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【横浜市 瀬戸勇 #4】事実に基づいて、時代に合った消防をつくる

消防士を目指したきっかけ

石塚:これまでのお話から、瀬戸さんがとてもユニークな消防士だということがよくわかりました。そもそも、なぜ消防士になろうと思ったのでしょうか?

瀬戸氏:前職が民間のタイヤメーカーだったんですけど、転勤で単身赴任になったんですね。その間に妻が体調を崩してしまったので、地域で働ける職業を探したとき、公務員が良さそうだと思って。

石塚:なるほど、ご家庭の事情がきっかけだったんですね。

瀬戸氏:大学の頃に消防を受けようと思ったことがあったので、募集を調べたらその時の年齢がラストチャンスだったので受けてみました。
 あと、小さいころから制服が好きだったんです。それも、志望理由としてはあります(笑)。

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救急統計のデータを活用

石塚:実際に消防に入られてからは、どのような任務に就かれましたか?

瀬戸氏:最初は消防隊として現場活動をしていましたが、3年目に本部の救急課という、救急行政の施策決定や救急隊の活動基準などを扱う部署に異動しました。
 その部署では救急統計を扱っていたので、人口370万人都市である横浜市のあらゆるデータがあったんですね。私は前職で統計学をかじっていたので、このデータがすごく貴重に思えたんです。

 実際にどう活用したかというと、たとえば「熱中症は暑くなりはじめの5月ころと暑い日が長続きした夏の後半に搬送が多い」といった傾向を見出して、じゃあ何をどう気を付ければ予防できるかを検討して、広報に活用してもらっていました。

 最近だとAIの分析結果を救急隊の配置計画に利用する実証実験を行っている地域もあったりするので、データ活用の幅はかなり広いと思います。

時代に合った消防へ

石塚:瀬戸さんのお話を伺っていると、消防の中でアップデートできることは、いろいろあるのかも知れませんね。

瀬戸氏:それで言うと、中にいる消防士たちが時代に合わせていくというのは大事な視点かも知れません。
 燃えにくい素材や消しやすい消防設備が開発されるのと同じように、消防士のスキルも上げていけると良いですよね。

石塚:確かにそうですね。

瀬戸氏:消防士のスタンスは「まずはご自身で注意してください、どうにもならなかったら私たちがなんとかします」なんですよ。つまり我々は最後の砦なので、スキルは上げなければいけないですよね。
 地域の消防団についても同じことが言えて、たとえば「操法大会」という、いかに速くホースを伸ばして水を出すかを競う、伝統の訓練があるんですけど、実際の現場ではスピードよりも正確性や応用力、機転の方が大事なんです。ですから「操法大会」のようなものも、時代に合わせてアップデートできると良いですね。

石塚:時代の変化はどんどん激しくなっていますよね。

瀬戸氏:ちなみに今と昔とで環境が決定的に違うのは、裸火(はだかび)がないことです。普段の生活で、むき出しの火に出会う機会がすごく減りました。
 そういう環境で育った若い世代は、火の付け方も、消し方も分からない。それは能力が低いとかそういう問題ではなく、昔は生活の中で経験して知らず知らずのうちに学べていたことを、今はちゃんと研修して教えないといけない時代に変わってきているということなんです。

石塚:オール電化の家で育つと特にそうかも知れないですね。

瀬戸氏:それを階級の上の人たちが「そんなことも知らないのか」という風に平気で言っちゃったりするんですけど、生まれた時代がそうさせているだけですよね。
 いざというときに、しっかり役に立つ消防士をこれからも輩出していくためには、時代の変化を捉えることが大切だと思います。

先人へのリスペクトに気を付ける

石塚:消防士のスキルを可視化することはできるのでしょうか?

瀬戸氏:実はアメリカの消防士には明確な規格があって、それに準拠する教科書があるんですね。その教科書の一つ前の版が日本語訳されているので、買って中身を研究してるんですけど。

石塚:そんな研究までされているんですか。

瀬戸氏:アメリカって客観的事実に基づいた分析がすごく得意な国じゃないですか。過去の事例を、誰が悪いとかではなく、あくまで事実に基づいて検証するんですよね。
 日本の良いところでもあり悪いところでもあるのが、先人へのリスペクトが過ぎるあまり時代の変化に合わせられないことや、「頑張ったからOK」みたいなところがあったりするので、それは消防の世界でも気をつけないといけないなと思います。

石塚:なるほど。

瀬戸氏:こういうことを言っているのはもちろん私だけではありません。海外まで何十万円もかけてそういうことを学びに行かれている方々もいらっしゃるんです。
 ですから、今回私が「地方公務員アワード」をいただきましたけども、むしろそういう先進的な勉強をフィードバックしてきてくださる方々にこそ、賞が贈られるべきだと思います。

石塚:瀬戸さんによって、これから消防職員の受賞が増えるかも知れませんね(笑)。

瀬戸氏:いっぱい推薦しますよ(笑)。

(取材=石塚清香 編集=小野寺将人)

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※本インタビューは全5話です。facebookとTwitterで更新情報を受け取れます。

 

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