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HOLG編集室

住民の顔が見えるまちだから、東京にはできないことを目指す【よんなな会若手首長セッション#3】

江差町・照井町長

(編集=金治 諒子)

職員に嫌がられても巻き込んでいく

東氏:桑原町長は、生まれ育ったまちであり、すでに人間関係がある中で関係性を築いていかれたかと思いますが、江差町の照井町長の場合は、本当にゼロから構築されて町長になった、という経緯があるかと思います。そのあたりは、どういうふうに巻き込みながらやっていらっしゃいますでしょうか。

照井氏:私は移住者ですので、外から見たこのまちの魅力、そして課題がどこにあるかを感じながら、3年間新聞記者として過ごしました。その中で、我々のまちは北海道の中でも歴史の古いまちであることがわかったんです。江戸時代、北前船という船が大阪を出発して最後に行き着くまちが、江差町でした。函館でも小樽でもなかったんです。

 江差町では、例えば、京都の祇園祭の流れを汲んだお祭りが現在でも毎年行われています。そういう文化や歴史がある一方で、それらを活かして経済行為に繋げられているか、持続可能なまちとして受け継いでいける体制になっているかについては、まだまだ十分ではないと考えています。

 一方で、江差町ではおそらく東京のような所得を得ることは難しいですが、時間を有効に使った有意義な生き方ができるのではないかと考えています。私は東京に住んで高校も大学も一時間半かけて通っていましたけれど、いまは役場まで5分です。どれだけ有意義に時間を使えるんだろうと思います。豊かさを求めるのではなくて、マイナスをゼロにする。それが行政に求められていると考え、現在は「不幸ゼロのまち」を掲げて施策に取り組んでいます。

 例えば、自殺者をゼロにする、いじめをゼロにする、児童虐待をゼロにする。人口8000人を切ったまち、地域住民の顔が見えるまちだからこそ、東京にも神奈川にもできないことをやっていこう。そのためには行政だけでなく、地域住民を巻き込んで一緒にまちを作っていく必要性を感じています。職員からは嫌がられますけれども(笑)、アクションプランを作って、しっかりと住民を巻き込みながらまちづくりを進めています。

東氏:いま仰っていただいた中で、ぽろっと、北海道では言えない言葉があったかと思いますが(笑)、とはいえそれは、職員だってまちを良くしたいと思っていて、町長もまちを良くしたいと思っているからこそ起こる対立だと思うんです。「自殺者ゼロ」「いじめゼロ」は非常に高い目標だからこそ、それをどういう観点で掲げてアクションプランまで落とし込んでいくのか。具体的にどんな取り組みを職員と一緒にやられていらっしゃいますか。

照井氏:まず前提として、小さなまちで職員の数も100人程度と少ないものですから、すべての事業を完璧に行うことはできません。そのため職員に対しては、私の想いを本気で伝えて、力を入れるところと手を抜くところを納得してもらうようにしています。例えば、国から示される様々な計画を策定することはこの人員ではなかなか骨が折れるのですが、しっかりと職員に説明して本気で取り組んでもらっています。

 一方で、財源が縮小していく中では行政サービスを取捨選択していかなければなりません。住民の理解と協力がなければ成り立ちませんから、私が先頭に立ってまちに出て、住民の方々を巻き込んでまちについて気軽に話してもらう、「まちづくりカフェ」という取り組みを行っています。中学生や高校生からお年寄りまで参加してくださり、どういう地域像を目指していくのか、という話し合いを月に一度の頻度で積み上げている段階です。

東氏:なるほど。限られたリソースの中での取捨選択は非常に重要なキーワードだと思うんですが、行政が決めた取捨選択ではなく、「まちづくりカフェ」でざっくばらんに話しながら取捨選択を住民と一緒に分かち合っていくというイメージですかね。

三宅町・森田町長

三宅町・森田町長

失敗する組織をつくっていこう

東氏:取捨選択といっても、「取」されるほうは良いですけど、「捨」されるほう(の理解、納得)はなかなか難しいのかなぁというふうに思っています。(登壇前に)控室で話していたんですが、やっぱり、これから選んでいかなければならないこと、撤退をしなければならないことがたくさんあるので。その中で、森田町長も鼻息荒く話されていたので(笑)、その辺り教えていただいてもよろしいでしょうか。

森田氏:これからの時代確実に人口減少がくる中で、例えば僕が50歳になったとき、いまの行政規模で行っていくことは不可能だと思っています。それこそ当事者意識を持って、自分が50歳になったときにはどんな世の中になっているだろうなぁと考えながら、その中でいまから準備をする必要性があるのかなぁと。福祉もあればみなさん嬉しいですし、必要だというのは誰しも思うことなんですけど、じゃあどこまでどれだけのサービスができるのか、公平性はどうなのかというのは、いまから議論を始めないと、50年後の未来は変わっていかないのかなぁと思っています。その議論をするためには、日常頑張ってくださっている職員の成長が大事になってくるのかなぁと。

 先ほど照井町長が仰ったように、住民さんと一緒にまちづくりを掲げて、タウンミーティングとかまちづくりトークでお話をするという事業をするのにも、僕は1年かかりました。ただ住民さんと話す(事業を実施する)だけでも1年かかる。なぜか?職員からすると、こういうことをすると、こういうマイナスがありますよ、と。マイナスの要素はすごく教えてくれるんですけど、「やってみよう」というのがなかなかなかったんです。

 僕がいま具体的に職員さんと取り組んでいるのは、失敗してもいいじゃないかと。やってみてわかることを活かしていこうと。失敗する組織をつくっていこうと、いまいろんな取り組みをさせていただいています。その中でも(意識が)内向きになりがちなので、脇さん達トップランナーを三宅町にお呼びして、職員の刺激になるような講演や懇親会を開催したりしています。それでもまだ、「何がしたいのかわからない」「あの人何の話をしてはるのかわからない」という感想があるのが現状でして、意識高い職員さんと普通の職員さんの差が非常にある。これもやってみなかったらわからなかったことですし、それがわかることによって、自分がどんな伝え方をすれば良いのかを日々考えています。

 ここにいる皆様も、伝え方を工夫して、想いをうまく伝えることによって1%でも2%でも(意識が)上がる取り組みになっていくのかなと。それが住民さんの未来のためにも繋がるのかなと思っています。

東氏:ありがとうございます。

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