議会改革はなかなか進まない
加藤:文京区議会で課題に感じることはありますか?
海老澤氏:今までの話につながるんですけど、過半を取ることが難しくて、物事がすぐに動かない。
議会改革というかたちで、超党派で打ち合わせをして定数を減らそうとしても、いつになっても話がまとまらない。他にも、議会のICT化を進めようと言っても、紙のままが良いと言う会派の方もいらっしゃいます。だから、一つずつがすごく遅いですね。
加藤:議会改革は特に放っておいても議決が行われるわけではないから、先延ばしになるんでしょうか。やはり、議員の立場としては枠を減らすのが怖いですよね?
海老澤氏:そう感じて反対しているんだと思います。他の区も議員定数を減らしていますし、自民公明では、減らしてもいいと言っているんですけど。大反対の会派もいるので、まとまらないまま次の4月の統一地方選挙に突入すると思います。
ただ、逆に費用弁償という交通費的なものの支給について、ゼロにしようと言っている会派もいますが、自公は実際に経費として必要だし、まずは金額等の見直しではないかと言っています。それに、議員数を減らした方がコスト削減効果を高く見込めるし。
自治体に行ってほしい施策
加藤:具体的な施策として自治体に期待したいことはありますか?
海老澤氏:システム系の専門家をもっと雇って欲しいですね。システムの専門家が少ないので、どうやってシステムの見積もりを取っているのか気になるくらい。システムのプロフェッショナルを今から育てても時間がかかり過ぎるので、早めに中途を採ったほうがいいと思います。
それと、行った事業が適正だったかどうかを検証する仕組みはしっかり作ってほしいですね。一回行った施策がダメだったら、それを認めて適正なものに変えていくことが大切なんじゃないですか。ダメだってことを認めないから、結果的に次の手を打つのに時間がかかることになるんです。
前に、区の体育館にエアコンを入れて欲しいと要望をしました。そうしたら、大型扇風機が入ったけど、全然涼しくなっていない。さらにそれが、スポットエアコンに変わったんですけど、体育館の広さに対応できていなくて、送風機みたいになっているんです。それじゃ、熱中症になってしまいます。現場に行ったら、誰でも変えなきゃいけない、と考えると思うんですけどね。
やめる事業がなければ、新しい事業を起こすべきではない
海老澤氏:間違いを認めたくない、そして、クレームが来るのが嫌だから、既存事業をやめられない。それがなぜ問題かというと、新しい事業を増やしづらいという点です。
加藤:個人的には議員のほうが、何かをやめて予算を切ろうと動くのは怖いものだと思っていました。
海老澤氏:え!?
加藤:だって、選挙で票が減るリスクがあるじゃないですか。
海老澤氏:そう…、かな?
加藤:あまり気にされないですか? 気にされない議員のほうが区民にとっては良い議員だと思いますけど。
海老澤氏:だって、利用者が少ないのに事業を続けていたらもったいなくないですか?
加藤:でも、その少ない中に自分に票をくれている人がいたら、それがもらえなくなるリスクもあるじゃないですか。
海老澤氏:いやいや、その事業を潰しても新たに変わるものが評価されれば、自然に票につながるんじゃないですか?
加藤:でも、現実論として人って自分が既に得ているものを失うことへの抵抗の方が大きいですよね?
海老澤氏:でも、予算は限られているので、やめる事業がない限り、本来、新しい事業はすべきではないと思います。
民間企業にいた時の感覚で費用対効果ばかりを言ってはいけないと思います。特に福祉の分野において費用対効果だけで判断すべきではないんです。だから、すごく難しいですけど、利用者が少なかったら他のサービスを考えるべきですよ。
つい1、2年前にやめたんですが、黒電話を高齢者に無料で貸す事業があったんですね。そういう、利用者がいないサービスがずっと残っている。だったら、見直しして新しいことに使っていきたいですよね。
※この記事はテレビ東京とのタイアップ企画です。海老澤敬子氏の議員を志し、そこに至るまでの経緯はテレ東プラスでご覧いただけます。
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※本インタビューは全4話です。facebookとTwitterで更新情報を受け取れます。
第1話 大政党でも地方議会で自由に発言できる
第2話 自民党文京区議団の他会派との付き合い方
第3話 行政は既存事業をやめてから、新しい事業を起こすべき
第4話 多くの地方議員は二元代表制の本質を理解していない