記事タイトル:金融政策の多角的レビュー(令和6年第16回経済財政諮問会議)
https://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/kaigi/minutes/2024/1226/agenda.html
(文=川口 克仁)
今回は第16回経済財政諮問会議のうち、「資料2 植田議員提出資料」を取り上げたいと思います。植田議員とは、日銀の植田総裁のことです。金融政策の多角的レビューとして、いわゆる日本の失われた30年が分析されました。「経済がデフレに陥った 1990年代後半以降の金融政策運営について理解を深め、将来の政策運営にとって有益な知見を得るため、日銀が多角的にレビューを実施した」とのこと。このレビューの概要が植田議員提出資料です。
すでに会議の議事要旨が公表されてますので、植田議員による資料説明を掲載します。
◎植田議員
『資料2の1ページ、日本銀行は、昨年4月以来、進めてきた「金融政策の多角的レビュー」の結果を先週公表した。レビューでは、過去25年間の経済・物価情勢を振り返った上で、この間の非伝統的な金融政策の効果と副作用を評価し、先行きへの含意を整理している。
まず、過去25年間の経済・物価情勢の振り返りだが、1990年代後半以降、2010年代初頭にかけて、我が国では緩やかなデフレが継続した。この背景としては、1番目にゼロ金利制約、金利がゼロ以下に下がらないということだが、このために金融政策で十分に経済を刺激できない中で需要不足が慢性化したこと、2番目にグローバル化の進展等、3番目にこうした下で賃金・物価が上がりにくいことを前提とした慣行や考え方が徐々に定着していったことが挙げられる。
2013年以降、大規模な金融緩和や財政刺激策等から需要不足は解消し、デフレではない状態が実現した。もっとも、賃金・物価が上がりにくい慣行等の転換には時間を要し、物価上昇率は2%を下回る状況が継続した。
このレビューでは、大規模な金融緩和が2013年以降の経済・物価・金融情勢に及ぼした影響を点検している。
具体的には、第1に、大規模金融緩和は経済・物価を押し上げたとの分析結果を得た。ただし、インフレ期待等への働きかけは容易ではなく、大規模な金融緩和の効果は2013年の導入当初に想定していたほどではなかった。
第2に、金融市場や金融機関収益等の面で一定の副作用があったとの結果を得た。大規模金融緩和は、現時点では全体として見れば、我が国経済にプラスの影響をもたらしたと考えている。ただし、今後、マイナスの影響が大きくなる可能性には留意が必要である。
最後に、先行きの金融政策運営への含意である。
第1に、大規模な国債買入れやマイナス金利などの非伝統的な手段は副作用等もあるため、今後採用を検討する際にはコストとベネフィットを比較衡量する必要がある。
第2に、金融政策は、引き続き、2%の物価安定の目標のもとで、運営していく。非伝統的な金融政策手段は、伝統的な短期金利操作の完全な代替手段にはならないので、景気悪化時に短期金利操作で実質金利を引き下げることができるよう、小幅のプラスの物価上昇率、現在は2%を目指しているが、これを安定して実現していくことが重要と考えている。』
ちょっと何言ってるか分からないですよね(笑)。要するに日銀は何をどうしたいと考えているのか探ってみましょう。
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