インタビュー

【大阪府 領家誠 #4】訪問企業を選定 公平性をどう捉えるか

(PR)=HOLG.jpが本になりました「なぜ、彼らは『お役所仕事』を変えられたのか?」

MOBIO-Cafeは4年間で述べ399回。参加人数は約1万人に!

加藤:ものづくり支援課がクリエイション・コア東大阪に移転しました。どのような変化がありましたか?

領家氏:まず、運営主体を分かりやすく役割を定めました。運営者は3者として、大阪府がMOBIO運営の中核機能を担い、大阪府のものづくり支援策を実施する。公益財団法人大阪産業振興機構が、ビジネスマッチングや海外展開について支援。公募で選んだ民間事業者である株式会社コンベンションリンケージが、常設展示場やインキュベーションオフィス、情報発信機能を担うことになりました。

 また、施設の名称を変更しました。クリエイション・コア東大阪という名称があることで、地域を限定していることがマイナスだという有識者会議の提言もあったためです。公募した名前から「ものづくりビジネスセンター大阪」の頭文字を取ってMOBIO(モビオ)と決めました。

加藤:役割が明確化されたことは大きいですね。その上で、どのような活動を進めたのでしょうか。

領家氏:MOBIO-cafeという、中小製造業の経営者などが集まる試みを始めました。最初の年は55回か56回開催し、一番多いときで136回でしたね(笑)。

加藤:3日に1度以上ですね(笑)。

領家氏:最初の1年目は、私が全部を企画して、講演者はタダで喋ってくれそうな人を他の官民交流イベントに参加してゲットしました。その頃は、必死で、年間200日以上、交流会に行っては飲んでました(笑)。予算はゼロで、場所は財団で借りている交流スペースや会議スペースを夜間に使いました。

 参加者には千円払ってもらって立食でお酒を飲みながら交流してもらうんです。我々は当番に分かれ、向いのイオンにお惣菜を買いに行って、セミナーが終わったら交流会にはプライベートで参加。交流会が終わったら片づけて帰る繰り返しです。

加藤:大体どれくらいの人の参加があったんでしょうか。

領家氏:カフェ自体は、4年間で399回開催しましたが、参加人数が約1万人で、その間で、年の相談件数が約14700件、視察団体数も年400件を超えたこともありました。でも、最初の年は酷かったですよ。10人も参加者がいない。
 実は、2人しか参加がなかったときに1回中止したんです。
 その時に、登壇者に「一人でもやる気だったのに」ってえらい怒られました。自分に覚悟がなかったんですね。それからは参加者一人でもやろうと思いました。

目指すべき姿が外の世界にあった

加藤:なぜ、MOBIO-cafeを開催しようと思ったのでしょうか。

領家氏:インフォーマルコミュニティの出会いがとても大きかったです。KNS(関西ネットワークシステム)という産学官民のネットワークを作る団体や、メビック扇町という大阪市の支援機関を運営していた産業財団の人と知り合いになったのですが、彼らのイベントに参加をしたら衝撃を受けたんですね。すごく人が集まっているんですよ。

 MOBIOとして新しい活動をやらないといけない時に、なんとなく、目指すべき1つの方向はこれかなと思いました。そのうちKNSにも参加していたら、4か月くらいで世話人という運営側に回らせてもらうことになり、そこでノウハウや講師のネットワークを得て、MOBIO-cafeでもフルに活用させてもらったんです。

当事者同士が信頼関係を結ぶことを重視

領家氏:KNSは特に会費を取ろうという組織でもなくて、産学官民のメンバーが、お互いにフラットな関係を築くことが主眼でした。平たく言うと飲むんです。KNSは別名「K(必ず)N(飲んで)S(騒ぐ会)」と呼ばれているんです。イベントをやるんですけど、交流会が目的なんですね。

 12月に開催しましたが年4回の定例会では、70人とかのプレゼンターが、オーディエンスに向けて、8分プレゼンをしてもらう。その内容をもっと聞きたかったら、交流会で話してもらって人間関係を作っていくんです。KNSでは「一目会ったその日から恋の花咲くことはない」と言っていて、当事者同士が信頼関係を結ぶことを重視しているんです。役所が紹介するから安心して取り引きするなんてあり得ない。ビジネスにしても、役所にしても、直接、信頼関係を作る必要があるんです。

ターゲットを絞ることと公平性の捉え方

加藤:すごく珍しいと思ったのが、MOBIOが従業員数でセグメントして、注力する企業を明確化していたことです。

従業員数でターゲット企業を絞り込む

従業員数でターゲット企業を絞り込む

領家氏:我々の人員数と大阪にある事業所数を考えると、全部会うことは難しい。だから、ターゲットを決めたんです。それで、従業員10人から99人くらいのところとキャッチアップしようと。当時、大阪の製造業は9000社あったので、そのうち変革や挑戦をしたいという企業は2割くらいだろうとして、2000社くらいとつながることを目標にしました。その、2000をいかに掘り起こすかに執念を燃やして、カフェも中小企業顕彰制度もマッチングも運用していました。

加藤:ターゲットを限定することに、組織内外で反対はなかったのでしょうか。公平性という言葉がどうしても出てくる気がします。

領家氏:別に、ターゲット以外には何もしないってことじゃないんです。ただ、10人以下の企業はそもそも大手と取り引きがほとんどない。だから、大手企業に紹介しても、話が進まないんですよ。産学連携もそう。府県レベルでやるマッチングというよりは、小規模の会社は商工会議所が基本なんです。そこに紹介してお任せするしかないなと。

 よく、『公平性』っていうんだけども、もともと不公平やんって。だって、公募して補助金を出すにしても、もらえる人とそうでない人がいる段階で、結果、不平等なんですよ。

 そんなんだったら、しっかりターゲットを決めて、「行かないところは行かない」とする必要がある。そういう話をずっとしていました。だから、あんまり抵抗されることはなかったですね。

調べた課題をひとつずつ潰しているだけ

加藤:他の自治体から視察が来た場合は、どう説明していますか?

領家氏:自治体職員からも同じ質問がいっぱいありますよ。でも、「なんであそこだけや」って言われたら、「来たら相談乗りますよ」って言えばいいだけなんですよね。別に間口は閉ざしていませんから。

加藤:2008年のときから直接支援の流れが強まったことも、ターゲットを明確できる土壌を生んだのでしょうか。

領家氏:そうですね。たとえば、2006年とかだとしたら、無理だったと思います。

 ただ、その年のヒアリングは原点で、その課題をまとめた、さっきのマインドマップのやれてないことを、ひとつずつ潰しにかかっていただけなんです。

「変革と挑戦する企業」を応援する

加藤:ターゲットを選定するというアクションについても、現場で得た声を反映されているわけですよね。

領家氏:そうですね。有識者会議で企業の委員やゲストスピーカーが「そもそも、企業側にも経営をちゃんとやる気がない。役所だけが悪いんじゃない」と言っていたことをアクションやコンセプトに落としました。

 MOBIOは「変革と挑戦を支援する」というコンセプトを作っています。経営は社長にしかできません。なので、我々は自ら「変革と挑戦する企業」を発掘し、支援する役割にすべきと感じていたんですよ。補助金で役所の動かしたい方向に釣ろうとすることは、そもそも、おこがましいことですよね。

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