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https://www.koshokuken.co.jp/publication/taisaku/law/20260305-892/
「地方公務員法」の「なぜ」をもとに「働く」を考えてみる
本書は、「地方公務員法」をテーマにした本です。
地方公務員法には、服務、倫理、身分保障、給与や勤務時間、人事異動、人事評価、研修など、自治体職員として働くうえでの基本となる仕組みが定められています。
これまでにも、地方公務員法の条文や制度を解説する本は数多く出版されています。
しかし、本書は、法律の条文を覚えたり、制度を理解したりすることだけを目的とした解説書ではありません。
地方公務員法という法律を手がかりにしながら、自治体職員として歩み始めた方が、「自分は何のために働いているのか」「これからどのように働いていきたいのか」を考えるための一冊として書きました。
本書では、一つひとつの制度や仕組みに込められた「なぜ」に着目します。
「なぜ、自治体職員には身分保障があるのか」
「なぜ、給与や勤務条件は条例で定められるのか」
「なぜ、数年ごとに人事異動があるのか」
「なぜ、残業しなければならないことがあるのか」
「なぜ、毎年人事評価を受けるのか」
そして、
「なぜ、自治体職員という仕事は存在するのか」
こうした自治体職員として働くうえでの問いを、入庁1年目の若手職員「佐藤さん」のストーリーとともに考えていきます。

法律はガードレールである
「地方公務員法」と聞くと、昇任試験のために覚えるもの、服務や禁止事項など、自分たちを縛るためのルールだと感じる方もいるかもしれません。
私自身も、若い頃はそう感じていました。いえ、人事担当者として制度を扱う立場になってからでさえ、そのように考えていた時期がありました。
しかし、四半世紀にわたり行政の現場で働くなかで、少しずつ法律への見方が変わっていきました。
人は一人では生きていけません。だからこそ人は集まり、地域をつくります。
その地域の中では、暮らしに関わるさまざまな課題が生まれます。その課題に向き合うために制度がつくられ、その制度を支えるものとして法律があります。
つまり、法律や制度は、最初からそこに存在していたものではありません。
人々の暮らしがあり、地域社会があり、その中で生まれた困りごとや願いに向き合うためにつくられてきたものです。だからこそ、法律には必ず「なぜ、その仕組みが必要なのか」という理由があります。
そして、自治体職員は、地域で暮らす人々の困りごとや、簡単には答えの出ない課題に向き合う存在です。その仕事は、単に決められた手続きをこなすだけではありません。目の前の住民や地域の状況を受け止めながら、「何のためにこの制度があるのか」「どのように運用すれば、暮らしを支えることにつながるのか」に向き合い続ける仕事でもあります。
そのとき、法律は単に職員を縛るものではありません。
判断に迷ったとき、自分たちは何を大切にすべきなのかを示してくれる「ガードレール」にもなるのです。本書で登場する佐藤さんもところどころでモヤモヤしたり迷ったりしながら進んでいきます。
佐藤さんと一緒に地方公務員法を学ぶことは、法律知識を増やすことだけでなく、読者であるあなたが、自治体職員として、自分は何のために働くのか。その理由を見つけることでもあると思っています。

主人公「佐藤さん」は、かつての自分自身
本書に登場する佐藤さんは、最初から強い使命感を持って自治体職員になった人物ではありません。仕事を覚え、給料をもらい、まずは目の前の生活を成り立たせていく。
そんな、どこにでもいる普通の若手職員です(あえて性別は固定していません)。
実は、この佐藤さんの姿は、かつての私自身でもあります。
私は最初から「行政を通じて社会を良くしたい」という強い想いを持って、公務員になったわけではありません。何をやりたいのかを明確に見つけられないまま、周囲のすすめに流され、公務員という道を選びました。
縁あった官庁に入りましたが、働く中では迷うことも数多くありました。学生時代の仲間が民間企業で経験を積み、専門性を磨いて活躍している姿を見て、「自分はこのままでいいのだろうか」と感じたこともあります。また、ときには「公務員は税金で飯を食っている」「専門性が身につかない」「つぶしが効かない」といった言葉に触れ、自分の仕事の価値を見失いそうになることもありました。「自分の仕事には、どんな意味があるのだろう」と考えることもありました。公務員として働いたことがある人ならば一度は同じような思いを抱いたことはあるのではないでしょうか?
それでも、私は、20年以上行政の世界で働き続けることができました。それは、迷ったときに、自分たちの仕事が何のためにあるのかを考える「軸」があったからです。
その一つが、法律であり、その法律の意味を考えさせてくれた上司や先輩、ともに悩んだ同僚、一緒に成長してきた後輩や部下、そして現場で出会った住民の皆さんの存在です。
法律に書かれた言葉の奥には、自治体職員として大切にしたい考え方があり、だからこそ、その意味を、今まさに行政で働き始めた皆さんに届けたいと思いました。
迷ったときに立ち返れる一冊に
私は昨年行政を卒業しましたが、公務員、そして自治体職員という仕事は、本当に素晴らしい仕事だと思っています。
もちろん、地域には簡単には答えの出ない課題があります。努力したことが、すぐに成果として見えるとは限りません。時には、感謝されるどころか厳しい言葉を受けることもあります。
それでも、誰かの暮らしを支え、地域の未来をつくる仕事に関われる。
それは、とても誇れることだと思います。
もし日々の仕事の中で、
「自分はこのままでいいのだろうか」
「この仕事には、どんな意味があるのだろう」
そう感じる瞬間があったとき、この本を開いて、「もう少し頑張ってみよう」と前向きになってもらえたら嬉しく思います。
また、若手職員と一緒に働く上司や先輩の皆さんにも、ご自身が歩んできた道を振り返り、次の世代とどう向き合うかを考えるきっかけにしていただければと思います。
この本が、自治体職員として働く皆さんにとって、迷ったときにそっと立ち返れる「手がかり」となれば、著者としてこれ以上の喜びはありません。
著者紹介
鳥羽 稔(とば・みのる)
人事・行政実務パートナーズ株式会社代表取締役/鳥羽人事労務オフィス代表。
社会保険労務士、国家資格キャリアコンサルタント。
国土交通省関東地方整備局にて人事労務・建築行政等に10年間従事。その後、市川市役所に転職し介護施設運営・民営化、人事評価制度改正、障害福祉部門の予算統括などを担当。2025年4月「人で地域を強くする」という志を掲げ独立。
『地方公務員法とひもとくわたしの働き方』
著者:鳥羽 稔
出版社:公職研
定価:2,200円+税
発売日:2026年6月3日
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