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コラム 事例を知る 教育

第1回 「生きる力」を育む幼児教育

(文=京都市 貞本 建太[保育士]

 皆さんは「森のようちえん」をご存じでしょうか。園舎を持たず、自然の中で子どもたちがのびのびと過ごす中で、子どもたちの「生きる力」を育むという幼児教育の一形態です。近年、日本でも積極的に推進する自治体が出てくるなど、大きな広がりを見せています。幼児教育無償化や、「#保育園落ちた日本死ね」に代表されるような待機児童問題として取り上げられる機会の多い「幼児教育」ですが、今回は幼児期に育まれる“生きる力”にスポットを当てて、森のようちえんについて3回シリーズでお届けしたいと思います。
 このコラムを通じて、多くの方と、幼児期に育まれる「生きる力」の重要性を共有できれば幸いです。そして日本の未来を担う子どもたちに、今どんな環境が必要なのか、また”森のようちえん”という既存の枠組みには収まらない幼児教育の可能性について考えたいと思います。

遊びが「生きる力」を育む

 幼児教育の重要性は、今、世界中で注目されています。ノーベル経済学賞を受賞したジェームズ・ヘックマンは、「幼児期までの質の高い教育を通して、非認知的な能力を育むことが社会的な成功や健全な生活につながる」と主張しました(2015)。この「非認知能力」とは、これまでの学校教育で重視されがちだった認知能力(=読み書き計算といった知的能力)では表されない”生きる力”です。簡単にまとめると、この非認知能力は、3つの要素からなります。
①忍耐力(=自分を励まし、やり抜く)
②コミュニケーション力(=人と協力する、違う価値観を柔軟に受け止める)
③感情のコントロール力(=失敗から学んで立ち上がる)
 これらは幼児期に遊びを通して育まれる”心の土台”であり、これこそがまさに「生きる力」なのです。
 ではなぜ、遊びを通して「生きる力」は育まれるのか。
 皆さんは幼児期にどんなことをして過ごしてきたでしょうか。時代、住んでいた環境、親の教育観などによって様々だとは思いますが、誰しもが、必ず共通して経験していることがあります。それは、「熱中して遊ぶ」ということです。虫かごいっぱいになるまで何度もセミ捕りをしたでしょうか。全身泥んこになって砂場で遊んだでしょうか。川で石を重ねてダムを作ったでしょうか。段ボールで家を作っておうちごっこをしたでしょうか。汗びっしょりになって鬼ごっこをしたでしょうか。ただひたすらどんぐり拾いをしたでしょうか。
 子どもたちは時を忘れ、全力で、夢中で遊びます。そして遊びの中から、さまざまなことを学ぶのです。そして、遊びを通じ、子どもたちは自分がこの世界から受け止められており、ここに存在して良いことを感じるのです。その結果として先に挙げた3要素である忍耐力、コミュニケーション力、感情のコントロール力が育まれるのです。
 子どもが熱中して遊ぶ時間、空間、一緒に遊ぶ仲間の確保が難しい現代だからこそ、遊びを通して育まれる「生きる力」を見つめ直すことが重要なのです。

「生きる力」の強い子が次代を担う

 現代社会には環境破壊や貧困、人権侵害など、様々な問題が山積し、国連が定めた持続可能な開発目標(SDGs)に多くの自治体や企業が取り組んでいます。そして、これからの持続可能な社会を担っていくのが、子どもたちです。「生きる力」の強い子が成長すると、その豊かな感性で、自らの周りの環境や人と接する中で、様々なことを自分ごととして捉えて自ら課題を設定し、それを乗り越える力を持てるようになるでしょう。
 そしてこの育ちを大切に、日々保育しているのが今回取り上げる“森のようちえん”です。

なぜ“森のようちえん”なのか

 私は京都府京都市の公立保育所に勤めている保育士です。私が森のようちえんを知ったのは、今回インタビューに応じて下さった“森のようちえん どろんこ園”の代表石川氏が、私たちが主催する保育研修会に講師として来て下さったのがきっかけです。
 以降、自分なりに森のようちえんについて学んでいく中で、自然の中でのあらゆる体験を通して「生きる力」を育むという森のようちえんの保育理念は、まさに自分の理想の保育理念に通じると思い、もっと森のようちえんについて学びたいと思っていました。
 次回は、2歳の息子と行った念願の「森のようちえん体験会」のレポート、そして最終回には“森のようちえん どろんこ園”代表の石川麻衣子氏のインタビューをお届けします。


引用文献
ジェームズ・ J・ヘックマン 2015幼児教育の経済学 古草秀子(訳) 東洋経済出版社

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