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万葉のまほろばと国宝勝興寺(富山県高岡市)「観光ルネサンスの現場から~時代を先駆ける観光地づくり~(219)」 

唐門から国宝・勝興寺本堂を臨む

[記事提供=旬刊旅行新聞]

地域には固有の歴史が刻まれた、忘れられない場所がある。高岡市の伏木地区もその一つである。

伏木は富山県内で最も早く開けた地で、かつて越中国国府がおかれた。8世紀の天平年間には、大伴家持が国守として赴任した、まほろばの土地である。

その伏木に1584(天正12)年、砺波郡安養寺村から勝興寺が移転、寺内町が形成。勝興寺は20数年にも及ぶ長い大規模修繕を終え、昨年10月、晴れて国宝に指定された。現場には2度ほど視察させていただいたご縁もあり、地元の近世高岡の文化遺産を愛する会の皆さんにお招きいただいた。

勝興寺は、蓮如上人ゆかりの土山御坊に始まる浄土真宗本願寺派の古刹で、現在の本堂は、加賀藩の支援の下に西本願寺阿弥陀堂を模して建てられたと言われている。地方の寺院建築としては破格の規模である。

今回、国宝となったのは本堂と大広間および式台の2棟だが、経堂や御霊屋、総門、唐門なども重要文化財に指定されている。本堂の建築には、本願寺の宮大工が建築に携わったと言われている。

近世、加賀前田藩の城下町が置かれると、海に面した伏木地区は小矢部川の水運貨物の量が増え、北前船の寄港地としても栄えるようになった。明治の町村制の施行で、射水郡伏木町として独立したが、1942年には周辺町村とともに高岡市に編入合併された。

高岡にはもう一つ、97年に国宝指定された瑞龍寺がある。加賀前田家2代当主前田利長公の遺徳をしのび、その50回忌にあたる1663(寛文3)年に完成した曹洞宗の寺院である。瑞龍寺近くの市街地には山町筋や鋳物の金屋町、さらに伏木にも小矢部川沿いの吉久地区という3つの重要伝統的建造物群がある。1つの市に2つの国宝建造物と3つの重伝建地区とは、なんとも贅沢な地域である。これらは2015年、「加賀前田家ゆかりの町民文化が花咲くまち高岡~人、技、心~」として日本遺産第1号にも認定された。

高岡市は、これら歴史文化資源の保存・活用のために、11年には早々と「歴史文化基本構想」を策定し、8エリア・テーマ別に関連文化財群としてとりまとめた。伏木エリアは「越中国府に関わる文化財群」「勝興寺と寺内町に関わる文化財群」「みなとまち伏木の交流と物流に関わる文化財群」として、それぞれ保全・活用の計画が策定されている。

近隣の雨晴海岸には多くの観光客が訪れている

高岡市では、これまで瑞龍寺や山町・金屋町など都心部に集中する人の流れを、伏木など北部エリアに広げる狙いもある。伏木の近くには、立山連峰3千㍍級の山々を臨める景勝地・雨晴海岸もある。既にDMO富山県西部観光社などの取り組みも始まっているが、濃厚な文化財群と景勝地エリアをどのように活かしていくか。海外に向けて文化観光に大きく舵を切った日本の観光戦略の中でも、この地域をどのように活かすかは大きな課題であろう。

(日本観光振興協会総合研究所顧問 丁野 朗)

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