(PR) 学びと人脈が自宅で手に入る。全国で300名以上が参加する、地方公務員オンラインサロンの詳細はコチラ

HOLG編集室

地方公務員オンラインサロンセミナーレポート『行政が「効果の低い作業・事業」を止める手順とは』(前つくば市副市長 毛塚 幹人さん)

―「この仕事、やめた方が良いのではないか?でもどうやって?」

地方公務員のみなさん、作業・事業の縮小や廃止をした経験はありますか?おそらく、効果が低い作業・事業があったとしても、様々な理由により縮小や廃止ができないモヤモヤ感を抱えている人は、全国各地に多く存在すると思います。今回の地方公務員オンラインサロンは、前つくば市の副市長の毛塚さんによる「役所の作業や事業を止めたい」という人向けのセミナー・相談会でした。毛塚さんが現場で実践してきた作業・事業の止め方やポイント、明日から使える実践術など、事例紹介を交えながらわかりやすいお話でした。私も明日から活かしたい内容が多々あったため、アーカイブ動画(会員限定)を視聴しながら復習したいと思います。

<セミナーの流れ>
・業務廃止、作業の事例紹介
・非効率な作業の削減・廃止のために行うべき手順とコツ
・質疑応答

毛塚さんは、東京大学法学部卒業後に財務省で働いていましたが、財務省を退職して26歳でつくば市の副市長に就任されました。そして現在は、栃木県の自治体を中心に、自治体の政策立案や職員研修の支援アドバイザーを行なっています。その他、スタートアップ育成関係も行なうなど、様々な自治体や地域でご活躍されています。2019年には、Forbes JAPAN誌「30 UNDER 30 JAPAN」(世界を変える30歳未満の30人)にも選ばれた話題の人でもあります。

————————

まずは、毛塚さんが経験した事例の紹介です。毛塚さんより数個の事例をお話いただきましたが、本レポートでは、以下の2つを簡単にご紹介します。

・答弁調整会議
・ミーティング改革

答弁調整会議は、今までは3.5日ほどかけて調整されていました。しかし、毛塚さんが副市長を退職する頃には、1〜2時間くらいにまで縮小することができたそうです。そのポイントとして、以下の内容がありました。最初は大変だったそうですが、職員も徐々に慣れてきたそうです。

・読み上げをしない!
・事前に答弁を幹部にPDFで提出し、PDFに疑問や修正点をデータでコメント!
・打ち合わせは必要な部署のみ実施!
・答弁資料のペーパーレス化!議会の了解をもらいパソコンを議場に持ち込み! など

ミーティング改革では、ルール決めやツール活用などにより、職員の時間を生み出すための取り組みを実践していました。主に以下の内容となりますが、いずれも全国各地の自治体で真似できそうなものだと私は感じています。

・幹部ミーティングは、できる限り前日までに資料を提出!
・事前に資料を読んだ上でレクをなくすこともひとつの選択肢!
・会議冒頭で会議時間の確認をする!
・アジェンダ・論点を明確にする!
・チャットツール導入による意思決定の体制づくり!
・来客者対応のオンライン化!など

これらの事例を実践するためには、幹部の意識も非常に重要です。しかし、毛塚さんは、「まずは自分の係会議など身近なところからの実践」や「小さなところから順番に改善」など、スモールスタートの重要性をお話していました。そのため、一気に変化させるのではなく、自分の身の回りから少しずつ改善へと踏み出してみましょう。

————————

次は、改善対象の作業・事業を洗い出す方法です。先ほどご紹介した2つの事例は事務事業ではないため、どこにも明文化されていません。そのため、見直し対象となりにくいものとなっています。このような作業・事業の洗い出し方について、以下の内容をお話くださいました。

・職員アンケートで、部署ごとではなく職員ごとに提出してもらう!
・ヒアリングを実施する!
・職員提案制度を「政策提案」と「業務改善」にカテゴリを分ける!など

これらの通り、主に職員からの聞き取りが軸でした。毛塚さんのお話で共通していた内容としては、いかに「個人単位」で意見やアイデアを出させるかという点であったように私は感じました。一人ひとりへの丁寧な設計で、実現ができるものだと思います。

そして、作業・事業の縮小や廃止は、全ての部署を均一的に改善するのは難しいです。そのため、見直しする作業・事業や部署を集中させるなど、まずは難易度の低い部署から組織として動くことをおすすめされていました。

————————

次は、作業・事業の見直しの工夫です。市長公約のロードマップ化やスタートアップ関連事業を進める中で、以下のことを意識されてきたそうです。

・方向転換できるよう事業を立ち上げることが大事!
・最初はスモールスタートを心がけていた!
・取組内容や期限の明文化!など

特に、スタートアップ関連事業は、当初は既存の部署で予算をかけずに、地域との意見交換から小さく実施されていたそうです。どのような事業でも、まずは小さく初めて反応を見ながら修正を重ねる大切さを学ぶことができました。

