インタビュー

【箕面市長 倉田哲郎氏:第4話】平社員の給与が部長を上回るケースが存在する

倉田哲郎 TOP4

首長には人事給与制度を確認してほしい

加藤:この箕面市の給与制度改革を他の自治体が真似しようとした場合、何が重要でしょうか?

倉田市長:人事給与制度に触ることって、鬼門に思えるじゃないですか。これは市長が動かないと無理です。あと、多くの市長さん達もやっぱり、人事給与制度を普段見ないし、議論にならない。だから、本当にどうなっているのっていうのをわかっていない。僕だってそうだった。まず自分のところの制度をどうなっているのか見てほしいですね。

 多くの市町村は、都道府県から「給与表のここが変だ」とか、「他の自治体が廃止している特殊勤務手当が残っている」とかを既に指摘されたりしているわけです。それを少しずつ改善している役所も多いので、首長から「うちの人事給与制度はどうなってる?」と問われたら、人事は「ちゃんとやってますよ」と答える。そこで首長が突っ込む知識は通常ないので、なかなか手を入れられない。

平社員の給与が部長を上回るケースが存在する

加藤:給与制度を首長が見た時には、主にどういうポイントに着目すべきでしょうか?

倉田市長:特に、若めの係長や課長より、年齢の高い平社員の給与のほうが高いかどうかに着目するといいです。残業代が付くか付かないかも含めてですね。他の自治体の給与制度とかを見た時に、平職員の一番年をとった人と若手の部長がいた場合、前者の給与が上回るケースもあるんですよ。

加藤:よく職員が声をあげないですよね。そういう不満のある人は、何も言わずに辞めていくのでしょうか。

倉田市長:いえ、しょうがないと思っているんです。そういうものだと思っている。人事給与制度は法律に基づいていて、条例事項で、国の人事院勧告に従って徐々に動いているだけの話。そういう印象を、職員も然り、首長はそれ以上に持っています。

技術系の職種を撤廃 ただし異動あり

加藤:人事領域で箕面市ならでは特徴はありますか?

倉田市長:例えばなんですけども、うちは技術系の職種を撤廃し、技術も事務も全て行政職で統一しました。専門職で全く同じ仕事ばかりをやらせると、結果的にすごく狭い人間が育つわけですよ。

 それと、実務経験がないと取れない資格ホルダーに関しては、ペーパー試験を受けてもしょうがないので一次試験免除。ただ、そういう採用候補者に対しても専門以外の分野も担当することがあると伝えて、それでもやりたいと思ってくれる人を採っています。

入庁10年以内に3部門を経験しないと それ以上昇進できない

加藤:本来、専門職となるタイプの人も転々と異動することもあるということですね?

倉田市長:はい。最終的には専門性が生きる畑で働いてもらおうとは思ってはいますけど、特に若手にはあえて異動させます。ちゃんとそれが実行されるための制度もあり、入庁10年以内に3部門を経験しないと、それ以上昇進できないルールにしていて、上司による囲い込みを防ぐこともしています。

加藤:なるほど。面白いですね。

倉田市長:みんな人がいいので、部下の不利益になるように囲い込まなくなって、「しょうがないな」と手放すんですね。

ジェネラリストなんて本当に存在するのか

加藤:よく、異動することでジェネラリストを育てる、ということが言われるじゃないですか。それについてどう思いますか?

倉田市長:よくジェネラリストとスペシャリストの2軸みたいな人事育成で語られますけど、最近感じるのはジェネラリストなんて本当に存在するのか? とすごく疑問なんです。だって別に、スペシャルな分野のことが出来る人の中にも、どの部署でも活躍する人っているわけですよ。

加藤:すごく思いますね。結果的に適応能力が高い、つまり課題発見能力、解決能力が高いような人が、ジェネラリストと呼ばれるだけのような気がするんです。

倉田市長:そうそう。だから僕は「ジェネラリストを養成する」と言われても、「ふーん」って感じなんですよ(笑)。僕が若い職員に色々な部署を回ってもらいたい理由は、最初の10年くらいで広く仕事を見て、その後に自分がやりたい畑を選んでそこに身を置いた方が、本人が能力を伸ばせると思うからなんです。つまり、その人のフィットする領域でスペシャリストになってもらうためです。

事務系の職員は技術系の職員を見下しているケースが多い

加藤:自治体の人事領域で感じる違和感などはありますか?

倉田市長:これは箕面市役所でもそうですが、多くの役所でそうなんじゃないかなと思うんですけど、事務系の職員は技術系の職員を見下しているケースが多いんですよ。それにずっと違和感があって、「絶対あの人達の方が偉いと思うよ」とずっと前から言っています。役所全体の支配構造的にも事務系の職員が大体握っているというのも影響しているのかも知れません。

加藤:民間でも営業が力を持つ組織とか、エンジニアが力を持つ組織などがありますが、お互いが尊重できると良いですね。

※本インタビューは全6話です。facebookとTwitterで更新情報を受け取れます。

 

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