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小田理恵子5

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【川崎市議 小田理恵子氏:第5話】「俺、予算書開いたことないよ」と言う議員が存在する

自分自身の手柄である必要はない

加藤:現在は政党には所属されていらっしゃらないですよね。
小田氏:無所属です。初めはみんなの党で公認をいただいて、「いろんなものを改革していきましょう」というスタンスで出馬したのですが、いろいろあって、最後は維新の党になって2回目の選挙は維新の党から出て当選して、維新の党が分裂して、昨年にはとうとう党がなくなりました。私の周りの仲間はほとんどが民進党に行きまして・・・行かずに無所属になった人間はわずかです。この数年で本当に色々ありました。政党や国会議員は私には考えも及ばないような論理で動くということが良くわかった数年間でした。
加藤:無所属ではどうしても少数派にならざるを得ない。その中で、心がけている立ち回りなどはありますか。
小田氏:まず、議会でいうと、やはり数は力で、大きな人数のいる会派の発言力が強く、無所属ではかなり制限があると感じています。特に大きい自治体は、政党会派、政党色が強く立ち回りは非常に難しいです。
その中では、私個人の手柄ではなく、議会全体の活動として持っていけたら良いと考えているので、そのために色々手を尽くしてはいますが、政党が絡むので国政選挙も含めて選挙がある時期はなかなか難しいですね。
行政に対しては、私が言うことよりも大きな会派が言うことの方が、きちんと受け止められるという現実がありますのでこれも「どう説得力を出すか」という話になってきます。

法令とデータ、そして市民の声を大切にしている

小田氏:説得力を出すために3つやっていることがあって、1つは根拠法令。毎回毎回きちんと読み込んで、条文と条項に基づいて話をしています。「それを実施しないのはこの条例のどの条文を根拠にしていますか?」という感じです。嫌な議員ですよね(笑)
2つ目がデータ分析です。とにかく定量データを多用します。特にお金のデータについては、毎回エクセルに単位当たりのコストなどをまとめて比較をして、「この値段高いんじゃないですか」といった指摘をすることもあります。

最後の1つは、たくさんの市民の声を聞くことです。やはり私たち議員は市民の代表、代弁者ですので、常にその意識を持っています。
多くの声を集めるためにマーケティング会社を使って、何千人単位でアンケート調査をかけることもあります。昨年は子育てアプリの評価や認知度を知るために、約3000人の市民からアンケートをとって議会で取り上げました。
あとは、とにかく地道にたくさん聞いていくことです。いまだと「保育園落ちた」って人がすごく多くて、一人あたり2時間くらい聞き取りをして、「どういう状況だったのか」、「どう思っているのか」と、そういう一人一人の生の声を聞きます。保育に関連すると今年だけで30人は話を聞いています。

政策課題をまとめてくるママさんたちもいる

小田氏:保育園のケースだと、制度の運用がルールに沿っていない場合には「おかしいんじゃないの?」と行政に働きかけることはあります。ただ、聞き取りを行う中でママさんに期待をさせてしまわないように、事前に「お話をお聞きするのは今後の政策や課題を洗い出すためで、いま何かを変えることはできないです。本当ごめんなさい」と伝えています。ママさんたちも「それでも是非お願いします」と言ってくださるんですよね。そこまで言ってもらった以上政策提言して少しでも改善しない訳に行きません、責任重大です。
例えば事前にアポをとって会いに行くと、こんなのまとめてきてくれたりするんです。

加藤:すごいですね。
小田氏:これはママさんが保育に関する政策的な課題とかをまとめてくれてたものです。
加藤:面白いですね。フォロワーというか、サポーターというか。これを検証して本当に説得力があれば、市政に生かしていけますね。
小田氏:4月以降になってしまいますけど、ママさんたちの経験から感じた課題点をいろいろいただいて、整理したうえで市に投げかけるつもりです。実際の運用でどうだったかみたいなことはママさん達が一番よく変わっています。すごいですよね、ママさんたち企業の第一線で働くキャリアウーマンですから。ちょっと「保活がどうだったか聞きたいんだけど」って言ったら、ペラって資料が出て来る(笑)。

私は代弁者。市民がすべて教えてくれる

小田氏:市民の方にいろいろ聞き取りをすると、いろいろな分野の課題がどんどん出てくるんですよ。私は市民の代弁者なので、市民が全部教えてくれます。
教育の話で、昔は学校の図書館の司書なんていらないのでは?「家帰って本読めばいいじゃない」って言っていたんですけれど「小田さんわかってねえな・・・」って言われて理由を教えてもらって、いまでは「学校司書は全校配置すべき」と思っています。本当にいろんなことを教えてもらいながら、議員をやらせていただいています。

長らく行政や政治の世界にいる人には『当たり前』になっているところがある

加藤:民間から政治の世界に入ってくると、すぐにわからない面もありますよね。無駄だと思っていたコスト投下の理由を調べると、納得する理由があることに気がつくこともあると聞いたことがあります。
小田氏:そうそう、だからこそ、自分がわからないことを強みにしています。普通の感覚でいると、「えっ! そうなの」って思うことがたくさんあるんです。長らく行政や政治の世界にいる人には『当たり前』になっているところってあると思うのですよ。
加藤:それこそ、年度予算1.4兆円の資料が紙で配布されると聞きましたが、全国の議員さんが印刷された束をみていると思うと、いろいろできそうだなって思うんですけどね。
小田氏:多分データで回したら、不都合な情報とか分析されちゃうから、紙の方が都合が良いんだろうなと。ただ、データじゃないと傾向分析や将来予測ができないのが一番辛いところです。

「俺、予算書開いたことないよ」と言う議員が存在する

加藤:そうですね。しかも年度別に資料がまとめられていたりすると、さかのぼるのも大変ですよね。そういったことを、議員さんは不都合には感じられていないんですか。
小田氏:不都合に感じている人もいっぱいいると思います。「データで欲しい!」と言っている地方議員は全国にたくさんいます。一方で、川崎ではないですが、ある議員さんとお話しした時に、「俺、予算書開いたことないよ」って言われたことがあって、カルチャーショックでした。半分冗談だと思いたいですけど、いずれにしても、それはちゃんと見てないってことでしょ。
加藤:それは、なぜそういう感覚なのでしょう。例えば、ご自身が所属する会派にいて、上から方針が決められたら自分自身は従うだけだから、見ても意味がないということなんですかね。
小田氏:それはわからない。あんまりびっくりしてそれ以上聞けませんでしたし。でも例えば、『市の財政と社会保障費の将来推移』というテーマを、私が政策ビラに書いたとしても、「すごいね」って言ってくれる人は多分ほとんどいないです
それより「道路のココ直しました」とか、「こういう補助金つけました」とかそういったことの方が評価されるでしょう。もちろん議員の仕事としてはそれも大切ですが、やはり、長期的な視点で財政政策的なこともやらなきゃいけないと思います。
ぶっちゃけると、財政関連の政策は残念ながら票に結び付かない訳で、それでもやるか、割り切ってやらなくなってしまうか、はたまた興味がなくてやらないかは、それぞれの議員さんによるのだと思います。
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※本インタビューは全7話です。facebookとTwitterで更新情報を受け取れます。

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