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【川崎市議 小田理恵子氏:第2話】新年会の案内状が100通届く

新年会の案内状が100通届く

加藤:議員さんはいろいろな会合に呼ばれて、実務に使える時間が少ないように思うんですが、小田さんはどう感じますか。
小田氏:例えば、年初は新年会とか賀詞交歓会の案内状が100通くらい届きます。それに全て出席すると1月は新年会だけで終わっちゃうんですよ。でも、せっかく誘ってくださっているのにお断りするのは失礼なところもあるので、すごく難しいと思っています。
 これは、これからの議員の課題でもあると思っています。私も期を重ねるごとにイベントに呼ばれる回数も増えてきまして、その分、政務活動に費やす時間が減ってきました。さすがにこれはまずいと感じ、何かのルールで線引きした方が良いだろうと、「こういうパターンは行かない」。だけど、「こういう場合は行く」といった自分ルールを決めるようにしました。
加藤:そうですよね。川崎は都会側に近いと思うんですが、地方になればなるほど、「なんであいつは来ないんだ」とか言われるのを気にして、「新年会に3軒以上ハシゴして・・・」みたいな話をたまに聞きます。
小田氏:結局、行かないと選挙で通るためのスタートラインからこぼれちゃうっていうのが、いまの地方議会の実態だと思っています。それは小選挙区制である、国の衆議院議員もそうなんです。割と見落とされがちですが、非常に大きな課題ですね。

全て出席したら、1月は仕事をする時間を失う

小田氏:みなさん自分のところの新年会は1回だけなので、「そこに来て欲しい」って気持ちもわかります。ただそれら全て100回、200回と出席していたら、国の方向性を決める国会議員さんたちが、1月は「国の仕事をする時間を失う」ということ。それにこれは1月だけではありません。夏まつりや運動会、餅つきなど、季節ごとにイベントは数えきれないほど存在します。ですからお呼びになる方にも一歩引いて、大所高所から考えてもらいたいというのはあります。
 私の書き方も良くなかったのですが、一度フェイスブックに「議員は地域の行事に出席すべきではない」といったことを書いたら、「お前、何様のつもりだ」と言われたことはあります。
加藤:難しいですよね。でも間違いなく広い意味での国益・公益を考えたら、明らかに時間の使い方は考えるべきだと思うんですよね。

「会合に行かないと選挙に受からないんじゃないか」という不安

小田氏:議員の目線で見てしまうと、いまはどうしても、「会合に行かないと選挙に受からないんじゃないか」という不安と、そのジレンマもあります。
 もちろん、行けば出席している方々と市政に関する話はできますから「地元の方の大事なご意見を頂戴する場なんですよ」という説明はつきます。それも正論ですが、問題は「その人たちとは年がら年中会っているよね」っていうところなんですけど(笑)。
 本来は、特定の人たちだけではなく、幅広く市民の声を聞き、政策的なことを考える時間をどうやって確保してくのかが重要だと思います。これは、それぞれの議員が悩んでいるし、それぞれが自分のスタンスでやっていることでもあると思います。私は私の考えやスタンスを発信していますが、実際どうすべきかは最終的には住民の方が選挙を通じて判断することなのかなとは思っています。
加藤:そういう発信で少しずつ理解を深めながら、住民も変わっていくのかなとは思います。ただ、それを最初に言う人が損をしてしまう気がしますよね。
小田氏:私の場合は、地盤があるわけでも特定の団体がついているわけでもないので、そういうことを言ってしまえる立場にあるかなと思って言っちゃっています(笑)。
 でも、多くの市民の方は議員に月に100件単位の招待が来ているという実態を知らないと思います。だから結婚式に来てくれたら嬉しいし、新年会に来てくれたら嬉しい。それもわかる。ただ、そういう議員の時間の使い方として、「1月はほぼ新年会です」「夏は毎日祭りをはしごしています」という事実を「どう評価しますか?」ということを有権者に委ねたいです。
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いまは普通の人が議員になるようになってきた

加藤:普段、業務の中で職員の方とはどう関わっていらっしゃるのでしょうか。
小田氏:こちらから職員にアポイントとって、「これどうなっているんですか」とか、「市民の方からのご要望についてどうなんですか」と、市民からのご相談や政策課題についてヒアリングするのが割と一般的です。
 また、報告事項があれば、職員の方から資料を持って市役所内の『控室』と言われる部屋に来ていただいたりもします。この部屋にいると職員の方も頻繁にいらっしゃって、多い場合は1日に10件ぐらい来訪されることもあります。
加藤:「昔よりも議員と職員の距離が近くなっている」と、行政の職員の方からは聞いているんですけども、そのように感じられますか。
小田氏:私も議員になったのは6年前なので、昔の地方議員がどういう風に働いていたのか、実はあまりよくわかっていないのです。ただ恐らく、昔は偉い名士みたいな方、世襲だったり、一帯の地主さんだったりする方が議員になっていたのだろうと推察しています。
 でも、いまは「普通の人が議員になれる時代になってきた」というのもあるのではないでしょうか? 私みたいなただの普通の会社員だった人間や、大学を出て数年という若い方がいたり、ダイバーシティが緩やかに進んできている。そこもあって、同じ目線で話ができるようになってきたのかな、という気はします。

『誰が言ったか』ではなく『何を言ったか』で政治・行政が動いて欲しい

加藤:議員さんと職員の関わりみたいなところでいうと、そういうフランクな付き合いの方が成果を上げることができると思いますか。
小田氏:これが難しくて、結局、政治家の在り方としては、私のように親しみやすくて現場の目線と一緒になって活動する議員というのが良いかというと、多分そうでもないだろうと思っています。行政と相対する際に、議員側には「威圧感」だったり「偉い人オーラ」があった方が絶対有利ですからね。
 ただ、私自身は、職員から話しづらい雰囲気は絶対作らないように気をつけているつもりです。オーラもないので、私のことあんまりわからない人間は、私がエレベーターで議員の部屋のある階のボタン押していても、気がつかれないです。先に職員がすすっと出た後で私が議員だと気づいて「すいません!」みたいによく言われるんですけど(笑)、そういうごく普通の人間が職員に対し「こうすべきだ」と言ったところでちゃんと対応しようと思われるのかというと、「正直、どうなんだろうな」と感じることはよくあります。
 やはり、局長クラスと夜の会合で「こういう方向性だよな」という感じで、何百億の話をしていく政治の方が、実はものごとを動かしているんじゃないかと思うこともあって、そこは自分でもわからないです。
 現状はまだ、『誰が言ったか』によって政治や行政が動く部分が結構あって、そうじゃなくて『何を言ったか』、そこをみんなでちゃんと対話ができるようになっていくことを期待しています。
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※本インタビューは全7話です。facebookとTwitterで更新情報を受け取れます。

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