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【和光市 山本享兵氏】公認会計士が自治体職員として成果を上げるということ

【山本享兵氏の経歴】
2015年10月から、埼玉県和光市役所企画部財政課副主幹として3年間の特定任期付職員として勤務。大学卒業後、公認会計士試験に合格した後、2005年から有限責任監査法人トーマツにて従事。官公庁をサービスの対象とするパブリックセクター部に所属し、自治体の公会計に関わる。認定ファシリティマネジャーの資格も持つ。

-公認会計士でありながら、3年の任期付の職員として、和光市役所のみならず全国の公会計をリードする山本氏にその実績や考え方をお聞きした。

現在は公会計制度の構築などを担当

加藤(インタビューアー):早速ですが、今の和光市役所でのお仕事について教えて頂けますか。
山本享兵氏:現在は財政課という部署に所属しています。新しい公会計制度の構築をすることがメインの仕事です。財政課の職員でもあるので、その一員として、予算や決算にも関わっています。
 それとは別に、指定管理者選定委員会(公共施設の管理者の選定について、調査及び審議を行う会)ですとか、総合振興計画審議会(市政運営の最も基本となる方針や計画に関し必要な調査及び審議を行う会)の委員になっていたりもします。
 前職で働いていた民間の監査法人の時代に取り組んでいたのが、公共施設マネジメントや行政評価だったので、それについても主担当ではありませんが、担当者から相談を受けたりと、その他も諸々雑相談、雑作業、何でも屋的な感じになってます(笑)。
加藤:その中で一番比重が高いのは公会計制度の構築ということですね。
山本享兵氏:そうですね、一応その名目で採用されていますから(笑)。仕組みを構築していくのもありますが、作業員としてデータ入力などもやっています。管理職として部下に指示して仕事をしているわけではなくて、実務者としてやっています。
 他の財政課の方にはむしろアドバイザーになってもらっている感じです。「これは職員にとって受け止めやすいかどうか」、「違和感がないか」、「財政課以外の職員でもわかるか」・・・。そんなことを周りに聞いてもらっています。
加藤:実務をしているからこそ、細かいレベルまで目を配ることができているのでしょうか。
山本享兵氏:そうですね。データを入力していくと「これは、わかりづらいな」とか、「会計の専門知識がない人には難しいな」とか、そういうことを炙り出すことができました。

公認会計士の見識を活かして、公会計の実務を改善した『予算仕訳』

加藤:実際に、お仕事をされた中でどういった成果を上げられたのでしょうか。
山本享兵氏:『予算仕訳』というものを導入しました。『予算仕訳』というのは何かというと、予算のタイミングから複式簿記に対応できる会計処理をするということですね。資産と費用を明確に分けるんです。
 これまでの全国的な公会計の課題としては、これまでの実務では全然正確に処理することができないということがあるんです。『期末一括仕訳』という方法があるんですが、決算の時に一発で財政課や会計課等で多くの処理が必要となり、その業務が膨大になります。且つ、それだと予算の時以外に細かい事業について、財政課が所管課に話を聞くのは難しいこともあって、うまくいかないんですよね。
 ですので、適当に処理をすることになってしまい、結果として固定資産台帳も正しく更新されなくなってしまうんです。正確でない固定資産台帳だから、当然活用されないわけですよね(笑)。不正確なデータで事務をするわけにはいきませんから。
 これを解消する為に、『日々仕訳』という取り組みがあるんですけど、財政課でさえ学びきれないレベルの話を所管課全員に理解してもらう必要があり、実際には現実的ではなく、これはこれでいい加減になるんですね。
 ですので、和光市では各所管課が普通にいつもどおりの予算執行を進めれば、自動的に複式簿記の仕訳ができるような仕組みにしました。通常の事務に溶け込ませることで、負担感なく取り組むことができるようにしたのです。

予算仕訳

予算執行を進めれば、自動的に複式簿記の仕訳ができる仕組み

加藤:それを、実際に形にできたことは本当に大きいと思います。因みに、『期末一括仕訳』、『日々仕訳』、『予算仕訳』を行う組織の数は、大体どう分布しているんでしょうか?
山本享兵氏:私が和光市に入った頃だと、『期末一括仕訳』が300自治体くらい、『日々仕訳』が10自治体くらい、『予算仕訳』は田中弘樹さんのいらっしゃる砥部町役場(愛媛県)と宇城市役所(熊本県)の2つがその思考を持っていた先進事例でした。
 実務の中で、砥部町や宇城市から着想を得ながら、それに自らの会計実務の知識を凝縮してさらにいいものを創りたいと思ったのが、自分が専門家としてやってみたかったことの一つですね。

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【和光市 山本享兵氏】公認会計士が自治体職員として成果を上げるということ(2/5)
【和光市 山本享兵氏】公認会計士が自治体職員として成果を上げるということ(3/5)
【和光市 山本享兵氏】公認会計士が自治体職員として成果を上げるということ(4/5)
【和光市 山本享兵氏】公認会計士が自治体職員として成果を上げるということ(5/5)

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