分転換になるんですよね。「まったく、馬鹿馬鹿しくて、やってらんないよな」ということを思いながら、家に着いた頃には平常心に戻っているんです(笑)。

単純作業からも学べることはある

脇氏:(参加者に向けて)せっかくの機会です。長官に質問のある方はいらっしゃいますか?

質問者A:若手職員や事務系の職員は、国でも基礎自治体でも単純作業が多いと思います。どうすれば、作業ではなくて仕事としてやっていけるのでしょうか?

遠藤長官:私もそうでしたが、若手の時は雑用とか作業ばかりで腐っちゃうんです。日々憂さを晴らすこともあったのですけども、「作業の中で上の仕事を盗んでやろう」、「この仕事はどういう意図で与えているのか」と考えるのが大切だと思います。

 私が若手の時はワープロがなくて、紙で書いていましたが、僕らが清書したりコピーしたりしていたんです。例えば、「100部コピーしろ」と言われた時に、コピー機のある事務所に行って、印刷が終わるのを待っている間に資料を読み込んで、「あーなるほど、こういう風に書くんだ」と学ぶんです。

 小さい話で偉そうに言えることではないですけど、少しでも学び、自分の時間や作業が無駄にならないように、得られるものを探していました。

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 だから、作業はつまらないと思ってやるんじゃなくて、何か得られるものがあるとポジティブに向き合うと、学ぶべきものがあるんじゃないかと思います。また、そういうことで得たものというのは、課長や局長になった時でも結構覚えているんですよ。

 そういう意味では、「俺が上司だったら、こういう作業をするだろう」、あるいは「もっとうまいやり方があるんじゃないか」とか、いろいろ考えるわけです。それが苦しい時間を乗り越える秘訣ではないかと思います。

若手に機会を用意する

脇氏:今の自分に何ができるかということを考え続けるということですね。
長官は若手が外に出る機会を増やしていると聞きました。それも同じ思いでやられているんでしょうか?

遠藤長官:若手の方には、様々な機会や出会いがあるかどうかが重要だと思うんですよ。例えば、金融庁内では仕事について私が若手に直接話す機会はないんです。

 だけど、私が地方で講演をする時に若手職員を連れて行けば、直接メッセージが伝わるし、講演が終わった後の懇親会で、自分で地域の人と名刺交換をしてネットワーク広めてくれる。
 外交辞令かもしれませんけど、後で聞いてみると若手も面白かったと言っているので、そういう機会を若手に提供するのも大事だと思います。もちろん、その機会をいかにうまく使えるかどうかは本人次第ですけどね。

金融経済教育を広めたい

質問者B:遠藤長官は、高校生や若者が生きていくために必要な知識はなんだと思われますか?また、私は学校で教員をしておりますが、いつか講演をお願いできないでしょうか(笑)?

脇氏:後者の質問はドキドキしますけど(笑)、前者はむちゃくちゃいい質問ですね。どうなるんでしょう(笑)。

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遠藤長官:まず、後の質問(登壇)はぜひやらせていただきたいです。

脇氏:おー、すごい!

会場:(拍手)。

遠藤長官:私は金融経済教育を拡大したいと思っているんです。それは、今までもずっとやってきているんですけど、あまり浸透していない。

 新聞を見ていると詐欺被害の記事もよくあるじゃないですか。金融の道理を知らないとなかなか判断がつかないんじゃないかと思うんです。それから、今すごく長寿社会です。60歳で引退して100歳まで生きるとしたら、あと40年間なんとか生きながらえないといけない。

 退職金をもらって、それをどうすればいいか分からないですよね。日本人はお金の話は二の次だとなるんですけど、お金はお金として働かせないといけないわけですよ。やっぱり自分の生活を支えるものですから、適切に増やしていかないといけない。そのやり方を示すことが金融庁のひとつの大きなミッションだと思っています。

 金融庁の職員は1500人しかいないんですけど、この1500人が全員で広めたいと思っています。実は長官をさせていただいてから、自分の地元の高校で金融経済教育を教えたいという職員を金融庁内で募集したんですね。職員はみんな忙しくしているから、1500人の中でなかなか手を挙げてくれないかなと思ったら、100人がやると言ってくれました。

 学校のカリキュラムもたくさん詰まっているので、小中高も外部からの講師を受け入れて、一コマ確保していただくのも実はなかなか難しいんですよね。ですけれども、教育委員会にもお願いして、100人の思いを実現させたいと思っています。

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コントロールできるのは今しかない

脇氏:今日は沢山の20代、30代、そして40代の方々が来ています。最後に長官からエールをいただければと思います。

遠藤長官:私も公務員生活を36年間やっていて、腐ることもありましたけど、ひとつだけアドバイスさせていただきますと、「将来これをやろう」というのはダメなんです。

 将来のことを自分はコントロールできません。コントロールできるのは今しかないんです。目の前にある課題に対していかに逃げずに取り組むかというのが重要じゃないかと思います。

 私のことを振り返ってみても、課題に向き合うことをサボると、必ずしっぺ返しを受けました。社会人生活の中では、ぜひ目の前の課題に全力を尽くして取り組んでいただきたい、それが皆さんの将来を創っていくんじゃないかなと思います。

 今日は地方行政に携われている方がお集まりになっているのを見て、志の高さとすごいエネルギーを感じました。全国で同じような考え方を持っている方が集まって、横のつながりができることは素晴らしいことだと思います。金融庁もその輪の中に入れていただきたいなと思う次第です。

 脇さんがおっしゃるように、人の縁はすごく大事だと思っておりますので、今日は大きな縁をいただいたと思っております。今日をきっかけに金融庁もネットワークを作らせていただいて、それぞれの地域で何かやっていきたいなと思っております。よろしくお願いします。

会場:(拍手)

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→本記事の前編はコチラ「権限を正しく使う|金融庁長官 遠藤俊英・よんなな会 脇雅昭

【よんなな会の過去の記事はコチラ】

小泉進次郎と脇雅昭が語る今後の日本と公務員の役割(上巻)

【元金融庁長官 畑中龍太郎氏 #1】公務員はサービス業

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