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講演-矢部 智仁さん「PPPの本質と最新トレンド」

HOLG編集室

地方公務員オンラインサロンセミナーレポート『PPPの本質と最新トレンド』(合同会社RRP 代表 矢部 智仁さん)

地方公務員のみなさん、「PPP」という言葉はご存知でしょうか?「PPP」を単語として耳にする人は多くいると思いますが、「PPP」の意味を知っている人は少ないように私は感じます。今回の地方公務員オンラインサロンは、合同会社RRP代表の矢部さんによるセミナーでした。PPPの歴史や定義、トレンド、課題、先進事例など、地方公務員にとって必要な知識をわかりやすく解説していただいたセミナーでした。なお、本レポートは、内容が充実していたことから一部割愛してお届けしています。地方公務員オンラインサロンではアーカイブの視聴が可能であるため、ぜひ詳細はアーカイブ視聴でご確認ください。

<セミナーの流れ>
・PPPの歴史、定義、類型
・PPPの最新トレンドと課題
・PPPの先進事例と要点
・PPPの今後・将来の展望

矢部さんは、大学卒業後、株式会社リクルートにおいて広告企画営業に従事していました。大手不動産会社,建設会社の販促支援に携わったのち、リクルート住宅総研所⻑として建設・不動産業界の動向調査や業界団体・行政機関へのロビー活動に従事したそうです。その後、リクルートを退職し経営コンサルタント企業に移り、全国の建設・不動産企業の経営支援に携わり、2021年から合同会社RRPの代表を務めています。その他、東洋大学大学院公⺠連携専攻客員教 (PPPビジネス担当) や国土交通省PPP サポーターにも、着任しています。

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まずは、PPPの成り立ちのお話でした。
そもそも論から辿っていくと、市場で提供できるサービス・財は、市場で提供すべきであることが原則となっています。しかし、民間の自由な競争に任せすぎると「市場の失敗」が生まれる懸念があることから、公共サービスや公的サービスが生まれたという歴史があります。そのような中で、近年においては、支出増などの財政的な問題を含めて「政府の失敗」が生まれている課題があります。PPPは、「市場の失敗」と「政府の失敗」の二つの失敗を補う役割として、生まれたものです。

しかし、PPPにも失敗はあり得ます。不要な事業の実施などの目的設定や官民のリスクバランスのアンバランス、身内選定という非競争、優先順位等の発信のメッセージ、不誠実な契約履行のガバナンスなど起こりうる失敗を自覚し、このような失敗が起こらないようにどのようにするかが重要となります。PPPの成り立ちと基本的なポイントを押さえることで、よりPPPに対する理解も深まるでしょう。より効果的に制度を活用するためにも、みなさんもPPPの成り立ちについて勉強してみてください。

▼PPPの整理
前 提:必要性と効率+目的の共有
原則1:リスクとリターンの設計
原則2:契約によるガバナンス

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次は、PPPの定義のお話でした。矢部さんは東洋大学において、国際PPPを前提に伝えられています。その中に書かれているキーワードとして、以下の4つを述べられました。

・主体としての官と民
・公益を表している
・民が利益を得る
・契約を守る

そもそも、官・民は「主体」、公・私は「目的」の区分です。そのため、公民連携は目的が大切だと、矢部さんは強く強調されていました。そして、PPPを「役務と対価の関係からみる整理」と「事業空間と事業主体の関係からみる整理」の2つの類型で、それぞれのポイントを解説していただきました。本レポートでは詳細を割愛しますが、どの部署においても実務的で活きる内容がたくさんあったように感じます。行政と民間とお金の流れを体系的に理解できた良いお話でした。地方公務員オンラインサロンのアーカイブで、ぜひ視聴してもらいたいポイントの一つです。

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次は、PPPの最新トレンドと課題、先進事例のお話でした。
基礎となる情報として、内閣府が毎年アップデートしている「PPP/PFI推進アクションプラン」の紹介がありました。令和4年度改訂版では、人材育成、対象を身近な施設にすること、そして、人口規模10万人の市町村の取り組みの優先検討などが求められています。その他、SIBやコンセッション、包括民間委託などの手法も、とてもわかりやすく解説していただきました。
しかし、そもそもPPPは、コピー&ペーストが出来るような取り組みではありません。例えば、人口や財政、産業構造、郊外住宅地の空き家問題など、地域の数だけ課題も多様化しています。行政は、行政だけの対応が困難である現状理解と優先的な政策目的を決めることが大切とのことでした。そのうえで、PPP的施策に取り掛かる際の課題として、以下の3つについて、矢部さんからお話がありました。

