海老澤 敬子(えびさわ けいこ)経歴
1964年茨城県出身。1987年に筑波大学を卒業。セゾングループに入社。研修後、セゾングループの株式会社ファミリーマートに配属。商品開発・宣伝部などに携わり、食品、日用雑貨などを開発。その後、出版社「ぴあ」を経て、博報堂へ。会社員としてマーケティングなどの仕事に20年間携わる。
東京と茨城を往復しながら、脳梗塞で倒れた父を7年にわたり介護。行政への不満を感じ「同じ境遇の人を減らしたい」と決意。公募から自民党公認として2007年に文京区議に当選。現在、自由民主党文京区議団の幹事長を務める。
-国会議員に比べて注目度の低い地方議員だが、人々の日常生活に深くたずさわる地方行政に影響を及ぼすため、本来その果たすべき役割は大きい。また、改善や改革を進めようとしても、幅広い領域の専門知識から、行政内部の実務的なフローまで把握しなければ適切な提案ができず、その難易度は高い。
海老澤敬子氏は自民党という大政党に身を置き、文京区議員としての仕事を全うする。同氏に日々の活動や地方議員のあり方を伺った。
※本記事は、テレビ東京とのタイアップ企画です。文京区議員海老澤敬子氏の、議員を志し、そこに至るまでの経緯やモチベーションをテレビ東京が運営するウェブサイト「テレ東プラス」が記し、議員としての考えや行動に関してホルグが紐解きます。
モノゴトはすぐに変わらない
加藤:地方議員を2007年から10年以上経験されて、何が変えられて何が変えられないと感じましたか?
海老澤氏:あまり変えられないと思ったことがないです。かと言って、モノゴトはすぐに変わるものではない。今日言ったことが明日叶ったら、逆にそれっておかしくないですか。
何か変えるべきことがあれば、そのことを言い続けることが大事だと私は思っています。時代の変化は早くなりましたが、予算という大枠があって優先順位を決めていくわけですから。
ある人にとってはすごく必要なことでも、別の人にとっては全然必要じゃないこともあるじゃないですか。たとえば、介護領域であれば、介護の職員を増やすことはなかなか難しいけど、中学生の時から介護現場を体験してもらい、そういう職に就いてみたいなって思う人を増やすとかは始められる。でも、介護現場体験が実行されたからって、いきなり介護の仕事に就く人が明日から100人増えるわけじゃない。
声を拾い、裏付けをもって発言する
加藤:自分がやりたいことを実現させていくうえで、どういうアクションを取られていますか?
海老澤氏:議員が一番しなければいけないことは、議会での発言ですよね。その時に感情だけではなく、裏付けをもって発言することが大切だと考えています。
まず、議員は区民の声を拾う。そして、拾った声に関してどれくらいの人が本当に困っているのかを突き詰めることが必要です。それができるかどうかが、やりたい事を見つけ実現出来るかの分かれ道だと思います。
シェアサイクルという事業があり、町中に市民が乗り降りできる赤い自転車が置いてあるんです。その事業の導入を2年間言い続けやっと文京区でも採用されました。元々、文京区は役所で貸して、役所に戻してもらうサイクル自転車事業というものを行っていたのでいらないという話だったんです。
でも、他区の人たちの利用状況を聞くと、どんどん利用者が増えている。その時にFacebookに投稿したら、いろんな意見を頂きました。反対した人もいたけど、賛成する声がすごく多かったんです。声を拾うにはいろいろな方法があると思いますが、やはり実際に直接声を聞くことが重要だと思います。
加藤:2年間言い続ける中で、どういうアクションを取られたのでしょうか?
海老澤氏:まず、他の自治体の事例でどう変わったのか情報を集め、議会に提案します。そこで、議論が深まったり、新たな論点が出て来たら、その論点に対する答えを用意して、次の議会で再度意見を述べていくことの繰り返しですね。
区の枠組みを超える案件は進みづらい
加藤:逆に進められていないと感じる案件はありますか?
海老澤氏:全然叶わなかったのは、10年叶っていない自転車の保険事業に関してです。
現在、文京区を含めて都内10区で共同して保険を提供しているんですが、年に1回4月にしか契約できないんです。それを「通年で入れるようにしてほしい」と要望しているのですが、実現しません。自転車事故を子供が起こし、多額の賠償金が発生することもある。それに自転車を買う人は4月だけじゃないですか。
この保険は都内10区が共同で行っているので、変えるハードルが高いようです。そういう意味では、区の枠を超えるものの案件は難易度が高いですね。
厚生委員会に所属
加藤:自民党という大きな政党の場合、当選してもすぐに議会や委員会で話ができるのでしょうか?
海老澤氏:文京区は私が入った2007年の時は民主党が第一党だったんですよ。自民党は34人中8人と少なかったので、普通に順番が回ってくる。それに、自分の所属した個別の常任委員会は全体で8~9人の議員がいましたが、自民党は多くても2人しかいなかった。喋らないわけにはいかないですよね。
加藤:最初に入った委員会はどういうものでしたか?
海老澤氏:厚生委員会という介護とか、保険、厚生年金、公衆衛生などを話し合う委員会でしたね。会派でどの委員会に入りたいかをヒアリングしてくれて、運よく自分が一番関わりたい厚生委員になることができました。
加藤:大政党に所属するから動きづらい、ということはありませんでしたか?
海老澤氏:だって、34人中8人で第一党でもない。そこは他の地方議会とは違って、特殊だと思います。政党が区の方針に影響を及ぼすことは、あまりないと思いますね。
そもそも、私は常に身近な区レベルのことばかり考えているので。
自由に議会で発言ができる
加藤:意思決定をする際に、党議拘束とかはないんですか?
海老澤氏:文京区の自民党は議決までの意見は何を言ってもいい、という感じですよ。すごく自由で、遮られることはないですね。
議決の前には党内で話し合って着地点を取りますが、拘束というほど無理強いされている感覚はないですね。もちろん、自分の意見の全部が反映されるわけではないけど、寄せていくことはできます。
実は、最初は全然、人それぞれ意見が違うんですよ。先日も民泊について自民党内で意見の相違がありました。重要なことは、国会とちがって「与党」対「野党」というわけじゃない。地方行政対地方議会という形なんです。本来、地方自治ってそうじゃないですか。
※この記事はテレビ東京とのタイアップ企画です。海老澤敬子氏の議員を志し、そこに至るまでの経緯はテレ東プラスでご覧いただけます。
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※本インタビューは全4話です。facebookとTwitterで更新情報を受け取れます。
第1話 大政党でも地方議会で自由に発言できる
第2話 自民党文京区議団の他会派との付き合い方
第3話 行政は既存事業をやめてから、新しい事業を起こすべき
第4話 多くの地方議員は二元代表制の本質を理解していない