インタビュー

【大村市長 園田裕史 #3】思考停止せずに税金の使われ方を考える

園田裕史3

市長は執行者

加藤:議員から市長になられて、できることは変わりましたか?

園田市長:議員の時は問題の指摘と政策提案。市長は覚悟をもって政策を執行し結果を出す。この執行権があるかないか、結果を問われるというのは全然違います。

加藤:議員の時にもどかしさみたいなものを感じて、市長を目指したのでしょうか?

園田市長:議員時代に様々な問題指摘や政策提案を繰り返しても、役所は実行に移さなかったり、改善が進まないこともありました。首長は、自らが責任を取って提案する。役所内での協議を繰り返す。事業や予算案を議会へ提出する。議会での議論を重ね可決をいただければ、結果や効果を市民に還元することができ、市政発展へつながる。このような仕事を、より市民に近く市民と一緒にできる仕事は首長でなければできないと感じました。もちろん、選挙で信任を得なければできませんが、市民の皆さんからの声をもっともっと実行に移すために、断固たる決意と想いと政策でチャレンジしました。

仲間を作ることから逃げていた

加藤:ずっと会派には属さなかったのでしょうか?

園田市長:属さなかったです。私は、議員2期目の途中に辞職して、市長選挙に挑戦し一度負けました。その時感じたのは、それまでの自分は、議会の中で1人尖って、正しいことは「正しい!」と是々非々で言い続けているだけだと・・・、これでは物事を大きく変えるには限界があると強く反省し、議員としての自分自身のあり方を振り返りました。首長として仕事をするのは、役所でも議会でも地域でも、多くの仲間をつくって一緒に仕事をしていかないと、市民と創る新しい大村を始める仕事はできないのではないか、と。

 私が当時負けた現職の市長は政治家としての能力も高く、何より様々な人脈を作って仕事をしていく力が強かった。私は正しいことを正しいと言うだけ。しがらむことが怖くて、仲間を作ることから逃げていたんじゃないかと思いました。

 それでは、首長なんてとてもじゃないけど務めきれないし、誰もついてこないと思って、負けた後にもう1度、三期目の市議をやらせていただいた時には、会派を作って政治家としてゼロから自らを鍛え直しました。3人いれば条例提案権もあるので3人で新しい会派を結成しました。政策の勉強をやり直すこと、議会や団体とは是々非々なスタンスでありながらも協働すること、もう一度地域住民の声を幅広く聴いてまわること、そうやって次の首長戦にもう一度チャレンジしようと考えていました。

新しいガイドラインをもとに補助金を見直す

加藤:市長になられてから補助金のあり方に関してガイドラインをお作りになられています。それは具体的にどのようなもので何を目的とされたんですか?

園田市長:私が議員になったときに、「大村市は夕張みたいに赤字再建団体になるかも」と言われていたんです。前市長と職員は一丸となって行財政改革を実行、議会や市民も理解を示し、補助金の削減や事業の見直しを10年くらいかけて進めて、大村市の財政は累計数百億単位で改善されました。

 私が市長に就任した時には既に改善傾向にあった状態からさらに改善を進めるため、事務事業評価として700弱ある事業の見直しを図り、現場や財政担当だけに任せるだけではなく全て自分でチェックし、見直せるものは見直しました。

 これらを進める一方で、ある種既得権者化している各種団体がまだまだ存在していたため、ここにもメスを入れて補助金などを切れるところについては切りたい。そこで、今まで当たり前のように出していた補助金に一定のルールを設けて、これに合致しないものは補助金を見直すようにしました。当然、今まで補助金をもらっていた団体は「何でもらえなくなったんだ!」となりますから、一定のルールに基づいて補助金が出せなくなりましたと説明できる根拠となるものが、補助金のあり方に関するガイドラインです。

削減した補助金を別の施策にあてる

加藤:一定のルールの追加というのは、具体的にどのようなものでしょうか。

園田市長:必要性、妥当性、有効性、公平性の4つの基準に合わないものはカットしていくことにしました。

「必要性」・・・事業の目的、内容に、明確な「公益性」が認められるか。
「妥当性」・・・補助対象経費や補助金額、補助率は妥当かつ明確なものか。
「有効性」・・・補助金額に見合う効果が期待できるか。他の費目ではなく、補助によることが施策目的の実現にとって最適か。
「公平性」・・・その他の団体や市民との間で公平性は保たれているか。
交付先は適正、公平に決定されているか。

 これが平成29年12月にできましたから、今年から運用が始まっています。今までの財政健全化では全ての補助金にシーリングをかけていたんです。例えば、一律で30%の補助金を出していたものを20%に減額するというやり方ですよね。それらはいったん全部終わっています。

 今回のガイドラインでは補助金についての公益性や対象などを突き詰めて、減額ではなくカットを進めたりもします。例えば、第三子出産祝金という、第三子が生まれたら一律5万円を給付していたものを今年の3月に一律廃止にしました。

 ただし、その一方で子供を預ける環境を整えるとか、産みたくても産めない人にお金を補助していく形に転換しました。特に1回目の不妊治療は約70万円かかりますが、大村市は初回治療費を全額補助しています。

よりプラスになる税金の使い方を突き詰める

園田市長:他にも100歳になったときに3万円のお祝金をお渡ししていましたが、それも廃止しました。もちろん、市としてお祝いはさせていただきたい、健康寿命も延ばしたいです。でも、それは100歳になったから3万円をお渡しして実現できることじゃない。そもそも100歳だから3万円って根拠がないじゃないですか。

 もちろん、反発は大きいと思っていましたし、一部の議員さんからは「非情なことをしやがって」と言う人もいましたけど、市民から不満の声は聞こえてきません。今も、100歳のお祝いに多くのご家族から呼んでいただいていますし、他の公務より優先して伺うようにしています。お祝金は持って行かなくても、お花と賞状をお持ちして、色んな話をしながら長寿に対する感謝とお祝いを全力で伝えさせてもらっています。

 それと、お渡しする根拠以外でも気になる点がありました。市長になってから2年間はお祝金をお渡ししていましたが、正直言って、そのお金が100歳の方にどのように使われているのかと疑問に思いました。

 もちろん、家族みんなでお寿司を食べたりというのも悪いことではないですけど、中には寝たきりの100歳の方もいます。だからこそ、市民に健康で長生きしていただくための施策にお金を使うべきだと考えて、別の形でそのお金を使わせてもらいたいと事業転換を図っています。

※本インタビューは全6話です。facebookとTwitterで更新情報を受け取れます。

 

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