町民も参加できる「食の学校」
加藤:地産地消のA級レストラン「AJIKURA」を、地域おこし協力隊「耕すシェフ」で運営して、外から人は呼べたけど課題が残ったという話を伺いました。その課題をどのようにして解決したのでしょうか。
寺本氏:課題は2つありました。町民に受け入れてもらえていなかったこと、そして地域おこし協力隊の任期である3年後に起業する人が増えなかったことです。「AJIKURA」の運営で手一杯で、シェフとしての勉強ができなかったんですよね。そこで、地域おこし協力隊が起業のために学ぶことができて、そこに町民の皆さんが集まれる場所があったら良いのではと思いました。それが「食の学校」です。
加藤:学校ということは、カリキュラムがあるのでしょうか。
寺本氏:週に1回ぐらいのペースで講座を行うんですけども、実践を中心に地元の郷土料理とか、イタリアンとか、おそばとか、その中から好きなものを勉強してもらうイメージです。たまに有名な方をお呼びしたりもしますね。
地域おこし協力隊は普段レストランで実践をやっていますが、「食の学校」で別の勉強ができるんです。
加藤:そこに町民も参加できるということですか。
寺本氏:はい、希望すれば全部参加してもらえます。地元の人もみんな郷土料理をつくれるわけじゃないし、他にも洋食とか学べるのって良いじゃないですか。
そこに移住者も一緒になって学んでもらったら、「AJIKURA」でも発信しているA級グルメが浸透すると思って「食の学校」をつくったんです。
加藤:講座はどれぐらいの数があるんですか。
寺本氏:シリーズで10講座ぐらいあって、各10回ぐらいだから年間100日ぐらいです。で、子どもたちも学ぶから「A級グルメキッズ」というのもあったりして。
1講座3,500~4,000円で受けられて、年間のべ875人が利用してくれています。
有機農業を学べる「農の学校」
加藤:2014年に「食の学校」をつくった翌年の2015年に「農の学校」をつくられていますよね。こちらは「食の学校」の農業版でしょうか。
寺本氏:そんなイメージです。「農の学校」をやろうと思ったのは、東京とか都会から来てくれる人って有機農業とかオーガニック系に興味があることがわかっていたんですね。
ただ有機農業ができるところって多くないから、皆さん探していて。じゃあそれをやりましょう、ということで「農の学校」をつくりました。
加藤:これも「食の学校」と同じように、1講座毎に授業料を集めるプログラムになっているのでしょうか。
寺本氏:そうです。これはもともと、「耕すシェフ」に来ていた女性が「やりたい」っていうところが発端で、それに町長が「じゃあやってみたら?」という感じでスタートしました。
これが「BLOF理論」っていう面白い農法なんですけど、全国的にも注目されているので町外からも結構来ています。
全国の有機野菜が集まる仕組み「JOAA」
加藤:「農の学校」でつくった有機野菜は、どのように使われるのですか。
寺本氏:「農の学校」で収穫された野菜は「JOAA(JAPAN ORGANIC AGRICULTURE ASSOCIATION:日本有機農業研究会)」っていう有機の農産物を集める組織に納めています。
有機野菜って全国的に少ないから、できるだけ集約した方が大手のスーパーとか取引がしやすいんですね。だから、全国の有機農産物を集めているんですよ。
「農の学校」で扱っている農法を他の町で教えて、そこでできた有機野菜を邑南町で引き取って出荷しているんです。
加藤:それは良い仕組みですね。
寺本氏:全国の物が邑南町に集まるから、少ない有機農業をやっている人も販路が生まれています。そういう喜ばれる仕組みだからこそ、全国の有機農業をやっている方々から出資も出していただけたんだと思います。
(文=小野寺 将人)
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※本インタビューは全5話です。facebookとTwitterで更新情報を受け取れます。