写真左から:近藤健太さん、鈴木満明さん、太田稔彦市長、奥村信哉さん
2025年3月31日、豊田市役所で「職員提案制度」で高い評価を得た職員が表彰され、市長からのねぎらいの言葉がありました。(※以下3名が代表し、賞状と記念品が贈呈されました。)
最優秀賞:消防本部 近藤健太さん(各部局で選出された改善提案を職員の投票により決定)
高得点賞:債権管理課 鈴木満明さん(高得点賞の中で、合計点数が最高)
改善新人賞:防災対策課 奥村信哉さん(改善新人賞の中で、提出件数が最多)
豊田市職員提案制度とは?
制度の歴史は古く、1964年から市長を3期務めた佐藤保さんの発案で生まれたと言われています。佐藤氏はKAIZENで有名なトヨタ自動車に20年以上勤め、その後、市長として豊田市の発展に貢献されました。
豊田市職員提案制度には、自課に抱える課題等を他部署へ投げかけて解決方法を募集する「課題提案制度」と、実際に改善を達成した事例を申請する「改善提案制度」があります。この「改善提案制度」の存在が実行の重要性を高め、豊田市の改善文化の醸成に寄与しているように感じます。結果として令和6年度の豊田市職員提案件数は全体で13,781件、参加率は87.3%と高い水準です。
最優秀賞は「職場ドックで職場環境改善」
実際の改善事例にはどのようなものがあるのでしょうか。職員からの投票で令和6年度に最優秀賞を受賞した、消防本部の近藤健太さんにその改善の内容や進め方について伺いました。
Q.改善された内容を教えてください
豊田市の消防のひとつの分署の中で、職場ドックを試験的に導入しました。産業医科大学のハイリスク職場に関する研究で紹介されていた『メンタルヘルス改善意識調査票(MIRROR)』を、消防職員の実態に即してカスタマイズし、組織運営や職場環境に対する評価について25名から回答を得ました。
Q.どのような効果がありましたか?
職場環境における課題が可視化されました。私が3月まで所属していた南消防署末野原分署はとても雰囲気が良く、チームや上司への要望は多くありませんでした。最も多かったのは「混雑する時間・経路を避けて通勤できる」という点に対して33%の方から改善要望がありました。実はこの結果は想定外でしたが、その課題をもとに通勤経路などに関する改善を消防本部へ提案しました。今回、その提案は通らなかったのですが、その他の要望と併せて引き続き考慮すべき課題だと思っています。
Q.なぜ、職場ドックを進めたいと思ったのでしょうか?
私は19年目の中堅職員ですが、上司と若手の感覚のズレを感じていました。その中で、両者の架け橋となって、皆が楽しく仕事に向き合える環境を創ることで、ヒューマンエラーの軽減につながり、成果が向上するのではないかと思ったからです。自分が入庁した時は、正直、訓練などでハラスメントに近いこともあり、つらい時期がありました。でも今はそういう時代ではないと思っています。
Q.改善を進めた手順や工夫はありますか?
2024年3月に、既に職場ドックを実施していた本庁の健康相談室の方と相談し、仕組みを構想していきました。まずは直属の上司に許可を取り、5月と10月に末野原分署で初めて職場ドックをおこないました。小さく始めて、だんだん大きくしたいからです。
また、誰が問題であるかではなく、何が問題であるかに着目するように意識しました。愛知県の電子システムにフォームを作り、匿名回答としたうえで、個別の回答を閲覧できるのは私だけにしました。
Q.上司や同僚の方から反対はなかったのでしょうか?
進める中で上司や同僚から賛同を得て、最終的には良い取り組みだからと提案制度にも出すように促されました。始めた当時は、最優秀賞をもらえるとは全く考えていませんでした。
周囲を巻き込む時に批判が生まれることもあると思いますが、私は批判的な意見ももらいたいと思っています。その批判を具体的に指摘してもらえたら、課題にあわせて企画を修正することでより良いものになるからです。
Q.今後はどのように改善を進めていきますか?
末野原分署では、2回目の職場ドックの結果を見て状況が好転していたことがわかりました。4月から藤岡小原分署に異動したので、こちらでも実施したいと考えています。将来的には消防本部の総務課とも協力して、少しずつ協力者を増やして全署に広げていきたいと思います。
豊田市役所互助会が発行している職員向け冊子「はばたき」のお仕事紹介コーナーで使用した画像
同僚の賛同を得て、職場改善を意識し風通しの良い職場を目指し始めた当初に職場内で作成
豊田市の改善から学ぼう
今後もホルグ社は、豊田市の改善事例について記事を配信したり、改善に関する共催セミナーを開催する予定です。セミナーについては全国の地方公務員が参加可能です。豊田市の改善が、全国の自治体の改善のヒントとなることを願ってお伝えしていきたいと思います。
セミナー演題
【豊田市KAIZEN道場】ボトムアップで業務を変えろ!事例と実践から学ぶ豊田式改善ナレッジ
開催日時:2025年7月3日 14:00~15:00
開催方法:オンライン(Zoom予定)
申し込み方法:以下フォームよりお申し込みください。
https://forms.gle/F5kVr4iLLLfF5jsD8
(豊田市職員は不要)
登壇者/事例
・豊田市役所債権管理課 鈴木満明さん
「WEB口座振替受付サービスの導入における、地方銀行のとりまとめ」
「誤納に伴う、充当通知不要の確認の徹底」
・豊田市役所市民税課 加藤叶楠(かなん)さん
「大量発送の封入方法変更」
・豊田市役所市民税課 加藤叶楠(かなん)さん/杉坂直輝さん
「誰が架電したのかわからない折り返し電話に対する対応フローの構築」
▼お申し込みはコチラから。
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※セミナーについては全国の地方公務員が参加可能です。
※豊田市職員は不要
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