インタビュー

【雲南市 速水雄一市長 #1】6町村合併で目指した「小規模多機能自治組織」とは

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少子高齢化やテクノロジーの発達、ライフスタイルの変化などで多様化した課題に対して行政で全てを対応することは難しくなりつつある中で「オープンガバメント」というキーワードが登場して早10年が経過した。しかし、その実現にあたっては日本のみならず海外でも模索が続いている状況である。
そんな中で「小規模多機能自治」という取り組みを市内全域で住民ぐるみで実践しているという島根県雲南市の話を聞き、オープンガバメントのヒントを得るべく速水雲南市長にお話を伺った。

平成16年11月に6町村が合併

石塚(インタビューアー):本日は雲南市の小規模多機能自治のお話を中心に、経緯や実際にどのような取り組みをされているのか、また、雲南市役所の職員の皆さんがそれをどのように支えているのか、そのための人材育成の方法などについてお聞きしたいと思います。まず、事前に調べている中で驚いたのですが、雲南市はできてからまだ15年ほどしか経っていないのですね。

速水市長:そうですね。雲南市は平成16年の11月1日に、6つの町が一緒になって誕生した新設の市です。県内には雲南市を含めて8つ市があり、あとの7つには、松江市や出雲市などがありますが、その中で雲南市はようやく15、16歳という高校生になりかけたぐらいです。選挙権も18歳に引き下げられましたので、はやく選挙権を持つのにふさわしいくらいに成長しないといけないと思っています。
 市町村の合併っていうのは人間に例えれば結婚みたいなもので、AとBが結婚して、両方の家風とかが融合してAB家の家風を作っていくことになる。1対1の結婚でもいろいろな会話を通じて相手のことを知ったり、色々な出来事を乗り越えて「その家らしさ」が作られていきますが、雲南市は6つの町が一緒になった。人間で言ったら重婚ですからもっと大変です。

石塚:なるほど(笑)。

速水市長: AB家の家風を作るのにも、やっぱり10年は、20年はかかるところ、6つの町が1個となると、下手すると40年、50年はかかる。しかし、今の時代にそんな悠長なことを言っていられないので、その6つの町のそれぞれ育んできた文化を大事にしながら、新しい家庭である雲南家の家風づくりを急ぐ必要がありました。

 では、そのための仕組み作りをどうやったらいいのかということを考えるにあたり、雲南市誕生1年半前の平成14年4月1日に合併任意協議会を立ち上げました。合併任意協議会は6か月経った14年の10月1日に法定協議会に移行しましたが、合併任意協議会の時点では、やっぱり合併するのをやめようと言うこともできたんですけど、法定協議会になると、もう行くしかないと。

三軒両隣の顔が見える社会へ

石塚:もう後戻りできない。

速水市長:そうです、後戻りできない。そのために新しい仕組みづくりを一生懸命検討しました。553k㎡という広さを持つ雲南市としてのまちづくりの方向性はしっかりとみんなで共有しようという中で、どの地域にもまちづくり組織を作って、まちづくり組織がお互い啓発し合い、競い合って、そうしたことが雲南市全体のまちづくり、地域づくりにつながっていけば、と考えました。

 そのために、まちづくりの核になる共通の最大公約数として6つの町それぞれにある公民館を拠点としました。公民館というのは戦後直後の旧小学校区単位で全国一斉にできて、今もずっと残っている。そこを拠点としたまちづくり組織である地域自主組織を作ろうということでスタートしました。経緯はいろいろありましたけど、現在、30の地域自主組織があります。
 戦後直後の旧小学校区単位というのは、言い換えると戦後直後の町や村単位なんですね。つまり、そうしたエリアごとのまちづくりは、戦後直後の社会への再構築だと言えます。昭和の大合併を経て、その地域にあった役場がなくなっても公民館は存続し、向こう三軒両隣の顔が見える社会の拠点としての役割を果たしてきていると思います。

石塚:今でも地縁が残っている前提で、それを中心に自治組織をまとめていったということなのですね。

速水市長:はい。しかし、そうは言いながらも、合併時点で人口減少、少子高齢化がはなはだしく、それがさらに進んでいく。空き家ならずとも独居家庭が多い。独居家庭ならずとも、高齢者だけの世帯が多い。要は少なからず「家庭力」が落ちているんです。家庭力が落ちている家が増えれば増えるほど、自治会力も落ちる。自治会力が落ちると、地域力も落ちる。
 だから、その傾向に歯止めをかけるためにも、公民館を拠点としてその地域ごとのまちづくり組織がしっかり活動して向こう3軒両隣の世界をできるだけ堅持し、一人では無理であれば、助け合って、自助、共助、公助の進む地域づくりをしっかり担保しようと現在に至りました。

 平成の大合併後の日本において、どのような自治体づくりをしたらいいのかを、総務省が定期的にアンケートを取っています。それを見ると、700か800の自治体が、公民館的なところを拠点とした、まちづくり組織の構築に取り組んでいるので、そういうところにお声掛けをさせていただいて、協議会を作ろうということになりました。
 雲南市と同じようなまちづくりを進めておられる三重県の伊賀市と名張市、兵庫県の朝来市の3市に呼びかけて、まず、まちづくり組織の統一的な呼称をつけようということになりました。最終的に、雲南市の合併当初からお世話になっている「人と組織と地球のための国際研究所」の地域づくりコーディネーターである川北秀人先生が『小規模多機能自治組織』がいいんじゃないかとおっしゃって、ではそれで行こうと。

石塚:なるほど、そこで初めて『小規模多機能自治』という言葉が生まれたんですね。

(取材・文=石塚清香)

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※本インタビューは全5話です。facebookとTwitterで更新情報を受け取れます。

 

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