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【浦安市 小泉和久氏:第4話】政策支援GISを使ってわかったこと

とにかく動いて分析してみた

加藤:「職員全員がGIS分析をやるのは無理だよ」と言われてしまった後に、浦安市役所では、どうやって進めたのでしょうか。
小泉氏:そう言われたとはいえ、GISに載せるデータを集めて、ガチャガチャ分析すればいろいろなことができるというのは間違いないと思って、とにかく動いて分析をしてみました。
 例えば、6歳未満の子どもの分布と公園の位置を地図上で重ねてみると、6歳未満が子どもが公園周辺にたくさん住んでいる公園と、ほとんどいない公園が、はっきりと分かれました。これらの公園は、点検や補修の頻度が同じでいいのか。一律の保守管理でいいのか。という議論が出ました。
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小泉氏:他にも、不審者が出現した場所や、防犯カメラの位置などがわかる防犯マップに、単身者世帯の分布を重ねてみました。すると、単身者の多い地区と不審者の出没には、あまり関係性が見えないことが実証されたり、逆に防犯カメラ・スーパー防犯灯のある場所の付近では不審者が少ないというのが明確に可視化されたんですね。だから、防犯カメラは存在していることだけほのめかして、設置位置をオープンにしない方も良いのかもしれないという議論にもつながりました。

感覚や経験での判断では 見誤ることが多い

小泉氏:救急車の出動命令が出てから、現地到着までに5分以上かかるところも調べました。当時の市の幹部は「こんな狭い浦安で、5分以上かかるところがある訳ないだろう」と言っていたのですが、消防関係課からデータをもらってGISに落として見ると、舞浜地区や高層マンションが立ち並ぶベイエリアの2つのエリアに集中していることがわかりました。
 舞浜地区は、たとえ救急車といえ、ディズニーリゾートへの入場等にはいろいろ手続きが必要でしょうから、5分以上かかるのはしょうがない。一方、高層マンション地区では、最近のマンションではプライバシーを大事にしているマンションが多いので、上に行くまでに時間がかかったり、同じフロアであっても横に移動ができなかったりするので時間がかかってしまうようです。
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小泉氏:その後、このベイエリアに新しく「消防出張所」が建設された訳ですが、この地図が議論のきっかけになったという話を聞きました。
 これまで感覚や経験で判断していましたが、いろいろな課のデータを重ねて分析してみると、見誤っているケースや、新しい発見をするケースが多々あると思うのです。
加藤:確かに、思い込んでいるということは結構ありそうですね。

情報政策課に求められることが変わって来た

加藤:政策支援GISを進める上でも、いろいろな部署にデータをもらう必要があった訳ですよね?
小泉氏:そうですね。データを出してもらうのにはやはり苦労して、共用空間DBの時と同様に少しずつデータを出してもらいました。一方で、分析を日々している課からすると「このデータないの?」という話になるのですよね。
 例えば「ソーラーパネルが付いている家が、どこに在るかわかる課ってある?」みたいな話が情報政策課に来るんですね。そういう時には、情報政策課が調べて、データ集めのために、その課へお願いするようなこともありました。元々、情報政策課はシステムの仕事がメインでしたけれども、庁内にあるデータ活用のハブみたいな仕事が増えてきたと思います。
 これまでは、「ヒト」「モノ」「カネ」が、押さえるべき重要な管理項目とされてきましたが、ここに「情報・データ」が加わったのだと思います。

育成が政策支援GIS有効利用のカギ

加藤:今後、政策支援GISがさらに有効なものとなる上では何が重要だと思いますか。
小泉氏:道具は揃っているんです。そして、データも本当は役所の中にいろいろ揃っているんですよね。ただ、それを使いこなす人材というところに課題があると思います。
 課の中で業務を分析し、計画を立案するのは、主に「課長」「係長」なんですよね。メンバーが分析まで求められるのは、「企画課」とか「政策課」という名の付くところくらいでしょうか。
 GISに興味を持ってくれる若い職員からすると、仕事であまり分析する経験がなく、「良いことはわかるけど、どう使っていいかわからない」と言われる感じです。
 政策支援GISは、マイクロソフトで言うとAccessみたいな感じです。何かすごいことができるのはわかるのだけど、日々の業務にAccessを使うかと言うと、実際あまり使わない。マニアな職員しか使わない。それに近い状況になっているなと。
 だから、育成が必要で、本市では年1回GIS研修をしていますが、そこではシステムを利用する際に必要な用語や操作の前に「現在仕事で抱える課題」や「現在、企画中の事案」を具体的に掘り下げて行くようにしています。
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浦安市役所における政策支援GIS利用状況

加藤:浦安市ではどういう課で政策支援GISが使われていますか?
小泉氏:まだまだ、すべての課という訳ではないですけれど、企画政策、情報政策、都市計画。あとは環境とか、防災とか。徐々に利用する課、興味を示す課は増えてきています。とはいえ、まだマニアックな職員が使うものというイメージでしょうかね。
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※本インタビューは全7話です。facebookとTwitterで更新情報を受け取れます。

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