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【熊本県庁 和田大志氏 #5】公務員はお金と権限を持ったコンサルタント

平時と有事の前提は全く違う

加藤:尊敬している公務員にはどういう方がいますか?

和田氏:この質問が一番難しいんですよね。というのが、これまでの職場でそれぞれに尊敬できる上司がいたからなんですよ。

加藤:その方たちに共通する点はありますか?

和田氏:一番は、自分が持っていないものを持っていること。考え方とか、思考パターンとか、相手への説明の方法とかです。最初の部署の上司は、用地交渉のプロだったんですよね。相手に対する度胸とか腹決めの姿勢とか、そんなことに感じ入った。次の職場の課長さんは先読みする力のある方でした。

 現在でいうと、田嶋徹副知事ですね。県庁職員からの叩き上げで副知事になられた方で、2016年の熊本地震の際には、私が随行として一緒に様々な問題に向き合いました。田嶋副知事は「今お前がやっていることは、本当に被災者を救うことなのか?」「行政の理屈だけで考えていないか?」「枠を超えて考えろ」という言葉で職員を鼓舞されていました。

 我々が「いや、こういう理由でダメなんです」と言うと、「その前提は平時の前提だろ。有事の前提とは全く違うんだから、もう1回確認してみろ」と返ってくる。もう一度その思考で確認したら、できないと思っていた被災者支援が可能になった。そんな経験をしてきたんです。

公務員はお金と権限を持ったコンサルタント

加藤:最後に地方自治体で働く醍醐味を教えていただけますか?

和田氏:これは受け売りなんですが。もう一人の副知事、コンサル出身の小野泰輔副知事が「公務員はお金と権限を持った地域課題解決のコンサルタントなんだよ」という話をしてくださいます。
自治体職員には予算や条例を作る権限があって、かつ、自分たちで入っていこうと思えば、クライアント側である住民の中に入っていける、確かにその通りだなと思います。

 近年、社会起業家の取組みが注目を浴びるようになっています。でも、そういう面でもっと注目を浴びていいのは、私たち公務員だろうなと思っています。本当に何かを変えたいと思ったら、予算化し、条例を改正し、社会の在り様を変えていけるわけですから。そういう観点からすると、社会課題にビジネスの手法を活用して取り組む社会起業家の盛り上がりは大事なんだけど、一方で、同じ課題に予算や条例をもって向き合う公務員が改めて評価される、なりたい職業にもっとなっていいと考えているんです。

 ですから、そういう憧れの職業に公務員を近づけていきたいし、まずは、チャレンジを認めてくれる熊本県庁で懸命に学び、実践して行く。そして、そんな熊本県庁の在り方を全国の自治体の皆さんとも共有できるといいなと思っています。

編集後記

 難しいものごとを分かりやすく伝えるということは、とても重要なことである。「SIM」はゲーム性を持ちながらも、自治体経営に必要不可欠なことが凝縮されている。このエッセンスを座学で習得しようとしても、参加者は受け身となり、当事者の意識はなかなか高まらないだろう。

 ほんの少し前まで世の中は、企業のようにサービスを提供する側と、消費者というサービスを受ける側という二軸に明確に分類されていた。しかし昨今では、企業のサービスを享受する側だった者が、サービスの作り手や一部となることも増えてきている。SNSなどによって個人のつながる力が高まったこと、また、他者への貢献欲求が高まったことなどが、この時代の変化を作っているのだろう。彼らは企業の“アンバサダー”や“インフルエンサー”などと呼ばれ、マーケティングの概念でも重要視されるようになっている。

 実は、SIMが全国の自治体で爆発的にヒットした理由も、受講者を提供者へと変える二つの仕組みがあったからだと思われる。一つは、参加者が問題の当事者になるようなゲームの設計であり、もう一つが、“公認ファン”という制度である。これらが上手くかみ合わさったことによって、熊本から全国の自治体にまたたく間に広がることとなったと推測される。

 和田氏が実現させたこの仕組みにこそ、行政が学ぶべきことが凝縮されているように思う。もちろん、先進自治体では既に住民との接点を広げ、さまざまな協働を進めているところも存在する。ただ、多くの自治体においては、住民や民間企業の人間と接点を持つことに二の足を踏んでいると聞く。特に、幹部レイヤーになるほどこの傾向が強くなるそうだ。

 二の足を踏む最たる理由は“癒着のリスク”であると聞くが、前述した“アンバサダー”と企業の間には癒着などは存在するのだろうか。そもそも、このトレンドは両者に大きなお金のやりとりが発生しないものである。癒着を懸念する声を聞くたびに思うこととして、「癒着があるからサービス提供者と距離を取ります」というのは、非常に安易な着地点ではないかと感じている。

 ちなみに、莫大な金額の取引を行っていて、癒着のリスクが高い大手総合商社のような企業であっても、「癒着のリスクがあるので、サービス提供先に対して距離を保ちます」などという企業は存在しない。距離を保つどころか、彼らは圧倒的に距離を縮める努力を日々行っている。一方で、組織としては癒着や不正を生じさせない仕組みや文化を絶えず模索している。

 地方自治体が“悩み”を外に伝えたときに、それを助けたいと手を挙げる人は山ほど存在する。弱小零細企業の代表者という私の立場から見ると、「人を巻き込むことができる」という自治体の大きな強み、この優位性を生かさないというのは、本当にもったいないことだと感じるのである。
(文=加藤年紀 場所=SENQ霞が関)

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※本インタビューは全5話です。facebookとTwitterで更新情報を受け取れます。

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