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三谷繭子さん「心地よい体験と空間づくりで、まちの愛着を生み出す「プレイスメイキング」とは? 【NES合同勉強会】

HOLG編集室

地方公務員オンラインサロンセミナーレポート『心地よい体験と空間づくりで、まちの愛着を生み出す「プレイスメイキング」とは?』(株式会社Groove Designs 三谷 繭子さん)

文=納 翔一郎(富田林市)

近年、公共空間の利活用やエリアマネジメント、パークマネジメント、そして、プレイスメイキングなどの言葉を耳にする機会が増えました。公園や道路などの利活用における法律改正での規制緩和など、今まさに「どのように空間を利活用して、まちの賑わいや魅力を生み出すか?」が問われる時代となっています。
今回の地方公務員オンラインサロンは、株式会社Groove Designs 代表取締役 三谷さんによるセミナーでした。プレイスメイキングに関する基礎的な知識から考え方、そして、事例紹介まで、地方公務員にとって有意義な内容ばかりのセミナーでした。

<セミナーの流れ>
・いまなぜ公共空間?
・プレイスメイキングとは
・プレイスメイキングの6要素
・事例紹介

三谷さんは芸術系の学部出身で、大学卒業後の就職先で都市計画の実務などを学び、幅広い経験を積んできました。そして、「もっと人の暮らしに近いまちづくりをしたい」という想いを持ち、2017年に創業しました。現在は、「地域まちづくり×行政DX」として、地域の中のアナログだけで解決できない課題を、デジタルで繋ぎながら乗り越えていくために、精力的に動かれています。

そんな三谷さんは、意外にも、昔は自分の住むまちが嫌いだったそうです。「自分の住むまちの環境は、自分の意思では変えられない」という無力感や諦めを感じていたとのことでした。しかし、大学へ進学すると、同級生の「地元のまち好き」に衝撃を受けました。
そこで、三谷さんは「どうしたらまちのことを好きになれるのか?」を考えました。その結果、「日常の風景や体験、心地よさ、楽しい、嬉しいなどの積み重ねが、愛着の形成につながるのではないか?」との問いを生み出しました。そして今は、「住み続けたくなる街をどうやってつくるか」を大事にしており、まちのパブリックスペースにおける日常体験の積み重ねと空間づくりのプロセスが「プレイスメイキング」と考えています。

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まずは、「いまなぜ公共空間?」のお話でした。
現在の公共空間は、以下のような様々な課題を抱えています。

1.老朽化による管理コストの増大、再整備・再編の必要性
2.公共空間の利用ニーズの多様化・多層化
3.都市の活気、コミュニティの衰退

これらの課題を解決し魅力的で賑わいのあるまちづくりを行うために、近年、全国各地で様々な取り組みが行われています。そのような中で、「公共空間」と「パブリックスペース」は同義で使われがちですが、実は意味が異なることをみなさんご存じでしょうか?
日本で言う「公共空間」とは、行政が管理しているまちの空間を指します。しかし、「パブリックスペース」は、誰もが使える公衆のための空間という意味で使われています。今のまちづくりに必要なものは、この「パブリックスペース」の概念と言えるでしょう。
実際に、「空間をもっと活用していこう」という流れが、道路や公園、河川、民有地の法律改正や制度創設も相まって、全国・全世界的に大きくなっています。これからは、まちと人が接する重要な場であるパブリックスペースに着目し、もっと活用していくことが大事ではないでしょうか。私は、三谷さんと同様に、パブリックスペースを使ったまちづくりの可能性を、地域活動を通じて強く感じています。

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次は、プレイスメイキングのお話でした。今回のセミナーの目玉とも言えるプレイスメイキングの実践的なお話は、とても実務的で参考になる内容ばかりでした。本レポートでは全てをご紹介できないので、内容を抜粋してご紹介します。

▼プレイスメイキングとは?
あらゆる住環境において居心地の良い心的価値をつくり、生活の質を高める場所づくりの概念。

▼プレイスメイキングの6要素
1.環境資源(空間)
2.コミュニティ
3.プロセス
4.マネジメント
5.インクルーシブ
6.体験価値

特に実践的で、まちづくりや地域活動に関わる人が実践に移せるようなお話が「環境資源(空間)」でした。「環境資源(空間)」は、「どんな場を作っていくか?」を整理したものであり、8つの要素に分けた「場」です。例えば、楽しく自主的に座れる「座り場」や人の気配と灯りがある「灯り場」、気軽に話しかけられる人のいる「話し場」などがありました。
これらの、8つの場の要素を使った環境づくりのお話は、まさに今すぐ自分が住むまちを確認してみたい、そして、試してみたいお話が盛りだくさんでした。今、まちづくりや地域活動をしている人にとっては、目から鱗が落ちる内容でしょう。

