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太田千尋

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【仙台市 太田千尋氏:第1話】3か月間 毎日行方不明者を探す 消防隊員

太田千尋氏の経歴
1979年4月より仙台市消防局に消防士として勤務。その後、宮城県消防学校教官、仙台市地震防災アドバイザー、消防司令長を経て、2017年3月に定年退職。現在は、仙台市宮城野区まちづくり推進課ふるさと支援担当に従事、津波被災地域のコミュニティ再生・活性化事業に携わる。プライベートのライフワークとして、全国各地の地域防災リーダー・組織の研修講師を務めると同時に、市民への防災に関する啓発活動を続けている。総務省消防庁「災害伝承語り部」

‐東日本大震災からおよそ6年半の月日が経つ。震災当時、仙台市消防局に勤めていた太田千尋氏は当時54歳。指揮を執り、消防隊員とともにこの震災の現場に向き合った。日本人の価値観にまで影響を及ぼしたこの大災害の経験から、太田氏は防災をライフワークとすることを決めた。太田氏から見た東日本大震災の現場と、そこから得た知見が少しでも多くの方に伝わればと願う。

短期戦ではなく長期戦

加藤(インタビューアー):東日本大震災の際のお仕事についてお伺いしてもよいでしょうか。

太田氏:仙台市の中には6つの消防署があるのですが、私はその中の一つ、太白消防署にいました。そこで、出場する実動部隊のチーム編成や後方支援、人員の健康管理という仕事があり、さらに太白区役所の災害対策本部の中でも区全体の調整をしていました。

 あの地震が起きた瞬間に、これは何か月かかるか分からないと思ったんですね。それで、まずは区役所に行って、避難所の設営をする課の課長と話をして、避難所を開設してもらうように伝えました。その日の夜は隊員の活動時間を管理するための活動計画を全て作りました。

隊員の健康を守れないと 市民を守れない

加藤:それは、実動部隊の健康管理をするためですか?

太田氏:はい。20人くらいのチームを見ていましたが、彼らが過労で倒れたり、病気にならないようにするためです。活動が短期ではなく長期になるので、どうしたら隊員の健康を守れるかを考えました。
 地震・津波の直後で大きな混乱の中であっても、当然のことながら通常の業務も行ないます。火災や救急の対応も行ないながらですので、隊員の健康が守れないと、病気等で隊員数が少なくなって市民の皆さんの助けにならなくなってしまう。それが市民の生活に支障をきたすことなので、とにかく最初に健康管理に重点を置きました。ですので、後日、隊員の活動時間や勤務時間は、一分一秒も間違いなくうちのところは報告できました。

3か月間 毎日行方不明者を探す 消防隊員

加藤:震災後の実動部隊の作業はどういうものだったのでしょうか。

太田氏:約2~3か月は行方不明者を見つけるために瓦礫を除去し沼や池の水中を捜索するような活動をしていました。

仙台市 消防隊

震災後の消防隊員の活動

加藤: 大変な作業ですね。

太田氏:私たちがいくら非日常の世界で生きていると言っても、生身の人間です。行方不明者を捜索する中、ご遺体と対面する。それが連日続くわけですから精神的には結構きつい。それをどうケアするか、というのがすごく難しかったです。

仙台市消防隊員2

毎日24時間気を張り続けていた隊員

太田氏:家に帰れない隊員もいました。1か月ぐらい経ってからようやく時間的に帰れるようになるんですけど、「帰れ」と言われても、ガソリンも無い中で遠隔地の隊員もいるわけです。だから、彼らの寝床を確保したりすることもありました。

 隊員が毎日24時間ずっと気を張って仕事をしている中で、どうやって疲弊させないかを考えました。現場で力を発揮するためには、帰署してから疲労を残さない環境を作れるかというところがとても大事です。もし、隊員が入院してしまったらアウトですよね。

加藤:一番大変だったのはどういうものでしょうか。

太田氏:やはり、隊員のモチベーションの維持ですね。だから、隊員は寝かせても自分は起きていたりすることもありました。そうして、隊員の健康を維持していくための配慮をしていました。

災害にはその災害の特徴がある

加藤:災害の中でも、遺体と延々と顔を合わせなければならない環境というのはなかなかないですよね。

太田氏:災害にはその災害の特徴があるので、その特徴にあわせた活動の仕方が必要なんです。短期で済むのであれば、全隊員を投入しますが、今回のような長期になれば、最初の1~2週間は集中的にやります。その後は隊員の健康を見ながらやらないといけない、勤務時間もいろいろ調整しないといけません。
 例えば、同じ24時間の拘束でも、現場に行く回数とかを隊員の状態をみながら微妙にコントロールしていかないと、隊員がもたないのです。

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※本インタビューは全5話です。facebookとTwitterで更新情報を受け取れます。

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