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【太田市 山本伸一 #3】行政と民間の翻訳者として、事業を生み出す

自治体によってお金の回し方は変わる

今村(インタビュアー):ここまで「地方公務員アワード 2021」を受賞した女性起業塾の話、それからその卒業生たちが一般社団法人を作られた話をお聞きしました。どちらの取り組みもビジネス感覚が必要とされますが、山本さんはどこで培われたのでしょうか。

山本氏:いろいろな環境で勉強しているうちに、身についてきたと思います。私は最初に入庁したのが東松山市役所でしたが、その時は予算がゼロの前提でどう仕事していくかに頭を使っていたんですね。
 いま所属している太田市では「予算がない=仕事じゃない」の雰囲気があって、割り当てられた予算をどう活かすかが求められます。そうやって経済の回し方をいろいろな角度から考えてきました。

今村:なるほど。たしかにお金の感覚は自治体によって違いますよね。

山本氏:例えば太田市には「1%まちづくり事業」と言って、市税の1%を補助金として出す施策があるんですね。太田市は比較的財政が豊かなので、まだお金を配布する文化があるのですが、それを単に渡すのではなくどう経済を回すか常に考える必要があります。

今村:そうなると、ともすれば役所がお金をくれる人たちという位置づけになってしまい、市民と対等な関係が築きにくかったり、壁があると感じたりはしませんか。

山本氏:そうですね、多少はあるかも知れません。壁に関しては、人口規模の話もあると思っています。
 太田市は22万人規模の自治体ですので、職員の仕事のやり方も縦割りになってくるんですね。市民と接する部署は一部になり、全体として市民と一緒にやっている雰囲気を出すのは簡単ではありません。
 ただ太田市の良いところとしては、芸術やスポーツの分野にもしっかりお金を投じているので、そういう裾野を広げる施策をするのは素晴らしいと思います。

上司に恵まれない時期は、根を張る活動をする

今村:山本さんって太田市役所の中ではどんな存在ですか。ぶっちゃけ、ちょっと浮いてますか?(笑)

山本氏:そうですね、浮いてますね(笑)。ただ味方は結構いるかなと思っています。繰り返しになりますが、女性起業塾の件でも上司に恵まれたおかげで実行できました。
 これまで「地方公務員アワード」を受賞されている方を見ていても、役職者だったり、小さな自治体で動きやすい環境だったりするパターンが一定程度ある思うんですね。ですから太田市ぐらいの規模感で私のような現場の人間が自由にやらせてもらって受賞できたのは、やはり上司に恵まれたからだと思います。

今村:やっぱり上司に恵まれないと、仕事って難しいと感じられますか。

山本氏:恵まれてない時に心がけているのは、よく言う「根を張る活動」をする時期だと思って、とにかく地道に動き続けるようにしています。勉強したり、考えをまとめたり、仲間を作っていったりですね。
 それこそホルグの地方公務員オンラインサロンで公務員同士が繋がって、勉強できる環境を活用するのも有意義だと思います。

行政と民間の翻訳者として、事業を生み出す

今村:山本さんは現在42歳ですが、これからどんな仕事をしたいと考えられていますか。

山本氏:いつも私は民間の方と話すとき、「行政と民間の翻訳者」になると言っているんですね。とても必要な役割なので、逆に民間にも行政との間をつなげる中間支援組織があればいいなと思っています。
 なのでこれからやりたい活動としては、行政と一緒にやれる民間のプレイヤーを増やしていって、補助金なども活用しながら、新時代の経済のパイを大きくすることですね。

今村:それは大きい目標ですね。そのためにはたくさん仲間が必要そうですが、異動が多い仕事をする中で、人脈を繋いでいく苦労はないですか。

山本氏:異動をしても変わらずに連絡をくれる方もいらっしゃるので、そういう付き合いを大切にしていければ良いと思っています。そういう関係になれる色んな個性をたくさん発掘して、紡いでいって、ストーリーのある事業を生み出していきたいです。

自治体職員へのメッセージ

今村:最後に、全国の自治体職員へのメッセージをいただけますか。

山本氏:私が大事だと思っているのは、自分がいる自治体の規模感や立ち位置を理解して、適切に比較できる自治体を見つけることです。どの市でも同じようにできるわけではないので、まず自分の自治体の理解から始めると良いと思います。
 やりたいことが決まったら、自分に何ができるかを考え、どんどん発信や行動をする。行き詰ったら仲間と一緒に考える。そうやって一歩一歩前に進んでいけると良いと思います。

今村:ありがとうございます。ちなみに、今回お話をしていて山本さんの熱量をすごく感じられたのですが、その熱量はどこから来るのでしょうか。

山本氏:なかなか公務員って頑張っても評価されなかったりすると思うんですけど、自分の活動が正しいと信じられれば、頑張り続けられるのかなと思います。

今村:その芯のブレなさが山本さんを突き動かすのですね。このインタビューを見た人たちが、それを受けとめてくれたらなと思います。改めて、貴重なお話をありがとうございました。

山本氏:ありがとうございました。

(取材=今村寛 編集=小野寺)

取材後記

山本さん、今村さん
 ずいぶん時間が経ってしまいましたが、山本さんのインタビュー、楽しかったですね。
 私自身、3年前まで創業支援や中小企業振興の仕事に携わり、チャレンジする人材に光を当て、つかず離れずの伴走支援をすることの面白みと難しさの両方をよくわかっていますので,それだけに一連のお話は我がことのように興味深く聞かせていただきました。
 自分も携わった業務領域だったことが災いして、仕事の内容や成果ばかりに話題を振ってしまい、山本さん本人を掘り下げるインタビューとしてはまだまだだなあと終わってから反省しているところです。
 山本さんの印象は「個人の熱量」。難しいことを成し遂げることができるかどうかは「個人の熱量」によると改めて感じました。
 山本さんが成果を残すことができたもう一つの要素は「よき理解者」ですね。
 上司、関係者、事業に実際に関わり法人立ち上げまで参画してくれた「よき理解者」の存在が成否の鍵を握る。その「よき理解者」を得るためにはまず「個人の熱量」を上げ、周囲に伝導していく必要があるということがよくわかりました。
 私も「個人の熱量」は他人に負けないタイプですが、さらに高めていこうと思いました。山本さん,おつきあいありがとうございました。

(文=福岡市 今村寛)

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※本インタビューは全3話です。facebookとTwitterで更新情報を受け取れます。

 

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