(文=所沢市・林 誠)
地方公務員にとっての「失敗」
「失敗は成功のもと」という言葉があります。
発明王エジソンが言ったとされる
「失敗したわけではない。うまくいかないやり方を一万個見つけただけだ」
というセリフも有名です。
アップル創業者の故スティーブ・ジョブズさんやユニクロの柳井正さんなど、成功者とされる方々も、数多くの失敗を経ておられることが知られています。
ですから、本来、失敗はそれほど忌み嫌うものではないはずです。もちろん、しっかり反省はしなければいけませんが、糧にすることを前提に、「ドンマイ、ドンマイ」と前を向けばいいのだと思います。
しかし、公務員の失敗については、少し趣が違うようです。
もし失敗をしてしまうと、内部的なあれこれだけでは済まず、いろいろなところで追及されることになります。議会で説明を求められたり、監査で指摘されたりと後始末が大変です。新聞に取り上げられるようなことになると、住民からの批判の声も寄せられるようになり、各所に影響が広がります。
こうしたことが見えているので、公務員が失敗した場合、「ドンマイ」という風向きにはなかなかなりません。職場の雰囲気としても、失敗が歓迎される空気はあまりないでしょう。失敗を恐れて、リスクを取ることを避け、なるべく波風が立たないように前例踏襲型で仕事をしていることも少なくないと思います。
残念ながら、公務員は失敗との相性がよくないのです。
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失敗から学ぶ
では、失敗しないためにはどうしたらいいでしょう。
予想外の事態が起きたときに失敗は生まれるものでしょうから、こうしたら失敗する、とあらかじめわかっていれば失敗は防げるはずです。それがわかれば苦労はないと言いたくなるところでしょうが、俯瞰的に見てみると、少なくとも自治体財政担当の実務において失敗が起きるのには、一定のパターンのようなものがある気がします。もしそうなら、それを知っていればかなりの失敗は防げるかもしれません。
この本では、失敗のパターンを4つに分けて分析しています。それは次の4つです。
・「先入観・思い込み」をめぐる失敗
・「見落とし・確認不足」をめぐる失敗
・「油断・過信」をめぐる失敗
・「コミュニケーション」をめぐる失敗
そして、それぞれのパターンごとに、具体的な失敗事例を会話なども交えた臨場感のある表現でお示しし、続いてその事例のポイントや内容について解説したのち、対応策についても書いています。
取り上げた事例は、マスコミを騒がせたよく知られた事例から、財政担当なら経験したことがありそうなあるある事例まで様々ですが、どこででも起きそうなものを選んでいます。
本の表紙には、「『失敗』は教訓の宝庫だ!」と書かれています。あらかじめ誰かが失敗してくれたから、その対応策が練れるという面もあります。先人の失敗を次に活かすためにも、失敗から学びたいところです。この本には、そのためのヒントを埋め込んだつもりです。
挑戦するために失敗をなくす
人口が縮小し、一層の高齢化が進んでいくことが確実な我が国においては、これまでどおりの行政では停滞どころか衰退の道をたどるでしょう。役所も挑戦していかなければなりません。そして新たな道を切り拓く挑戦には失敗がつきものです。
しかし、普段から、しなくてもいい失敗を繰り返していては新しい挑戦をさせてもらえるはずもありません。挑戦の末の失敗を、「ドンマイ」と見守っていただくためにも、防げる失敗は減らしていきたいものです。
失敗を減らすことにより、失敗が許容される新たな試みへの挑戦が認められる、という循環を生み出したいところです。そのためにこの本が少しでもお役に立てたら、これほど嬉しいことはありません。
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