また、作業・事業の見直しを行うことで、必ずハレーションは起きます。その時に意識しておきたいポイントとして、毛塚さんから以下の内容をご紹介いただきました。

・政治的なスケジュール!
・首長や幹部が交代するタイミング!
・幹部への意識づけ!
・関係者の把握と根回し!
・説明できる段取り!など

これらのお話を聞いて、私は「タイミング」と「段取り」の重要性を感じました。確かにタイミングによって難易度が変わる可能性があります。また、私たちの行動には必ず説明責任が伴いますが、その説明の段取りをするためにも幹部や関係者との事前調整が重要です。少しでも批判されるポイントを減らすためのヒントや動きにくい組織で動く工夫など、毛塚さんから大切なことを多く学ぶことができました。

————————

最後は、毛塚さんへの質疑応答・相談会が開催されました。約25名の参加者がチャットを活用して、普段の仕事での悩みや感想などを書いていました。この質疑応答・相談会での毛塚さんの発言から、以下のような実務に活かせるヒントをいただきました。

・実証実験として実施する!
・時限的な撤退基準を設ける!
・批判が出ることも受け入れる! など

また、チャットには「福祉部門は事業廃止が難しいと感じます」ともありましたが、確かに福祉部門の業務は事業廃止が困難だと思います。しかし、その時は、「廃止」ではなく「業務改善」へ舵を切り、今回のセミナーのノウハウを活かすことができるのではないでしょうか。どのような部署であったとしても、その部署だからこそできる縮小や廃止の動き方があると私は考えています。まずは、自分の身の回りの手に届く範囲から、みなさんも実践してみてください。

————————

今回の毛塚さんのオンラインセミナーでは、毛塚さんが現場で実践してきた作業・事業の止め方やポイント、明日から使える実践術など、事例紹介を交えながらわかりやすいお話を聞かせていただきました。日々の仕事における改善ポイントやマインドセット方法まで、行動を起こすための全てを学ぶことが出来た実務的で良いセミナーでした。

私たち地方公務員の仕事は、いきなり新しい作業・事業が始まることが多々あります。しかし、新しい作業・事業を始めるためには、何かを縮小や廃止することも必要です。このことも意識しながら今回のセミナーの実践術を活かし、日々の職務に役に立てたいと思います。

▼今後開催予定のオンラインセミナー
・【9月26日(月)21:00〜22:30】パネルディスカッション-若手地方公務員3名

公務員たちのホンネ-若手公務員が思う 『良い組織』と『良い上司』とは

・【10月4日(火)21:00〜22:30】講演-晝田 浩一郎さん(官民連携事業研究所 取締役CCO、元岡崎市)

「体験しながら学ぶ、ワークショップデザインのポイント」

・【10月20日(木)21:00〜22:30】講演-出蔵 健至さん(福井市)、寺井 優介さん(福井県)

「住民と良好な関係を築き、役所の仕事に活かすには」

・【10月25日(火)21:00〜22:30】講演-廣濱 学さん(豊田市)

「改善の本質と具体的な改善事例~豊田市の事例から」

地方公務員オンラインサロンでは、月に3〜5回のペースで、魅力的なオンラインセミナーが開催されています。また、今回のようなゲストに直接相談できる場や公務員同士が交流し本音を語る場、そして、民間企業の方との交流・学びもあるため、リアルタイムでのオンラインセミナーへの参加は有意義な時間となるでしょう。更に、200を超える魅力的なセミナーアーカイブ動画も見放題であるため、今から新規参加であったとしても良質なインプットに繋がることは間違いありません。実務に活かせる知識や情報が盛りだくさんの地方公務員オンラインサロンを、ぜひ一緒に使い倒していきましょう。

————————

▼毛塚 幹人(けづか みきと)
前つくば市副市長。栃木県宇都宮市出身。東京大学法学部卒業後、2013年に財務省入省。国際局国際機構課(G20・IMF担当)、主税局総務課等を経て2017年3月に財務省退職。つくば市副市長を2017年4月から4年間務め、政策イノベーション部、財務部、 経済部、市民部、保健福祉部、こども部等を担当するとともに、CIOとして行政のデジタル化やテクノロジーの社会実装を推進。つくば市社会福祉協議会会長兼務。2021年3月につくば市副市長を退任し、地方自治体の政策立案や職員育成支援の取組を開始。2021年度より三重県みえDXアドバイザー、栃木県那須塩原市及びさくら市の市政アドバイザーを務める。2019年にForbes JAPAN誌「30 UNDER 30 JAPAN」(世界を変える30歳未満の30人)、2020年に世界経済フォーラム「グローバルシェイパーズ」選出。1991年2月19日生まれ。

▼「地方公務員オンラインサロン」のお申し込みはコチラから
https://camp-fire.jp/projects/view/111482
全国で300名以上が参加。自宅参加OK、月に複数回のウェブセミナーを受けられます

▼「HOLGファンクラブ」のお申し込みはコチラから
https://camp-fire.jp/projects/view/111465
・月額500円から、地方公務員や地方自治体を支援することが可能です

※facebookとTwitterでHOLG.jpの更新情報を受け取れます。

-HOLG編集室

© 2020 Heroes of Local Government , All Rights Reserved.