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【○○市 匿名A氏:第6話】自治体職員は、仕事を通して人の幸せを目指すことができる

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自主研をもっと広めていきたい

加藤:今後の活動としてはどういうことをされていきたいですか。
A氏:はい、自主研の流れをもっと広めたいと思っています。それには、いろいろな新しい自主研が立ち上がりやすい環境を、いかに作るかというのが一つのキーになってくると思っています。今後は役所の中の人事担当が自主研をどう捉えているのかというところも、もう少し掘り下げた話をしてみたいと思っています。
 というのも、そもそも自主研なんてなくたって、皆が研修を受けてちゃんと育ち、かつ日常の仕事で高いモチベーションを維持していればそれでいいはずなんです。自主研は人材育成やモチベーションを高めるためのツールのひとつでしかない訳だから。でも、研修や日常業務だけでは得られない効能が自主研には間違いなくある。だから、そういう本来役所がやる人材育成においても、自主研の存在をもっと有効活用できるはずだと思うんですよね。
 もちろん、役所の人事課には人事課の考えがあって、何か提案をすると「何だ、我々の人材育成を批判するのか」という気持ちになるかも知れません。だけど、批判をするつもりではなく、人事側にもメリットになるような自主研の活動を提案することや、連携ができるんじゃないかと思っています。
 例えば、福岡市や山形県酒田市、さらには埼玉県内の自治体職員で立ち上げた公務員キャリアデザインスタジオでは『公務員と語る。公務員を語る』という、学生を対象としたイベントを開催しているんです。そこでは、公務員のやりがいや実態を学生さんに伝えていたりするんですが、そういうことをすることで、優秀な学生に公務員を目指してもらったり、それがきっかけで一緒に市役所で働きたいと思ってくれたりするかもしれない。それを人事課の負担だけじゃなくて、こっちも手伝うからお互い協力してやるようなことがあってもいいと思うんですよね。
 もちろん、人事が主導になり過ぎると、「『自主』研じゃないじゃん!」というツッコみもあるので、バランスは考える必要があるんですが(笑)。でも、それぞれの目的の中で同じ方向性を目指して、新しい人材育成の一端を自主研が担うことができたら良いなと思っていますね。
加藤:先ほどの、『命の大切さを教える授業』の例もあるので、上手く利害関係者の思惑が調整できれば、可能性があるようには見えます。

自主研究会に巻き込んでいく課題

加藤:自主研のようなものに参加しない方もいるじゃないですか。自主研を広める上での課題をどう捉えていますか?
A氏:そこのところのアプローチが難しいなと思っていて(笑)、興味はあるけど家庭の都合とかで参加できない人たちに対しては、SNSでフォロー発信するとか、何かしら代替手法があるのかなと思うんです。
 それと、向上する意識はあるけれど、自主研をよく知らないとか、自主研をあまり信用していないような人たちに対してだったら、「自主研ってこんなもんなんだよ」と広報などを工夫して知ってもらうことで、少しずつ変わっていくかもしれない。私ももともと自主研に興味がなかったので(笑)。
 ただ、もともと興味もない上に、スキルを高めたいとも思ってない人に対するアプローチは相当難しいと思うんです。その人たちに理解をしてもらうには、やはり人事側、つまり所属組織からの働きかけを、いかに作れるかというのがポイントだと思います。
 そういう事例も実際には存在していて、広島県呉市は本当に月に何回も自主研をやっている中で、人事も少し絡んでいたと聞いていて、それは学び合う組織ができてきているんだと思います。

自主研と若手との距離

加藤:自主研を運営されている中で、他に課題はありますか?
A氏:長く勉強会をやっていると、そのうちに「もう、それは学んだよ」となる人も出てくるんですよね。そうすると、もともと参加していた方に対してのニーズを充足させられなくなる。だからこそ、いろいろなレベルや領域に関する自主研が立ち上がって、個別の自主研という枠を越えて、多くの前向きな職員が学びあいたいという想いを充足できる環境を、いかに創るかというところが大切だと感じています。
 また、立ち上げて3年、4年、5年と経っていくと、会の中での人間関係もガッチリする半面、逆に新しい人が入りづらくなる雰囲気もできてきちゃうので注意が必要ですね。
加藤:もともと自主研を立ち上げた方たちの年齢が上がってきていて、若い方が既に距離を感じているという話もありますよね。
A氏:そう、そう、そうなんです。だから、せっかく来てくれた若い人たちがつながって、それで立ち上がってくれればそれに越したことはない。
加藤:さまざまな組織には青年会や若手会みたいなのがあるじゃないですか。そういうのがまた新たに立ち上がっていくような、「若手だけの会」みたいなものがポンポン立ち上がっていく環境を作ることができれば、自主研の創成期を築いた人たちがそこに入らなくても、勝手にやってくれる仕組み化になる訳ですよね。
A氏:そう。自主研情報を一番持っているのは我々のような実行委員会だと思っているので、せっかく得た情報を若い世代に伝えていくというのは、自分たちのミッションであり、責任なんだろうと思っていますね。

仕事を通して人の幸せを目指すことができる

加藤:最後の質問になりました。地方自治体で仕事をする『だいご味』をおしえていただけますか。
A氏:仕事を通して人の幸せを目指すことができる。そういう幸せを創る仕事としてお金を貰えるなんて、こんな仕事なかなかないんじゃないかと思います。それと、自治体職員として働いているからこそ入りやすい情報って沢山あると思うんです。その情報は地域で生かせることができるはずで、それは、得たからには自分が生活している地域にも還元していけるし、いかなければならないと思います。
 自治体職員の仕事は本当に面白いですよ。ホントに。それを感じていない職員もいるような気がするので、まずは自治体職員自身がもっと、その面白さを理解して欲しいという気持ちもあります(笑)。
加藤:ありがとうございます。それではインタビューは以上です。貴重なお時間をいただきありがとうございました。
A氏:はい、こちらこそありがとうございました。

編集後記

 児童虐待の対応に関する話は普段なかなか聞くことのできないものだ。我々はA氏の話を通して、日本全国の自治体で同じような対応がなされているのだと、視点を広げて捉えるべきだろう。
 自治体は普段の生活の中では見えないところでも、『人の命』に関わるプレッシャーと戦っているのだ。業務における守秘義務もあるだろうから、具体的な事例を人に伝えることはご法度に違いない。そうなると、普段の業務の中でどんなに残酷な現実があっても、職員や相談員の方は、それを共有できる組織やチームの中だけで咀嚼していかなければならないのだろう。
 A氏の言うように、自治体にはいろいろな職種があり、定年まで働く職員でさえ、そのうちの一部にしか携わることはない。しかし、多くの仕事については地味ではあるが、大変重要な人間の安心・安全を守るものだ。
 安心や安全は存在して当たり前だと思われる風土が今の日本にはある。それはある種、「空気のようにあることが当たり前だ」、という状態に持っていくことのできた行政の能力であると思う。だが、冷静に考えた時、その一見当たり前である状況の陰で、それを維持するために汗を流している誰かが確実に存在するのだ。
 A氏の話はその最たる例の一つで、全国の自治体で抱えている大変さを象徴している。そういう状況下にあっても、「『仕事を通して人の幸せを目指すことができる』自治体職員は素晴らしい」という気持ちを持ち続けられていることには、ただただ、敬服するしかないのである。

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※本インタビューは全7話です。facebookとTwitterで更新情報を受け取れます。

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