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園田裕史2

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【大村市長 園田裕史 #2】議員が普段聞けることを議会で聞く必要はない

「もう少し町内のことも言ってくれないかな」

加藤:実際に議員になった立場から、既得権益をなくすような動きは可能だったのでしょうか?

園田市長:まず、自分の住む地域の諸問題については、一般質問の中ではしなかったですね。そのような問題は、日頃から担当課とのやり取りの中で確認や解決を進め、一般質問の中では大村市全体が、どういうまちづくりをするべきかをずっと言い続けていました。しかしながら、母親が近所の人から「市全体のことを言うのもいいけど、もう少し町内のこととかも言ってくれないかな・・・」と言われることがあったようです。

 ただ、それだと「大村市全体に対する政治を!」という私の訴えに、賛同し票を入れてくれた方の期待を裏切ることになるので、スタンスはぶらさず続けました。その後は少しずつ、あの人は地域のことについて細かいことは言わないけど、大村市全体のことをしっかり言っていると認めていただけるようになったと感じています。

普段から聞けることを議会で聞く必要はない

加藤:1人会派で活動する難しさがあったと思います。どういうことで議員活動の成果を発揮されたのでしょうか。

園田市長:様々な情報を市民に対して出し続けること。毎朝の街頭演説、議会毎の議会報告書配布、ウェブ等で日々の活動や情報発信を徹底的にやり続けました。政治行政の情報は読んでもあんまり面白くないものが多いですよね。ですので、プライベートの様子や言葉の表現、写真のあり方にもこだわり、政治や行政を親しみやすいものにしようと考えました。

 そういう活動をしている議員さんは他にあんまりいなかったですね。あとは物事を動かすために、自身の活動が新聞に取り上げられることは極めて大事なことだと思っていました。新聞に掲載されるためにはニュースバリューが必要なので、一般質問ではそういう部分にもこだわりました。

加藤:ニュースとなるために、どういう発信をされたのですか?

園田市長:議会の一般質問では、現状や単なる数字の確認をするのではなくて、課題解決の方法として新しいアイデアを次々に提案しました。正直、稚拙な提案もいっぱいありましたけど、とにかく提案型の質問を続けました。

 「これはどうなっていますか?」なんて質問は、議会で聞かずに普段から部署の担当者に聞きに行けばいいじゃないですか。だからそういう質問は事前に調べておいて、その数字をもとに新しい提案をする。それが良い提案なら採用されて今後の方向性がニュースになります。その繰り返しによって、自らの政策立案能力を高める努力を議員時代にしていました。

議会で揉まれると、他の議員より勉強せざるを得ない

園田市長:ちなみに、大村市は今もそうですけど、1人会派でも政務活動費が出るんです。私はその政務活動費を使って議会報告書を作っていました。それに対して先輩議員の中には、「それは選挙活動じゃないか」と言う人もいましたが、納得がいかなかったので一切引きませんでした。

 むしろ、そういうことを言われたら、その内容を自分のブログで報告していました。振り返ってみて、そのようなやり取りが決して良かったとは思わないですけど、結果的に言えるのは議会の中で揉まれると、他の議員さんより勉強しなければいけなくなる。そういう意味では、議会の中での様々な体験も、政治家として自分を鍛えてもらったと感謝しています。

「お前は新人だから総務からやれ」

加藤:他には、どういうものがあったのでしょうか。

園田市長:私は1人会派だったんですが、委員会の振り分けでは大きい会派から1人ずつ4つの委員会に人を振っていくんですね。初当選時、私が入りたかった厚生委員会に手を上げたら、「お前は新人だから総務からやれ」と言われました。

 私はもともと看護師だから、厚生委員会に入るのが一番役に立つと思って、「議員の中で自分が状況を一番知っていると思います」と言ったら、「お前ふざけんな」という話になって緊急の会派長会議が始まったり(笑)。

 ただ、懐の深い親分肌の議員さんもいて、ああいうやつが入ってきたからうちの議会も活性化するじゃないか、そこまで言うならアイツにやらせてみよう、と言ってくださいました。その方はもう亡くなられたんですけど、場面場面で助けてくれましたし、議員とはこうあるべきだということを色々と教えていただき、本当にありがたかったですね。

加藤:他にも少数会派で厳しい環境はあったのでしょうか。

園田市長:議会運営委員会では、1人会派ということでオブザーバー参加をすると、委員長が認めた場合のみ発言ができますが、手を挙げても発言の機会をもらえなかったり、政務調査費を1人会派には出さないようにする議論がされたり、そんなことはいろいろありました。そういうのも一種の既得権だと思いますが、そういうことがある度に外部に情報を発信し続けていました。

マニフェスト大賞を2度受賞

加藤:議員活動の中でターニングポイントになることはありましたか?

園田市長:マニフェスト大賞の特別賞を議員2年目の時にいただいたのは非常にありがたかったです。デザイン性のあるホームページと政治を歌にして若い人たちに届ける取り組みが、マニフェスト大賞の若い世代に政治を届けようとする趣旨にマッチしているということで、箭内道彦さんに選出していただきました。それをきっかけに、全国の志の高い議員仲間と出会うことができました。

 当時、私のホームページを開くとヒップホップの音楽が流れていました。その曲がとても良い曲で、選挙の時もテーマソングとして使っていました。曲の歌詞には、1人1人が動かないと世の中は変わっていかない、政治を決して諦めずに、まず一人ひとりが1歩を踏み出そうという内容で、すごく良いメロディーに乗っています。

 ただ、次にマニフェスト大賞を取るときには必ず政策提言賞を取りたいと決意していました。当時は髪型もアフロにしていたんですけど(笑)、「ポップな政治家です」みたいなものはもういいと。とにかく、市のため、市民のための政策を評価してもらってマニフェスト大賞を取ることで、応援していただいた人たちへのお返しができると思いました。その夢が叶って第6回のマニフェスト大賞では、自殺予防対策に関する施策について、優秀政策提言賞をいただくことができました。

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※本インタビューは全6話です。facebookとTwitterで更新情報を受け取れます。

 

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