市民を実行委員会としてまちにビアガーデンを作る
加藤:森のナイトカフェについて教えて頂けますか?
河尻氏:2011年から毎年夏に開催していて、30代、40代の交流人口を増やすために生まれたイベントです。それまでは別のイベントを昼間に開催していましたが、暑い夏に屋外開催だと人が来ないので、思い切って夜にオシャレなビアガーデンを作ってしまおう、と。
4日間開催して、5万3千人くらいのご来場があるんですけど、半分弱が市外からなんです。このイベントもシビックパワーバトルのように、市民などで組織する実行委員会が主催です。
加藤:市が負担するコストはありますか?
河尻氏:パンフレットの印刷代と会場設営代が市の負担。それ以外のことはイベントの実行委員会が負担するという協定を結んでいます。
地域で活躍するママの話が聞ける
加藤:参加者はどのような人が多いのでしょうか。
河尻氏:当初はサラリーマンの方が来られるのを想定していたんですけど、フタを開けてみたら親子連れが圧倒的に多くて驚きました。居酒屋に子どもを連れて行くのはためらう、でも飲みたいから非日常を安全な場所で楽しみたいっていう需要を掘り起こしたようです。
ただ、ナイトカフェを2~3年開催した時に、「楽しかったね」だけで終わって何も残らないのはもったいないと感じ、記憶に残るようなイベントにして、参加者のつながりを生むプラットフォームを作りたいと思いました。そこで、『そのママ夜会』という市民向けの企画を始めて、地域で活躍している市内のママさんたち5人のお話を、飲みながら聞けるミニイベントを開催しました。
第一回目はヒヤヒヤだったんです。まちで活動するにはどうすればいいかという真面目な話を聞きに飲みに来る人がいるのか、バリバリキャリアのちょっとついていけない人たちの集まりになっちゃうんじゃないかとか、すごく心配しながら市内のママ2人と計3人で企画しました。
結局、熱量の高い20人ぐらいのママからの応募をいただき、やはり、そういう場が今まで無かったんだと安心しました。
その後、参加者同士で自発的にランチ会とか、夢を語る会とかを始められたそうです。だから、ナイトカフェは交流人口を増やすだけでなく、同時にシビックプライドの醸成のきっかけをつくるイベントとしても活用しています。
ママの夢を叶えるイベントを開催
加藤:「そのママ夜会」の他にもイベントはあるのでしょうか?
河尻氏:『そのママ夢パーティ』を秋に開催しました。企業や市民などに集まってもらい、その人たちに向けてママが自分の夢を5分間プレゼンし、助けてほしいことを伝えます。
音楽フェスが大好きなママさんが、子どもを産んでからフェスに行けていないので、「子ども連れがOKなフェスを流山で開催したいけど、お金が足りないから協賛してください!」とプレゼンしました。そうすると、ある企業さんの協賛を受けることが出来、そこから半年後くらいに企画が実現、300人ぐらいの親子連れが集まるフェスが開催されました。
他にも、平日は都内の企業勤務で、ヨガのインストラクターの資格も持っている方が、週末にママたちが自分と向き合い、ひとりの時間に帰れるヨガ教室を地域でやりたいと言ったら、それに共感した人が広報や場所の手配などを引き受けて、定期的にヨガ教室が開かれることになりました。
もちろん、こういう取り組みの全てがうまくいくわけじゃないですけど、きっかけがあって一度地域スイッチが入ると、地域の中で市民の方々がいろんな活動を自発的に企画されたり、行います。それを見ていて、自治体は場だけ用意すれば、あとは自走していくというのがすごくよくわかりました。
▼「地方公務員オンラインサロン」のお申し込みはコチラから
https://camp-fire.jp/projects/view/111482
全国で300名以上が参加。自宅参加OK、月に複数回のウェブセミナーを受けられます
▼「HOLGファンクラブ」のお申し込みはコチラから
https://camp-fire.jp/projects/view/111465
・月額500円から、地方公務員や地方自治体を支援することが可能です
※本インタビューは全7話です。facebookとTwitterで更新情報を受け取れます。
第1話 「母になるなら流山市。」に込めた想い
第2話 市民協働は市民へのリターンを意識する
第3話 行政が場所を用意すればママの夢も叶う
第4話 港区の人を流山に移住させることはできない
第5話 隣のまちの人口減少を喜ぶのはナンセンス
第6話 役所に染まっているようで染まっていないスタンス
第7話 私は流山市。任期付職員として2度採用10年目を迎え