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【箕面市長 倉田哲郎氏:第3話】飲み会での『人への評価』を制度に落とし込む

組合も最後は協力してくれた

加藤:給与制度の議案を出してから決着までが早かったですね。本当は議会としても、市長と組合の間で話をつけてほしかったわけですよね。

倉田市長:そうですね。

 それと、私も組合には「妥結しない方がいいんじゃない?」と言っていたんですよ。組合の役員の方々は、ある種、役割の中で交渉の矢面に立っているわけだから、妥結したら妥結したで罪を背負うわけですよね。合意してしまったという。

 だから、「全部、市長に押し切られた」と言えるように、妥結せず僕のせいにしたほうがいいんじゃないか、と裏で組合側に言っていました。ただ、ありがたいことに組合側は「ちゃんと合意して一緒にやっていこう」と判断してくれたんですよね。

 その意思に応えたいと思ったので、僕らも制度の本質論は一切崩さずに、経過措置のところや給与テーブルの最低ラインなどを譲歩して一部微修正しました。

数字で評価されることに慣れる時間が必要

加藤:既に新制度が始まっています。改善すべき点が出てきたりしていますか?

倉田市長:制度そのものとしては今のところないですね。ただやはり、評価されることみたいなところに慣れていないですよね。明確に「1」とか「5」とか付くわけですよ。もちろん、良い評価が付いた人は嬉しいけど、期待と違う評価が付いた人は色々感じますよね。そこに慣れていく時間は必要なのだと思います。

 給与表の制度は条例で定められていますが、どうやって評価をするかは条例ではなく運用です。だから、評価方法に工夫の余地があれば、変えていけばいいと思っています。

『納得』を大事に 評価制度を作った

加藤:評価の仕方にはどういう思いが込められていますか?

倉田市長:重要視したのは『納得』なんですよ。不満が出る理由は、「自分はもっと評価されるべき」、「アイツが良い評価受けているのはおかしい」 、「なんでアイツが課長なの?」 という不満ですよね。みんなからすごいと思われている人が昇進しても、文句は言われないじゃないですか?

 そこで、『360度評価』を導入したんです。公務員の世界は売上が見えるわけでもなく、評価がわかりづらいですよね。いわゆる世の中で存在している人事評価制度でうまく理想と合うのがなくて、オリジナルで作っている部分があるんです。

飲み会で話される『人への評価』を 制度に落とし込む

倉田市長:公務員でも民間人でも職場の人間と飲みに行くじゃないですか。その時に同じセクションの人達に関する噂話もあれば、別のセクションから来る人の仕事の受け渡しの仕方の問題とか、色んな話が出て来ますよね。

 その時のみんなの評価ってある程度一致するんですよね。「あいつ、こういうところあるよね」 、「いや、俺もそう思っていたんだよ」と。

加藤:確かに、一致することは多い気はします。

倉田市長:色んな人が無意識にしている評価は完全一致じゃなくても、ある程度近いレンジの中に入ってくることが多い。飲み会で話すような評価を制度に落とし込むということが、私のやりたかったことなんです。自分や他人の評価に対して、多くの周囲の人が納得する状態に近づけば、不満はすごく減らせるんです。

人事評価では 第一印象で数値評価をつける

倉田市長:従来のよくある評価制度では「交渉がこのレベルでできる」とか基準があったりするじゃないですか。今の多くの世の中で行われている評価制度もその域を出ていない。でも、これだとダメなんですよ。これをやっても、実際の評価では、この項目と別に総合的な力とかも考慮してしまうんです、人間。

加藤:確かに、バイアスがかかりますよね。

倉田市長:そう。だから、箕面市ではまず第一印象で数字の評価をつけるんです。その後に、「どこがよかった」とか、「どこが改善すべき」とかを、評価とは関係なく特徴を評価表に書いてもらう。

 だけど、これをある一人の人に任せると、それは独断と偏見になりますよね。だから360度にして平均化することで、評価の確からしさを高めます。これだったらおそらく飲み屋の評価に近くなるだろうと。

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他の部署とも比較し納得度の高いプロセスを構築

倉田市長:そうは言ってもその自分の所属する長の評価が最大の45%を占めます。仮に、所属長が比較的甘めに評価を付けると、他の課とバランス悪くなるんで、それを部内で調整をします。自分の課の中の順位は動かさずに、部内で課・室長全部出てきて話し合いで決めるんです。

 すると、「うちのアイツはどう考えても、お前のところのコイツより評価高くあるべきだろう」みたいな話が出て来て調整されていくんですね。この話し合いのプロセスも納得のためです。

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※本インタビューは全6話です。facebookとTwitterで更新情報を受け取れます。

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