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寺本英仁氏講演top

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農村漁村では70才からが本番 新しい地方創生の原動力とは何か?

住民のあり方が、地方創生の原動力

 『過疎』という言葉は島根県の匹見町が発祥なんです。島根県邑南町(おおなんちょう)役場の寺本英仁(てらもとえいじ)氏は、講演でこう話して会場を驚かせた。

 3月13日、新宿の紀伊國屋ホールで第293回新宿セミナー@kinokuniya「ビレッジプライド!あらたな地方創生のかたちとは?」が開催された。イベントは「ビレッジプライド 「0円企業」の町をつくった公務員の物語」の著者でもある寺本氏の講演に加え、地方創生担当として、内閣府特命担当大臣を務めた石破茂氏、著書「デフレの正体」で大きな注目を浴びた、日本総合研究所の藻谷浩介氏が加わった。

 寺本氏の講演では、邑南町が作った料理人の研修制度「耕すシェフ」の事例や、邑南町直営の高級イタリアンレストラン「AJIKURA」の事例が共有された。AJIKURAはランチにも関わらず3千円から6千円する高級イタリアンレストランだ。お店は見事に繁盛し、本店に加えて広島県内にも3店舗を構える。人口1万人の邑南町で役場が繁盛する高級レストランを生み出したことには驚きだ。

寺本英仁氏講演1

 邑南町ではその後に起業を増やすため、一流のシェフを全国から呼び、料理人の育成制度を充実させた。その結果もあって、3年間で蕎麦屋やパン屋をはじめ、23店舗の飲食店が誕生した。
 住民の力も大きかった。研修制度では都会から若者がやってくるが、彼らに残ってもらうために邑南町民が出資し、新しい蕎麦屋が生まれた。もともと米にプライドを持っていた地域にも関わらず、住民がそばをたくさん食べる地域に早変わりしたという。

 寺本氏は講演の最後で地方の住民のあり方が地方創生の原動力になると、次のように締めくくった。
 「邑南町は43%が高齢者です。その住民たちが元気に楽しくなれば若い人が来る。そして、起業をしたくなる。地域の住民が、どう自分の人生のモチベーションを高めるかが大事です」
 人は楽しい環境に集まってくるものである。

農村漁村では70才あたりから本番

 パネルディスカッションでは、藻谷氏がデータを共有しながらモデレーターを務めた。

寺本英仁氏講演2

 役所では、個人が自由に動けないことも多いのではないか、そんな話を振られた寺本氏だが、上司に反対されることはなかったという。石破氏が島根県には若くて面白い首長が多く、そういった風土があるかもしれないと加えた。

 中盤では「故郷に錦を飾る」という言葉は海外にはないと石破氏が述べた。海外では都会で成功することが人生の成功ではないという。都心に出てきても、ゆくゆくは志を果たしに、そして、仕事を作りに地方へ帰ってきてほしいと重ねた。

寺本英仁氏講演3

 1時間ほど経ち終盤に差しかかると、地方の高齢者は元気に仕事をしていると藻谷氏が解説した。農村漁村では70才あたりから本番、都会で働く人は60代までしか考えていないという。続いて、国の先行きを考えたら、夢見たいな話ばかりしてもダメで危機感を伝えないとまずい、地方で60〜80代まで元気で働いて納税することが楽しい、と伝える必要があると石破氏が主張した。

 人から感謝してもらえることが高齢者にとって大切で、それは東京よりも地方の方が実現するのではないかと石破氏は提起する。実際、寺本氏の周りの高齢者は、自ら作った野菜がお店に出ることが生きがいになっていると応じた。

 地方創生というと何に最も注力すべきかという論点が分散しがちである。えてして仕事を作ることに囚われることもあるが、それが地方を本当に創生しているのだと断言できるかどうかは疑問だ。
 ひるがえって、邑南町で寺本氏が進めた数々の事例は、単に仕事を生み出しただけではない。寺本氏の熱意と施策によって生まれたコミュニティが住民の力を引き出し、その住民の力が、若者を呼び込む魅力的なまちへと邑南町を変えたのではないだろうか。

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