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北川正恭5日目

人を知る

【元三重県知事 北川正恭氏:第5話】民主主義のレベルに完璧はない

全国の自治体職員の意識は変わってきている

加藤:全国を見ても、職員の意識というのは変わってきていると思われますか。
北川氏:はい。三重県が先陣を切りましたが、例えば、その頃に私が勉強した中ではニューパブリックマネジメント。これは「最小の費用で最大の効果を目指す」というもので、官民連携のもとになるものでもありますね。公務員の世界にこれを初めて持って来たんです。
それまでは行政は費用のことをあまり考えなかった。与えられた仕事を「間違えなく、的確に仕事をする」こと、これが仕事だったんです。だけども、「それは違いますよ」と。それを本格的にリードしたのが三重県で、全国に広がっていきました。
「価値前提の職員をつくりたい」という思いで、それまでの知り合いの知事や市長に頼んで、最初は10くらいの自治体で人材育成を進めようということで始めたのが、早稲田大学マニフェスト研究所の『人材マジメント部会』というものでした。
ここでは、「問題発見・解決型」の人材育成を目指し、理論ではなく実践することを意識しています。2017年度の参加自治体は97団体と全国自治体の5%を超え、累計の修了生は約1400人となりました。職員のあり方については、『人材マネジメント部会』が、ひとつの目標になればと思っています。

議員・公務員・住民、全員が変わらなければならない

加藤:議員と職員の育成に関わっていらっしゃいます。住民にも変わって欲しいと思いますか。
北川氏:はい。議員も変えるし、公務員も変えるし、もちろん住民もです。
地方議会の力が増して変化をする中、富山市議会で政務活動費の問題が起きた時に、テレビで市民にインタビューすると「けしからん」と言っていた。でも最後にね、「だけど俺たちが選んだんだよな」と言っていました。その通りなんですよ。

民主主義のレベルに完璧はない

北川氏:民主主義のレベルに完璧はないですよ。でも、正しい選択をする率を高めていくのが必要で、そのためにマニフェストや人材マネジメント部会があって、そのためのツールとして『マニフェスト』を提唱しているんです。

成熟社会になり 大手メディアも地方へ目を向けてきた

加藤:北川さんのお立場から政治・行政へのアプローチはしやすいと思いますが、住民に直接的に何かを伝えることは難しいと思います。それには大きなメディアの役割が重要だと思いますが、「こう報道してほしい」というのはありますか。
北川氏:中央集権でしたから、メディアも地方に目を向けていなかったですね。「こういうもんだ」「選挙であそこの支持団体がついたから」という表現の仕方で、政策がどうこうというのは少なかったんですね。政策に対する報道は、もっと増えても良いかもしれないですね。
だけど、地方創生時代を迎えて、成熟社会で「あれかこれか」の選択の時代だから、ずいぶん目が開かれてきたのは事実ですね。

若年層の投票率が低いのは大人の責任

加藤:どうすれば政治に興味を持ってもらえる人を増やせると思いますか。
北川氏:18歳まで投票権を持たせたのは一つのチャンスだと思っています。18歳は51.28%で、投票率が高めでしたが、年齢が上がっていくと投票率が下がるんです。19歳は42.3%、20歳代は33%程度だったようです。
岐阜県の可児市議会や静岡県教委が頑張ったら、高校生の投票率が80%を超えた。これを見ていて思うのは、学校教育の中に社会教育、シチズンシップ教育を取り入れて、本当に先生たちが頑張れば、投票率が上がるんですよね。いまの若年層の投票率が低いのは大人の責任です。30歳代の投票率も40%程度で、子どもたちが問題だというのはまったく間違っていると思います。

市民が自分たちで「まちづくり」をする時代

加藤:行政が住民を巻き込むために、どういう方法があるのでしょうか。
北川氏:我々が『ダイアログ・ディシジョン』という『対話による意思決定』というのを進めてきたんですが、いま世の中の流れから市民とのワークショップという、新しい対話のあり方も生まれてきました。
その中で、公務員や議員だけでなく、市民も参加して決定をしていく。「自分たちも主体なんだ」という意識で「まちづくり」に参加してもらう。静岡県牧之原市みたいに、市民が参加して自分たちでまちづくりをする。そういうことをやる自治体も生まれてきている。
うまく行っているところと、そうでないところの差はありますけれども、これも『善政競争』という流れで、良いところの流れを広めて全国を変えていきたいと思います。

昔はブラックな働き方こそが称賛されていた

加藤:行政が良いことを地道にやっているという情報が、あまり発信されてないですし、民間人はまだ興味を持てていないですよね。
北川氏:いままで銀行員なんて、政治に全く関わりをもったらいけなかったんですよ。「せっせと金儲けしておけ」と言われてきていた。それは成長社会で行政に財源があるから許されてきたんです。
僕らの若い時は、自分の住んでいる地域なんか気にせず、ブラックな働き方こそが称賛されていたんですよ。でも、成熟社会になってきたら、いままでの成長社会の文化を見直す必要が出てきた。「ブラック企業ダメだね」、「働き方改革も男性優先じゃダメだね」となってきた。この動きは社会改革であり、働き方改革なんですよ。

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※本インタビューは全7話です。facebookとTwitterで更新情報を受け取れます。

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