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樋渡啓祐さん4

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【第4話:異人と組む】前武雄市長 樋渡啓祐氏にみる『市長』が『社長』として生きていくためのヒント

東大卒のコンサルタントに何がわかるんだ

桑原氏:やっぱり田舎だから、「東大卒のコンサルタントに何がわかるんだ」みたいな空気もあったようです。
樋渡氏:しかもほら、瀬戸内の出身でも岡山の出身でもないんだもんね。
桑原氏:ただ、僕自身が田舎者だったし、東大とか三菱総研とか行ってましたけど、いろいろなところで「お前は田舎者だ」とは、よく言われていました(笑)。
樋渡氏:僕と違ってね、この人すごい酒飲むから、『飲みニケーション』とかして、コミュニケーションには困らなかったんじゃない?
桑原氏:そこは良かったですね。
樋渡氏:相手を一心不乱に酔わせてね。もうわけわかんないようにする(笑)。
加藤:寝技で・・・(笑)
一同:(笑)
桑原氏:海沿いの街だったんですけど、僕も海沿いの街の出だから。
樋渡氏:そうかそうか、そこはシンパシーをね。
桑原氏:そこはね、気質とかも似ていましたよね。
樋渡氏:どういう気質が似ているの? 激しいの?
桑原氏:激しいですね。
樋渡氏:桑原さんも激しいの?(笑)
桑原氏:「激しい人と付き合う」のが得意なんです(笑)。
樋渡氏:そっか。だから、僕と付き合うのも得意だもんね(笑)。
一同:(笑)
加藤:完璧なタッグですね(笑)。
樋渡氏:『食えないと思っていた人間』が、『生活保護一歩手前の人間』が、桑原さんみたいな逃げ遅れの人たちに助けてもらって、所得だって数倍にはなっているしね。もちろん、そのために働いているわけじゃないんだけどさ。

一流のコンサルとタッグを組んでマーケティングに使う

樋渡氏:こういう関係で仕事ができるのは、すごく良いよね。今回のセキュリティの話もね、僕はいの一番に桑原さんのとこに持って行ったもんね。そしたら、桑原さんも、「これは世の中のためになる」って。
 これ、言い方を間違えるとすごく悪い言い方になるけど、僕は桑原さんをマーケティングに使っているんですよ。桑原さんの強みは一流のコンサルだということ。だからそこに聞いてみる。
加藤:民間の視点を生かされて、うまい具合に嚙み合っていくんですね。
樋渡氏:僕なんかすごく中途半端なんだけど、桑原さんは僕の足りないところを補うどころか、さらに付加価値をつけてくれる。
加藤:それを聞いていると、公務員としての経験や市長になられている方が、民間の仕事を何かやっていく時には、桑原さんのような方と一緒にタッグになって動けると良いですね。
樋渡氏:だから、そのモデルを作らなきゃいけない。考えてみれば、コンサル出身で元副市長ですよね。そんなロールモデルってないもんね。だから、桑原さんは副市長辞めた人のモデルになる。僕は市長辞めた人のモデルになる。あるいは、官僚辞めた人のモデルになる。
樋渡啓祐さん7
加藤:実際には、民間で仕事をした後に、副市長やっている若い方ってそんなに多くいらっしゃらないじゃないですか。だから、元市長や公務員の方がタッグを組む人を探す時、現実的には、「民間企業に就職しながら、公共の事業や公共団体に関わっていたような人」が望ましいということですよね。

農業漁業で海外に販路を広げていきたい

加藤:最後、おニ人にお聞きしたいのですが、「この仕事をしたい」という、特定の領域あるんですか?
桑原氏:そうですね、僕は田舎の農業漁業を応援したいから、農業漁業で海外に販路を広げていきたいですね。
樋渡氏:すごい夢持ってるじゃん。太良町っていう日本のブータンみたいな出身だもんね(笑)。
 桑原さんも、よく『みかん』だったりとかをfacebookでシェアしていて、偉いなと思うよね。別にお金になることじゃないもんね。

たらみかん

佐賀県太良町の特産品『たらみかん』

桑原氏:まあ、お金にはならないですよね(笑)。でも、太良町の後輩連中がみかんを一生懸命作っているんですけど、簡単には食っていけないわけですよ。それはやっぱり良くないですよね。だから、そういうのに力になれたらと思っています。
たらみかん

