久保田崇 氏
学び続ける公務員が生き残る
2012年の開校以来「日本版ハーバードケネディスクール」を志し、政官民のセクターを越えて、日本を取り巻くマクロな課題や政策を学ぶ場を提供してきた青山社中リーダーシップ・公共政策学校(Aoyamashachu School of Leadership and Government以下 ASLG)。2月7日(木)より「公務員の総合力のアップデート」を目指す「政策実務編②」がスタートする。担当するのは立命館大学公共政策大学院教授、元陸前高田副市長の久保田崇氏(42)。弱冠35歳で内閣府から副市長として出向、復興の現場で4年間陣頭指揮をとった人物である。そこでの経験談や、自らが苦心して形作っていった「成果を出すための考え方や技術」を伝授する。若手〜中堅の公務員の受講者の間では「仕事への考え方が根本から変化し、格段に生産性が上がった」と好評だ。
社会が大きく変化していく中、今後は公務員も否応なしにアップデートを求められる。横浜市役所に勤める深谷章史氏(37)も、そんな危機感を持ってASLGで学んだ一人だ。市税予算に関わる部署を振り出しに、東京2020オリンピック・パラリンピック、ラグビーワールドカップ2019等、スポーツ関連の事業を牽引してきた深谷氏は、「マインドセット、スキル共に得難いものがあった」と語る。
自身の方向性、スキルアップのヒントを求めて
深谷氏がASLGを知ったのは前述の久保田氏の書籍がきっかけだ。青山社中も新聞やテレビの報道で見たことがあった。
「公務員として働いてきて当時10年と少し。自分のキャリアをどう考えていくべきか、スキルをどう磨いていくか、ヒントを求めていました。そんな中、若くして副市長として震災復興に尽力されていた久保田氏が講義を持つということで、この人の講義なら受けてみたいと興味を引かれました。受講料も安くはないものの、久保田氏なら妥当かなと。先行投資だと思い、受講を決断しました」
一歩踏み出したことで、予想以上の好循環が生まれた
こうして深谷氏は仕事を終えた後、ASLGへ通学する生活を開始。本業との両立は不安だったが、欠席時には講義の録画データをWEBで視聴できるというフォロー体制も決め手の一つになった。久保田氏の講座は公務員以外の受講生も多く、NPO職員や民間企業の会社員、地方議員など多彩だった。講義内容は今後目指すべき公務員モデルの考察から、どのように政策立案をして実現までこぎつけるか、政策アイデアをどう発見するか等の実用的なものまで、総合的なスキルアップを意識したものだった。
「国家・地方公務員を両方経験した、久保田氏ならではと言える講義でした。国とのやりとりのコツを知ったお陰で、具体的な仕事の成果にもつながりました。私は当時スポーツの部局に所属していたのですが、教えていただいたことを応用して総務省の担当者と直接コミュニケーションした結果、大きくプロジェクトを前進させることができました。上司からも評価され、その後の仕事にも大きくプラスに影響しています。また、これまではキャリア官僚に何となく気後れしていたのですが、『国の役人は地方公務員と意見交換をしたがっている』と聞いてから大きくマインドセットが変わりました。おかげさまで、業務外でキャリア官僚の方と出会う機会や有意義なやり取りが増え、本業でもいいサイクルが生まれてきたと感じています」
「変化」を求める全ての公務員に勧めたい
実際に受講してから好循環が生まれたという深谷氏。大変化の時代、危機感を持つ仲間たちに対し、このように語る。
「自分の軸を見直してみたいという若手や、自分くらいの入庁10年目前後の中堅に特に勧めたいです。実務的な話以外でも、多様なバックグラウンドを持つ受講生同士の議論を通じて視野が大きく広がりましたし、自治体職員としての責務とは何か、改めて考えることができました。国、他自治体、議員、民間企業の方など、ごった煮で学ぶことができるのは青山社中だからこそ、だと思います。ここでの一歩がこの先の百歩につながるので、是非勇気を持って踏み出してほしいと思います」
久保田氏の「政策実務編②」は2月7日(木)、14日(木)、21日(木)の全3回。毎回木曜19:30スタートで、2時間授業の「夜学スタイル」だ(録画データ視聴による遠隔受講も可能)。今期も民間、行政問わず多彩な人材が集う。興味を持った方は門を叩いてみてはいかがだろうか。
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深谷章史氏 横浜市資源循環局施設課
平成19年横浜市入庁。
これまでに市税予算、固定資産評価審査委員会事務局、広聴、地域スポーツ、東京2020オリンピック・パラリンピック、ラグビーワールドカップ2019等の業務を担う。特にスポーツでは、英国オリンピック代表チームの事前キャンプ横浜誘致を実現。さらに川崎市・慶應義塾大学と共に同チームキャンプ地としての覚書締結や横浜初のラグビー日本代表戦開催に携わる。ラグビー日本代表戦では過去最高の43621人来場に貢献(2017年当時)。
あわせて横浜市庁内応対マナー講師として新人研修を中心に庁内のマナー向上に務める。
時間外には横浜市の自主研究会「よこはまYYラボ」で、新人や庁外向けの街歩き研修等を企画するなど横浜をゆるく良くする取組を展開している。
【青山社中リーダーシップ・公共政策学校の過去の記事はコチラ】
霞が関を飛び出した講師たちと学ぶ 「リーダーシップ」と「公共政策」の学校