(PR) 学びと人脈が自宅で手に入る。全国で300名以上が参加する、地方公務員オンラインサロンの詳細はコチラ

graffer TOP2

事例を知る 人を知る 情報システム

テクノロジーの力で民主主義を拡張する~デジタルガバメントが進むと不要となるサービスを提供~

(インタビュー=横浜市 石塚清香、船橋市 千葉大右/文=横浜市 石塚清香)

「自分たちゴト」からサービス創出

石塚:サービスをはじめたのはどのような経緯からですか?

井原:実は、最初は自治体向けのサービスを作ろうと思っていたわけではなく、自分たちに便利な仕組みが欲しいという発想で作り始めました。
 その過程で、たまたま鎌倉市役所に課題ヒアリングに伺うこととなり、色々お話を聞いた際に、そもそも行政の中ではライフイベントに関わる手続きが業務全体の5-6割を占めているにも関わらず、種類と手続き内容が複雑になっていて、それが書類の不備や持ち物の不足などに繋がり、市民は再来庁をする羽目になる、行政は作業量が増えるといった、双方に不利益を生んでいるということを知りました。
 それなら自分たちがITでなにかできるんじゃないかということでサービスをリリースして、現在は鎌倉市で「くらしの手続きガイド」として導入していただいています。

千葉:この手続きガイドも拝見しましたが、「終了まで残り〇〇%」というような表示がされます。行政では市民に1から10まで手続きをさせることは考えても、手続き終了までの目安を示すというようなユーザー視点がないということに気づかされて、正直悔しいと思いました。(笑)

井原:ありがとうございます。(笑)
 これはどんなシステムにも当てはまりますが、最初から正しい形を作ることは100%不可能だと思っています。そのため、今は最初の質問から最後の質問に至るまでの割合(遷移率)を見ながら、アジャイル的に色々と作りこみをしている段階にあります。
 今後は、必要な手続きと様式が洗い出された後に項目を入力してもらうと、QRコードが発行され、それを窓口のプリンターにかざすと必要帳票が出力されるような仕組みをリリースする予定です。

石塚:いまデジタルファーストのような話が盛り上がっている中で、国や自治体が手続きの方を綺麗に整えてしまったとしたら、Grafferのサービスが生き残れなくなるのではないですか?

井原:我々は「テクノロジーの力で民主主義を拡張する」という理念を掲げている企業なので、それはそれである意味本望であると思っています。
 ただ、民間で様々なサービスを構築し「遷移率を1%上げるためにどう画面を作りこんだらいいか」ということを日夜考え抜いていた経験から言うと、個々の手続きごとに組織が細分化されている自治体は、そうしたモチベーションを持ちづらいのではないかと感じています。
 それは誰が悪いということではなく、あくまでも構造的な問題なのです。
 ならば、そういう棲み分けだと割り切ってサービス全体を見直し、入口はGrafferフォームのような仕組みを活用してもらい、行政は民間から入ってきた情報が正しいかどうかというのを判別する部分にリソースを充てていただくのがいいのではないかと思っています。

千葉:確かに、以前行政職員と民間企業が参加する「行政手続きを整理しよう」というワークショップで「項目は氏名と住所で、それをここに入力してもらって…」という作業をしていたら、民間企業の方から「住民の異動があった場合でも、どこかの地方自治体は必ずその個人の氏名や生年月日などの情報を全て持っていて、それを異動先の自治体に動かせばいいだけなのだから、異動先でわざわざ全項目を申告させるのは無駄ではないか。」と言われて「あ、そうか。」と思ったことがあります。(笑)

石塚:正直、行政も「こことここを連携させるときはこういう法律・条例が必要で…」と考えるクセが染みついているために、申請主義がなくならないと思っています。しかし、Grafferフォームのように圧倒的な利便性を見せつけられる事例があると、黒船的に外から突破していってくれるのではないかと期待が高まります。

井原:最近は労務系の民間サービス経由での電子申請が進んでいて、会計も会計ソフトから出力したものを金融機関が受け付けるという流れが普通になっているので、行政手続きもどんどんそうしていったらいいのではないでしょうか。

千葉:政府のデジタルガバメント実行計画の中にある「サービス設計12箇条」もそうした理念を謳っていますが、全体としてはまだまだ足並みがそろっていないですね。

石塚:マイナポータルとの連携はどうなるのですか?

井原:マイナポータルのAPI公開(あるソフトウェアの一部を公開することによって、組織外の者が利用することができるようにする)の話も出ていますが、API連携にあたっては、ユーザー側から見た時に使いやすいものかどうか質的な部分を見極める必要があると思っています。
 「マイナポータルのぴったりサービスがあるから、Grafferみたいなサービスはいらないのでは」とたまに言われるのですが、質問に答えても出てこない手続きがあったり、質問項目も制度側から考えたような雰囲気もあったりします。用語ひとつとっても「転出・転入」では通じないので「引っ越し」の方がいいのではと感じることがあります。

 例えば、「提出する」という部分がAPIで公開されて、外部サイトからの申請であっても「特定の形式+電子署名付きなら受け入れる」となれば、一気に使いやすくする自信がありますが、そこに別の細々した制約が入ってくると難しくなります。
 ただ、マイナポータル側にはAPIを作る工数がかかります。それよりは書式だけでもPDFで公開してくれれば、色々とこちらでサービスインすることができます。結構マイナーな手続き書類でも、オンライン公開すると助かる人がいるのだろうなと思っています。

▼「地方公務員オンラインサロン」のお申し込みはコチラから
https://camp-fire.jp/projects/view/111482
全国で300名以上が参加。自宅参加OK、月に複数回のウェブセミナーを受けられます

▼「HOLGファンクラブ」のお申し込みはコチラから
https://camp-fire.jp/projects/view/111465
・月額500円から、地方公務員や地方自治体を支援することが可能です

※本インタビューは全3話です。facebookとTwitterで更新情報を受け取れます。

 

他のインタビュー記事を読む

-事例を知る, 人を知る, 情報システム
-

© 2020 Heroes of Local Government , All Rights Reserved.