コラム

【もっと自治体職員を楽しむために#2】 キーワードは「フラット」な関係

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【プロフィール】
須田 千尋
食品メーカーを退職後、生駒市にU ターン。2017 年生駒市役所入庁、いこまの魅力創造課に配属。シティプロモーションを担当し、市民PR チーム「いこまち宣伝部」の運営や生駒市初のスタイルブックの制作業務等に従事。若手職員が企画・運営する、あれこれ学んでつながる場「よるゼミ」メンバー。働きながら3 歳児男子の子育て奮闘中。

 わたしは前職を夫の転勤で退職した後、知り合いのいない土地で「孤育て」をした。協力者のいない育児は精神的にも孤立を深めたが、声を交わす人が少しずつ近所に増え、地域につながりができるに連れて、充実した生活を送れるようになっていった。
 この経験から、人生の豊かさを左右する「つながり」づくりに携りたいと思い、自治体職員になることを選んだ。現在はいこまの魅力創造課で、まちの推奨者・参画者の増加を目指したシティプロモーションに取り組んでいる。

 生駒市のシティプロモーションは市民と「同じまちをつくる仲間」になりながら、まちの担い手を増やすことをなによりも大切にしている。入庁当初は、それがとても難しかった。
 生駒で暮らす人との異業種交流会に参加したときのことだ。みんなで夢やアイデアを共有し、会場は大いに盛り上がっていたが、わたしはなかなか輪に入ることができなかった。自治体職員は市民のニーズに応え、「なにか提供できなくてはならない」という思い込みがあったし、「わたしには、まだなにもできない」という引け目があったからだ。先輩たちがどんどん輪に入って、以前からの知り合いのように楽しむ姿にただ圧倒され、ふがいなさと焦燥感を感じた。

 まずは市民の皆さんと知り合うことからはじめようと、積極的に地域に出ることにした。徐々に声を掛けてもらえるようになり、話をする中でまちの人たちの想いを聞く機会が増えた。女性たちが家族を優先して自分のことを後回しにしていると知り、わたしの経験と重ね、なにかしたいと思うようになった。
 そんな時、生駒市初のスタイルブックの制作が担当業務になった。ターゲットは、シティプロモーションのコアターゲットである20~40 歳代の女性。育児をしながら夢に向かって活躍する女性や、生駒ならではのお店や活動を紹介することで、まちを好きになってもらい、地域に関わるきっかけづくりを目指す冊子だ。企画段階では、転入者や出産、育児といったライフステージの変化を迎えた女性に読んでもらうことを想定していたが、「生駒暮らしを自由に楽しむことで、もっと輝く毎日が送れる」というメッセージを込めた内容は、どんな女性にも伝えたいものになった。
 そこで、スタイルブックのテーマである「つながる」を体現する場をつくることを提案した。意気揚々とプレゼンした最初の企画は「これのどこがシティプロモーションなん?うちの課は子育て支援担当課じゃないで」と上司に一蹴され撃沈。その際、先進自治体で実施された事業内容のヒアリングを指示され、憧れの存在だった広報官に連絡をした。丁寧に相談に乗ってもらった結果、市民の皆さんにどんなサービスを提供できるかばかりを考えて企画していたことに気付いた。生駒市のシティプロモーションの目的は「まちの推奨者や参画者」を増やすこと。つまり、まちづくりの仲間を増やすことだ。
 当初の企画案を大きく方向転換し、今まで行政と関わりのなかった市民の方々といっしょに企画を考えていくことにした。参加者がつながることで新しい1 歩を踏み出し、まちに関わってもらう場をつくるという目標を共有し、コンテンツを工夫していった。そして、完成したのが「スタイリングパーティ」というイベントだ。

 

 パーティデコレーターの方が会場を装飾したり、高校教師だった方が司会進行をしたりと、それぞれの得意なことを持ち寄ったことで、行政だけでは実現できない場ができあがった。同じまちで暮らす女性の生き生きとした姿は見事に参加者の女性たちの心を動かし、イベントは大成功した。参加者全員が連絡先を交換するなどしてつながり、アンケートでも8 割以上が「なにかはじめたくなった」と回答。その後、新しくコミュニティに加わったり、市の事業に応募したりと、実際にまちで活躍されている。
 このような場を用意するだけで、自ずとつながり、輝き始める、まちの人たちの大きな力に心を打たれ、思わず泣いてしまった。イベントが終わってからも、企画に携わってくれたみなさんから「須田ちゃんだから、協力しようと思った」「これからも応援して、どこまでも着いていく」と声をかけてもらえた。自分がすべきことが明確になり、まちづくりの仲間ができたことが本当に嬉しかった。

 民間企業の仕事と比較して、自治体職員は退屈ではないかという質問をよく受ける。入庁してから一度もそう感じたことはない。時代の変化とともに前例踏襲を良しとしない職場環境に変わりつつあり、高いクリエイティビティが必要なやりがいある仕事だ。また、チームで仕事ができることもおもしろい。前職は営業をしていたこともあり、個人で活動することがほとんどだった。今の仕事は、些細なことでも課のメンバーで話し合い、アイデアをブラッシュアップさせていける。「スタイリングパーティ」も先輩のサポートがあったからこそ、実現することができた。
 そしてなによりも、まちの人たちとフラットにつながっていけることが楽しい。入庁してから知り合った市民の方々は100 人を超え、まちにたくさん大好きな人がいる。そんな方々と一緒に、まちの未来を考えて知恵を絞れる、これほど幸せな仕事は他にないと思う。明日からもわたしにできることを探して、まちづくりに携わっていきたい。(文=生駒市 須田 千尋)

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