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食材値上げがコロナ後の難敵か【トラベルスクエア】

[記事提供=旬刊旅行新聞]

 アフターコロナで出現するであろう難敵の1つに、原材料問題がある。
 とくに食料調達。
 およそ、飲食を提供する業態なら、今でもじわじわ進行中の食材仕入れ価格の高騰に気づいておられると思うが、コロナ騒ぎが一段落したところで、かなりこの問題が表面化するのではないか。
 既に、庶民レベルのスーパーでのお買い物でも、値札は変わっていないのに、中身の量目が減ったりしていることが騒がれ始めている。こういうのをステルス値上げと言うのだそうだが、取引量の多い業務用食品ではダイレクトな卸価格の改訂を要求されそうだ。
 というのも、地球規模で、食料生産が減産だ。
 アフリカや南アメリカの農業国などで、コロナによる20~40代の農業従事者が減っているのは深刻な事態だろう。
 もちろん、気候変動もかなりのファクターで、これだけ干ばつ、豪雨などが随所で起きれば、影響が出ないわけがない。
 それに、救荒食物の優等生たるトウモロコシが食材ではなく、4割近くがエネルギー源に転用されていることも大きい。
 通常、こういう食材値上げの対抗手段としては、メニュー価格の改訂、値上げになるのだが、未だデフレを克服できず、一般消費者の所得も伸びそうもない。というか所得がどんどん減るかもしれない事態なのだから、ここで消費者向けに値上げなどしたら、他店との価格競争に負けてしまう。材料費アップを吸収するには、勢い、人件費のカットに頼るしかない。そうなれば、現場はますます疲弊しサービス力も低下。ということで、コロナ後の対策として、新商品開発の試みが欠かせない。それも大胆な。
 ①高騰しそうな材料があれば、それに代わる食材を探す。
 ②1人前のメニューの主要パーツ(例えば牛の陶板焼きならお肉)を減らして、それに代わる美味しい野菜や魚介を採用しボリューム感の維持に努める。
 ③定番のメニュー表を持たなければいけない外食と異なって、その度ごとに献立を変えられるリゾート旅館は、もう一度あらゆる皿の上の食材を吟味し直し、それぞれ今が「旬」の素材に置き換えられないか考える。作り過ぎで困ったものも出るはずだからだ。もちろん、形の崩れた、いわゆる「端物」(はもの)の活用も積極的に。
 やってはいけないのは、大量買い付けの仕入価格をダウンさせるスケールメリットの考え方。
 大きな冷凍庫を買って、安い時に買付し、それを順次使っていくというのは合理的に見えるが、実際は先入れ先出しの原則など面倒で守り切れないものだ。折角の新鮮な食材を冷凍するのは、お客さんの心と舌を冷凍することに他ならない。今から心構えをしておこう。

松坂健
オフィス アト・ランダム 代表 松坂 健 氏
1949年東京・浅草生まれ。1971年、74年にそれぞれ慶應義塾大学の法学部・文学部を卒業。柴田書店入社、月刊食堂副編集長を経て、84年から93年まで月刊ホテル旅館編集長。01年~03年長崎国際大学、03年~15年西武文理大学教授。16年~19年3月まで跡見学園女子大学教授。著書に『ホスピタリティ進化論』など。ミステリ評論も継続中。

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