・本気の性能発注ができるか
・目的とその正しい背景理解
・官民対話の場の創造

そして、大切な論点として、「行政が民間と組む許容と覚悟があるかが重要だ」と述べられました。「本気の性能発注」という言葉に対して、胸がドキっとしたセミナー受講者も多かったのではないかと推察します。本レポートで詳細は割愛しますが、それほど大切なお話を述べられていました。これらの内容を踏まえたうえでのPPP先進事例として、①岡山県津山市のグラスハウスのスモールコンセッション、②東京都東村山市の小規模公園の包括民間委託の2つを詳しく解説していただきました。行政がどのような視点で事業を実施し、どのような効果があったか、また、何が成功のポイントか非常にわかりやすい解説でした。矢部さんのnoteにも要点がまとめられているそうなので、ぜひ参考にご覧ください。

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最後に、PPPの今後・将来の展望についてのお話でした。矢部さんからは、以下の3つのお話がありました。

・公民連携によるまちづくり・地方創生
・公共の福祉の「本質」を再考する
・生産性の「算数の罠」を抜け出す

ヒト・モノ・カネの好循環を生み出すことや事業主体の課題的な取り組みに優先順位をつけること、そして、ターゲットやKPIなど目的に適った成果かの検証など、普段の仕事でも意識したい内容が盛りだくさんでした。そして、矢部さんが締めに述べた「一番大事なことは、官民対話だと思う」という一言は、PPPをはじめ、地方公務員が取り組むあらゆる仕事でも重要なポイントでしょう。地域には多様な課題がありますが、PPPは課題解決の一つの手段です。自分の中で「手段の選択肢」を増やしておくためにも、ぜひみなさんもPPPを学んでみてください。

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今回の矢部さんのオンラインセミナーでは、PPPの歴史や定義、トレンド、課題、先進事例などのお話を聞かせていただきました。PPPの基礎から大切ポイントまで、とても理解を深めることが出来た良いセミナーでした。 仕事における課題解決の一つの手段として、PPPを知っておいて損はないでしょう。地方公務員オンラインサロンではアーカイブ動画の視聴が出来るため、私自身もセミナー内容をもう一度きちんと復習して、これからのアクションに活かしていきたいです。

▼今後開催予定のオンラインセミナー
【8月18日(木) 21:00〜22:30】講演-石塚 清香さん
「役所で改善を進める手順とコツ」

【8月26日(金)21:00〜22:30】講演-同前 嘉浩さん(備前市)
「資格を取得し役所で活かす」〜学びの手順と業務における活用方法とは?

【9月13日(火)21:00〜22:30】講演+個別相談会-毛塚 幹人さん
「行政が『効果の低い作業・事業』を止める手順とは」

地方公務員オンラインサロンでは、月に3〜5回のペースで、魅力的なオンラインセミナーが開催されています。また、公務員同士の交流や民間企業の方との交流・学びもあるので、リアルタイムでのオンラインセミナーへの参加をおすすめします。更に、200を超えるアーカイブ動画が見放題であることも、大変魅力的なコミュニティです。地方公務員オンラインサロンへ参加している人は、ぜひアーカイブ動画の視聴も楽しんでください。

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▼矢部 智仁(やべ ともひと)
大学卒業後、株式会社リクルート(住宅情報部門)において広告企画営業に従事。大手不動産会社、建設会社の販促支援に携わったのち、リクルート住宅総研 所長として建設・不動産業界の動向調査や業界団体・行政機関へのロビー活動に従事、国土交通省をはじめ行政設置委員会の委員等も歴任。リクルート退職後、経営コンサルタント企業に移り、全国の建設・不動産企業の経営支援に携わる。2021年から現職。東洋大学 大学院 公民連携専攻 客員教授(PPPビジネス担当)、公益社団法人 日本不動産学会監事、国土交通省 PPPサポーターとしても活動、産官学をつなげるポジションで活動中。
https://note.com/yabetomo32

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