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コラム

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セクシャル・マイノリティの地域格差


先日、ラジオを聴いていて妙になるほどと思ったことがある。地方に住むリスナーからの「カミングアウトができない」という悩み相談に対し、「インターネットで情報を調べること、あとは東京に来た方が良い場合が多い」という回答がされていた。ということで、今回はセクシャル・マイノリティの地域格差について触れてみたい。
電通ダイバーシティ・ラボによる「LGBT調査2015」によれば、セクシャル・マイノリティの人口割合は、「13人に1人(7.6%)」となっている。これは左利きやAB型の割合と同じだそうで、そう考えると自分が子供の頃、学校のクラスに1~2人はいたのかも知れない。それなのに「3人に1人の先生が、LGBTを病気だと思っている」という調査結果もあるというから、この問題の根深さを考えされられる。
世界を見れば、宗教的な背景もあり残念ながらLGBTを犯罪とする国が数多く存在している。ちなみに日本では、先の参院選でも、自民党・民進党・公明党・共産党・社民党など、LGBTについて各党が公約で触れるようになってきている。つまり日本では少しずつではあるがLGBTは認められる方向に進んでいる。では、地域別に見たときにはどうだろうか。
東京都の渋谷区や世田谷区で同姓パートナーシップ条例が成立され、その先進地域と言われているが、虹色ダイバーシティ代表の村木氏の記事によれば、日本のLGBTモデル自治体は大阪市淀川区だという。「淀川区LGBT支援事業」という特設ページを用意し、全職員がLGBT研修を受けることで正しい認識のもと正しい市民対応が出来るよういにしている。そして、その取り組みは一般市民の8割から肯定的な調査結果が出たという。
一方で、地方におけるセクシャル・マイノリティへの風当たりは強い。先ほどと同様、ハフィントンポストの記事「都会と地方の生活ってどれだけ違うの?LGBTの地域間格差」から引用する(ハフィントンポストはリベラル系メディアということもあり、LGBT特設ページがある)。地方では地域のコミュニティーの結束の固さから、そこから外れることが意味することの重さや、また情報が足りないことで「LGBTは都会にしかいない」という言説があるという。
さらに言えば、地方は年配者の割合が多いことも、セクシャル・マイノリティが生きづらい原因の一つだろう。ある調査では、「同性愛を受け入れるべきかどうか?」という質問に対し、18-29歳では83%がYESと回答したが、50歳以上ではその割合が39%とあまりにも低かったという。周りにいる人の半分以上が「自分を受け入れてくれない」と思っている環境で生きていくことはあまりに酷だろう。
セクシャル・マイノリティへの世代間格差を埋めるヒントは、先ほどの大阪市淀川区の事例にある。広報誌は基本的に高齢者ほど見ている傾向にあるが、そこでLGBTの話題を度々掲載することで、2年3年かけて啓蒙が出来てきているという。これは地方自治体による非常に画期的な取り組み事例と言えるのではないだろうか。この事例のように、各自治体がマイノリティへの偏見をなくす取り組みを率先して行うことで、地域格差を少しでも解消できたら素晴らしいと思う。

小野寺将人
湘南在住。不動産情報ウェブサイト運営会社、お出かけ情報ウェブサイト運営会社にて営業・企画職を経た後、現在は総合ポータルサイト運営会社にて企画職に従事。

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