その他、「プロセス」や「コミュニティ」「マネジメント」「体験価値」「インクルーシブ」のお話もありました。この中でも、プレイスをつくる「プロセス」を重視するお話は、地方公務員にとって非常に大切な内容でした。特に、「気付いたらできているものには、愛着が湧きにくい」というお話は、心の中でドキッとした受講者もいたのではないでしょうか。ちょっとした草抜きでも良いので「手軽に、早く、安く、小さなことから始めよう」という考えはとても大切だと、私は痛感しました。

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最後に、プレイスメイキングの事例紹介がありました。

・福山駅前等歩道空間活用社会実験OPEN STREET FUKUYAMA-ミチを楽しむマチが変わる-
・真鶴町「みんなでつくる身近な公園」プロジェクト

それぞれの事例の詳細については、本レポートでは割愛します。ぜひみなさん、インターネットで調べてみてください。両事例で紹介されていた魅力的なまちの写真の数々は、「自分のまちでも出来るのでは?」と可能性を感じるものばかりでした。
また、真鶴町の事例においては、デジタルプラットフォームを活用した実証実験を行なっています。リアルな場に参加できない住民の声のアップデートや課題、アクション、効果などの見える化を行い、まちづくりに活かしていくものです。デジタルプラットフォームを通じた実証実験も、とても本質的なまちづくりへのアプローチで魅力的でした。

そして、まとめとして「プレイスメイキングで『愛されるまち』を育てる」とお話がありました。その中で「日常生活の小さな連続的感動を生み出す」という内容は、様々な住民サービスを行う地方公務員こそ特に意識すべきことだと、私は思いました。
地方公務員が三谷さんのお話した内容を少しでも実践に移すことで、おそらく行政と住民の距離感や相互理解が一気に進むのではないかと感じています。まちと人を結びつける行動を起こし、まちへの誇りと愛着を生み育てるきっかけとなるセミナーでした。

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今回の三谷さんのオンラインセミナーでは、プレイスメイキングの基礎と考え方、そして、事例のお話を聞かせていただきました。まちづくりや地域活動に関わる人だけでなく、全ての地方公務員が聞いておくべきセミナーだと思います。私は、三谷さんがミッションに掲げていた「人とまちの関係性をデザインする」に、強く共感しました。地方公務員オンラインサロンではアーカイブ動画の視聴が出来るため、私自身もセミナー内容をもう一度きちんと復習して、これからのアクションに活かしていきたいです。

▼今後開催予定のオンラインセミナー

【7月21日(木)21:00〜22:30】
講演-寺本 英仁さん(Local Governance代表)
「役場を辞めた理由」と「退職後の生き方」

【7月26日(火)21:00〜22:30】
講演-久保田 崇さん(掛川市長)
「組織の敵は人間関係!自分を守り目的を実現するために必要な処世術とは」

地方公務員オンラインサロンでは、月に3〜5回のペースで、魅力的なオンラインセミナーが開催されています。また、公務員同士の交流や民間企業の方との交流・学びもあるので、リアルタイムでのオンラインセミナーへの参加をおすすめします。更に、200を超えるアーカイブ動画が見放題であることも、大変魅力的なコミュニティです。地方公務員オンラインサロンへ参加している人は、ぜひアーカイブ動画の視聴も楽しんでください。

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▼三谷 繭子(みたに まゆこ)
株式会社Groove Designs代表取締役。都市開発のプランニングから事業推進、また整備後のエリアマネジメントやパークマネジメント等のスキーム構築・地域コミュニティと協働した組織づくりなどに携わったのち、 2017年Groove Designsとして独立。都市環境デザイナーとして全国各地でまちなかのプレイスメイキングプロジェクトや地域主導のまちづくりプロジェクトを支援している。また、地域まちづくりのDXとして、共創デジタルプラットフォーム「my groove」の開発に取り組んでいる。筑波大学芸術専門学群デザイン専攻卒業、同大学院人間総合科学研究科修了(デザイン学修士)。広島県福山市出身、1986年生まれ。

https://note.com/groove_groove/n/n57ad36f66992?fbclid=IwAR1I90mYLRE1bz6godmvg0HlZu1q_x-E9l5sordPS6ZyvV5AHN1D2AuWWU0&fs=e&s=cl

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