将来は医療に関わりたい

加藤:樋渡さんはどういうことをやりたいですか。
樋渡氏:医療。医療はやりたいね。でも、まだそのタイミングじゃないと思うんだ。今はセキュリティをやりたいって思っていたからさ。そこでは国民とか、市民県民の税金がものすごく無駄に使われているわけよね。
 それだったらさ、子育てとか福祉とかさ、そういうのに使わなければいけないのを、訳のわからんセキュリティにいっぱい使っているわけよ。それは、認められないと思っていたから。
 ちょうど僕が市長やっていた時に、セキュリティに関して、「1億8千万円かかる」って言われたのを交渉して、かなり減額させたことがあるんですよ。それでも、儲かったみたいだから、「どんな儲かり方してんだ、こいつら」って思ったもん。
 だから、それはおかしい。それは血税だからね。血税は使われるべきところに使われるべきだってのが僕の持論だからさ。
加藤:それを解決するために、ご自身でセキュリティ事業をやるわけですよね。
樋渡氏:そうそう。僕がやるのは、「漏れても安心」っていうオムツみたいなセキュリティの仕組みなんだよね(笑)。
一同:(笑)。
樋渡氏:要するに、吉野家の牛丼を100円で売ってるようなもん。いわゆる『安い、早い、うまい』、そんな感じ。これは、実際に大手企業でも導入してくれるところもあるし、自治体でも実証実験として始めていく予定だから。だって、これ、自分が市長の時に欲しかったやつだからね。これも気が向いたらでいいから宣伝しておいて(笑)。
加藤:(笑)。お力になれるかわからないですけど、リンク貼っておきます(笑)。セキュリティの問題は地方自治体の現場の方も危惧していたので、市長のみなさんだけじゃなくて、職員の方のほうが気にしているかもしれないですね。内部統制というところも求められる時代なので、対策はしなければいけない領域なのだとは思います。
 本日はお忙しい中、お時間をいただきありがとうございました。
樋渡氏:こちらこそ、ありがとうございました。
桑原氏:はい。ありがとうございました。

編集後記

 民間人と公務員は全く別の人種のように語られることがあるが、どの組織においても、仕事ができる人の傾向というのは概ね変わらないのではないだろうか。仕事の成果は結局、『成功確率の高いこと』を『どれだけできるか』に通じる。これには、『本質を見抜く力』と『行動を継続する想い』という『素養』が求められるのだと思う。
 私は幸運にも、成果を残している多くの自治体の方たちにお会いさせていただいている。常々思うのだが、そういう方たちは民間や公共団体という組織の枠など関係なしに、ただただ、成果を出す『素養』を持ち合わせている。彼らはどの部署へ行っても、どんな役割を与えられても、常に高い成果に肉薄していく。それを鑑みると、市長や自治体職員として成果を上げている人は、外へ出たとしても成果を出せる可能性は高いだろう。
 そういう民間人と公務員に見出すことのできる『一見意外な同質性』を考えると、もっと多くの民間人が公務員へと転職しても良いだろうし、その逆もしかりだ。私は官民の人材流動性が高まることは、世の中全体を俯瞰して見た時には有用であると確信している。
 しかしながら、公務員が民間企業へ転職するメリットとは果たして何だろうか。実は、これにはあまり明確な解は持ち合わせていない。都市部ならまだしも、地方において地方自治体職員を越えるキャリアが見当たらない中では、公務員側のメリットがあまりにも足りないのだ。
 そんなジレンマを抱え悶々とするところを、官民の枠を超え、縦横無尽に成果を出す樋渡氏と桑原氏は、実に痛快だ。ただ、一つ着目せざるを得ない点がある。樋渡氏は元市長であり、桑原氏は元副市長だ。そういう特別職と言われる方々のロールモデルとは別に、プロパー職員の方のロールモデルが次々と生まれてくる時代がいつか来ることを信じたい。
 なぜなら、地方自治体が『地方の貴重な人材リソースである自治体職員』をいつまでも独占することが、日本という国全体における、最適な人員配置であるとは決して感じ得ないからである。

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※本インタビューは全4話です。facebookとTwitterで更新情報を受け取れます。

 

前武雄市長 樋渡啓祐氏にみる『市長』が『社長』として生きていくためのヒント
第1話 明るく選挙に負ける
第2話 起業はいつかしたいと思っていた
第3話 嫌いな言葉は利権
第4話 異人と組む

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