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和田大志 TOP1

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【熊本県庁 和田大志氏 #1】ゲームでこれからの自治体経営を考える

【和田 大志(わだ たいし)氏の経歴】
熊本県庁職員。1980年熊本県生まれ。横浜国立大学を卒業後、2004年4月に熊本県に入庁。土木、健康福祉、人材育成、水俣病分野の業務を経て、現在、知事公室付で勤務。2010年からの2年間、早稲田大学マニフェスト研究所人材マネジメント部会で人材育成・組織変革を学び、自主活動グループ「くまもとSMILEネット」を設立、代表を務める。「地方公務員が本当にすごい!と思う地方公務員アワード2017」(HOLG)受賞。

―――少子高齢化を端に発する2030年問題を体感する、対話型自治体経営シミュレーションゲーム「SIM熊本2030」を開発した、熊本県庁職員の自主活動グループ「くまもとSMILEネット」。その「くまもとSMILEネット」を立ち上げたのが和田大志氏である。
「SIM熊本2030」は現在、全国の自治体に広がり、様々な研修に利用されるほど爆発的なヒットを生んでいる。今後、少子高齢化が進み自治体財政が危惧される中、分かりやすくその問題を共有する「SIM」はどのように生まれたのか、今後どこに向かって行くのかを伺った。

ゲームでこれからの自治体経営を考える

加藤(インタビューアー):「SIM熊本2030」は、どのような経緯で開発したんですか?

和田氏:2010年に「くまもとSMILEネット」を設立して、仕事始めで登庁する時のハイタッチや学生向けの職員採用PRムービー、退職予定者と若手職員のワールドカフェ(暗黙知の伝承)といった活動を行ってきたんですが、「もうちょっと自分たちの地域のことを考えることができないかな?」っていう話をしていたんですよね。

 2014年にプロジェクトがある程度軌道に乗ってきた段階だったので、新しくどんなことをしようかと話している時に、あるメンバーが「2025年問題というのがあるらしいよ」と言ってきたんですよ。

 詳しく聞いてみると、団塊の世代が後期高齢者に突入するのが大体2025年。その頃は社会保障費が増大するのは分かっているけど、その対応は厚生労働省が中心となって考えているだろうと。一方で、地元自治体は自治会の存続をはじめ、本当に地域に密着した課題にぶつかる。何でもかんでも行政だけではますますできなくなる。

 しかもそれは、熊本県庁だけで考えても意味がなくて、市町村職員の皆さんと考えないといけない。熊本で言うと2025年問題の影響は大体2030年ぐらいまで続くので、「じゃあ、その問題を県と市町村の垣根を超えて、自治体職員同士で考えよう」となったんです。

 ただ「2030年問題を真面目に考えようぜ」って言っても、市町村職員の皆さんもとっつきにくいし、面白くないじゃないですか。それで「じゃあ、ゲーム形式にしてみよう」と思い付いたんです。後々、「ゲーミフィケーション(ゲーム化する)」という概念があることを知りました。
 昼休みや仕事後を利用して、4~5人くらいで5カ月間で制作、できあがったのは2015年に入ってからでした。

「なんとなく楽しかったね」ではダメ

加藤:財政課などの方たちが中心になって作ったんですか?

和田氏:まったく関係ないです。メンバーに財政課は一人もいないんです(笑)。

 熊本県のとある都市をモデルに作っているんですけど、「地域によってそれぞれの土地に合ったシナリオがないと、リアルに話せないよね」という意見もあったので、だったら、後々、各地に輸出できるようにしようという考えで作りました。

 SIMのデータ一式は無償で提供しますが、唯一の条件として、オリジナル版を体験してもらっています。体験して、我々が開発に込めた、「これから迫り来る“対立”を“対話”で乗り越えよう。SIMはそのための訓練のツールなんだよ」という思いをしっかりと受け止めてもらった上で、自分たちが思うように進化させてください。いいものができたら、うちが逆輸入でパクらせてもらいます――という考えでいます。

加藤:今、SIMは各地で広がっています。もともと望んでいたものとは違う広がり方はないんですか?

和田氏:それがないように、年に2回程度、開発チームによるオリジナルの体験会を熊本で開催し、開発に込めた思いを強調して伝えるようにしています。

 また、SIMでは各チームの最終的な決断を査定役が問い直し、対話が深まるようにしています。そうした厳しさを残しておかないと、「なんとなく楽しかったね」で終わるツールになってしまうので、そこはこだわって演じるようにしています(笑)。

良いところは熊本版に逆輸入

加藤:逆に、「これは取り入れたいな」と思ったことはありますか?

和田氏:たとえば、事前に名刺交換をしないというルール。長崎県の諫早市(いさはやし)で開催した時なんですが、財政課長とかそういう肩書を持った人が来ると、ほかの人は委縮しちゃうじゃないですか。そうすると、対話が公平にできないし活性化しない。だから、お互い身分を隠して、終わった後に名刺交換しましょうとなったんです。

 お互いの背負っているものを取り外して自由に意見交換ができる場になったので、「これは良いルールだね」ということで熊本版に逆輸入することにしました。

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※本インタビューは全5話です。facebookとTwitterで更新情報を受け取れます。

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